第20章:富裕層幹部との対峙
中枢の奥深く、壁一面に浮かぶ光のデータノードが二人を照らす。冷たい光が床に反射し、影が長く伸びる。重厚な金属扉の向こうから、低い足音が響き渡った。
「……やはり待っていたか」低く響く声。扉がゆっくり開き、中から現れたのは富裕層幹部――身長二メートル近く、銀色の外装に覆われた義手と義足を持つ男だった。目は冷たく光り、笑みを浮かべながらも残虐さを隠さない。
「ここまで来るとは……面白い」幹部は両手を広げ、周囲の監視AIを呼び寄せた。赤い光が一斉に二人に向けられ、仮想空間と現実世界の両方で攻撃を仕掛けてくる。
「カイ……行くわよ!」ユナが呼ぶ。彼女の光刃が仮想空間に複数生成され、攻撃の予測軌道を計算する。
カイは呼応して光剣を展開、二人の動きは完全に同期している。
幹部は笑い声を上げ、義手の装置を稼働させる。突如、エネルギー波が床を叩き、振動が二人の体に伝わる。
「……強い!」カイは瞬時に回避し、仮想空間の動きを解析しながら反撃のタイミングを測る。
ユナは光の粒子を操り、幹部の義手を直接狙う。光刃が接触し、鋼鉄が削られる音が響く。幹部は冷静に腕を振り払い、圧縮された衝撃波で二人を吹き飛ばす。
「……まだまだ!」カイが立ち上がり、ユナも呼応。二重人格的思考を駆使し、幹部の攻撃パターンを予測する。
幹部の義足が床を打ち、エネルギーフィールドが展開されるが、ユナの光刃が反射を利用してフィールド内に小規模な電脳攻撃を流し込む。
「カイ、狙って!」ユナの声に呼応して、カイは光剣を集中させ義手の接続部を斬りつける。小さな火花が散り、幹部の動きが一瞬止まった。
「……なるほど、連携か」幹部は表情を変えずに言う。瞬間、電脳空間に幹部の幻影が複数現れ、二人の解析を混乱させる。
だが、ユナの二重化思考が幻影を瞬時に識別し、カイは正しいターゲットを選択する。光刃と光剣が幹部に同時に迫り、義手と義足の動きを制限する。
「まだ終わらせない!」幹部が義手の内蔵レーザーを全開放する。赤い光線が二人を追い、床をえぐり、金属の壁を焼き焦がす。
カイとユナは体を翻し、光の粒子でバリアを形成しながら間合いを詰める。呼応は極限まで高まり、攻撃と防御が直感的に最適化される。
「ユナ……今だ!」カイが叫ぶ。
ユナも応じ、二人の光刃が同時に幹部の胸部に突き刺さる。義手と義足の動力が停止し、幹部は仮想空間と現実世界の双方で崩れ落ちる。
「……これで、止められた……のか」カイは息を荒げ、膝をつく。
ユナも深呼吸をし、光刃を収める。「でも、これで中枢の核心には近づけるわ」
だが、部屋の奥にひときわ強力な電脳結界が光り輝く。幹部が残した最後の防衛層だ。カイとユナは互いに目を合わせ、無言で呼応を強化する。
「これが……最後の布石か」カイの声には緊張と決意が混じる。
「ええ、でも、私たちなら……」ユナの目が光を帯び、二人の心が完全にひとつになる。
地下層と電脳世界、そして富裕層中枢。すべての戦いはここに収束し、カイとユナの運命はついに、最終決戦の扉を前に動き出していた。




