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《DUAL MIND - デュアル・マインド》  作者: ミストマン


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第13章:富裕層の中枢へ

廊下の奥に広がる巨大な扉。金属の光沢を帯びたその扉は、圧迫感さえある威容で二人を迎えた。冷たい光が天井から差し込み、廊下の粉塵を銀色に浮かび上がらせる。カイはユナの手をぎゅっと握り、微かに脳波を同期させた。


「ここまで来た……」カイの声は低く、緊張に震えている。

「……行こう」ユナも小さく息を吸い込み、目を細めた。その瞳には覚醒したデュアルマインドの力が揺らめく。


扉が重く開き、目の前に広がったのは、白銀の光に包まれた富裕層専用の中枢制御室。壁一面に電子パネルとモニターが並び、光の帯が交錯している。空気は冷たく、微かにオゾンと焼けた金属の匂いが漂った。


その静寂を破るように、廊下の奥から微細な金属音が響く。小刻みに、だが規則正しく。ユナの脳が瞬時に敵の存在を解析する。


「……来た」ユナの声が小さく震える。

影が二つに裂け、白銀の装甲に包まれた人物──カリュプス──が姿を現した。スリムだが筋肉の均整が取れた体型に、生体装甲と電脳インプラントが露出している。全身から微細な光が脈打ち、足音ごとに金属が軋む音が混ざる。顔は端正だが、瞳が二重に揺れ、見る者に恐怖と不安を刻む。


「……ここまで来るとは、愚かなことだ」冷静な解析人格の声。

次の瞬間、瞳の色が赤く変わり、凶暴な戦闘人格が前に踏み出す。

「……だが、止めることはできない!」カイは声を張り、刃を握り直す。


カリュプスは両腕の生体ブレードを展開し、肩の小型ドローンが稼働する。廊下にレーザーの軌跡が描かれ、金属の火花が舞った。攻撃の速度は尋常ではない。人間の目では追えない速さで、二つの人格が交互に指示を出す。


「ユナ、呼応して!」カイが叫ぶ。

二人の脳波は極限まで高まり、互いの動きは完全に同期する。ユナは敵の関節構造、攻撃角度、ドローンの飛行軌道を解析し、咄嗟に体を翻して回避する。しかし、攻撃の一撃が壁に激突し、振動が床を揺らす。


カリュプスは解析人格に切り替わり、冷静に弱点を補完する。生体ブレードの一撃は逃れたと思った瞬間、追撃のドローンが横から飛び出し、カイの肩に衝撃を与える。カイは吹き飛ばされながらも体勢を立て直す。


「……まだ、こんな力を出せるのか……!」ユナは自分の覚醒した力に驚き、だが恐怖よりも決意が勝る。

「俺たちの呼応で……必ず、勝つ!」カイも叫び、脳波を最大に引き上げる。


廊下は光と影の連鎖で満たされる。カリュプスのブレードが空間を切り裂き、壁や床に鋭い衝撃を残す。ユナは連続回避を続けるが、微かな裂傷を負い、腕や脚に痛みが走る。カイもまた、装甲の切り裂きで肩を負傷した。二人は力を合わせ、呼応攻撃でブレードに食らいつくが、カリュプスの自己修復機能が次々と傷を塞ぐ。


「……くっ……!」ユナが呻く。

「負けられない……!」カイが応じ、二人の攻撃はより精密かつ高速になる。

だがカリュプスは戦闘人格に切り替わり、凶暴な突進で廊下を割くように進む。ブレードの一撃は二人を跳ね飛ばし、瓦礫が舞い散る。


戦いの最中、ユナは自分の脳波が限界に近づくのを感じる。呼応の極限が、精神と肉体に負荷をかけ、痛みとなって押し寄せる。しかし彼女は恐怖を拒絶し、再び攻撃に身を投じる。


「カイ、今だ!」ユナの声に呼応し、カイは自分の極限反応を使ってブレードを弾き、隙間を突く。ユナも脳波を二重化し、ブレードを避けつつカリュプスの装甲の薄い部分を斬り裂く。火花が散り、冷たい金属の香りが廊下に立ち込める。


ついに、カリュプスが一瞬の隙を見せる。ユナは咄嗟にその隙を突き、脳波を極限まで高めて連続攻撃を叩き込む。カイも呼応し、二人の極限呼応が合わさった瞬間、カリュプスの装甲が裂け、電脳インプラントが光を失う。


廊下には静寂が戻り、粉塵と金属の匂いが立ち込める。ユナは震える手を握りしめ、カイを見上げた。

「……やった……勝った……んだよね?」

「ああ……でも、まだ油断はできない」カイは答え、二人の呼応が確かに生き残る力になったことを確認する。


だが、施設の奥から微かな電子音が響く。警報か、次の追跡者か——未知の危険は依然として消えていない。二人は刃を握り直し、互いの脳波を呼応させ、次の戦いへ歩を進めるのだった。


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