表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生貴族の機械工房  作者: ギムテンリュウ
異形体と復活
55/56

異形体と復活10話

今日も無理せず、無事に一日を終えられたらいいですね。

無事に一日を終えられたら、悩みや心配を忘れてゆっくりお休みください。

お休みの時間なら、私の作品とともに明日への準備ができることを願っています。

読者の皆様の人生に、私の作品が大きな助けになることはできないかもしれませんが、

少しでも活力の源になれたら嬉しいです。

いつも作品を読んでくださって本当にありがとうございます。

大好きです、読者の皆様。

「ぐああああっ!」


自分を狙って飛来する閃光を、本能的な動きで回避した異形体。


『……何だ?』


次の瞬間、疑念が浮かぶ。


自分の身体には生体危機の兆候が一切生じていない。

警戒を鳴らすほどの脅威とは感じられなかったからだ。


ただ見た目だけが派手な小技に過ぎない――


そう判断した異形体は、ゆっくりと首へ手を伸ばした。


「……何だ?」


一方、依然として健在な異形体の姿を見ながら、三人の騎士は今起きたことを理解できずにいた。


「一体……」


ガレックは観察を続けながらも、理解できないという声を漏らす。


「アルドリック卿の一撃だ。脅しで終わるはずがないのだが……」


「見ろ!」


ロデリックが言葉を発した直後、異変に気づいたバンスが叫んだ。


「ぐああああああっ! この下等生物め、よくもやったなああああ!」


『ベチャッ』


『ボトッ ボトボトッ』


アルドリックの命を奪おうとしていた触手。


その触手が、断面を晒したまま綺麗に切断されていた。


本体から切り離され、地面へ落ちた触手。


どういう原理か分からないが、本体との繋がりが断たれているにもかかわらず、なお蠢き続けている。


突然身体に痛みが走ることも。

自分の触手が地面に転がっている状況も。


異形体には、今起きたことが理解できなかった。


「こ、これは夢だ! 偉大なる御方の使徒であるこの俺が、こんな無様な目に遭うはずがない!」


「夢なら、とっくに終わっている。怪物。」


すぐ近くから響く人間の声。


その瞬間、異形体は気づいた。


自分が認識するより早い速度で、アルドリックが接近していたことに。


「身の程も知らずに調子に乗るな、この下等な――!」


『ブゥン』


反射的に拳を振るう。


四肢と同様に操っていた触手に比べれば、無駄の多い動きだった。


それでも、この場の騎士たちにとっては十分に脅威となる速度。


だが――


攻撃はアルドリックに届かなかった。


正確には、届く前に変化が起きた。


『ブシャアアアアッ』


「ぐ、ぐあああああああ!」


アルドリックの一撃。


十分な力を込めて斬りつけたにもかかわらず、異形体の腕は完全には切断されず、半ばでぶら下がったままだった。


滝のように流れ落ちる青い血。


それを見ながらアルドリックは思う。


『中途半端な力では……斬り落とすことすらできないのか』


デミアンの奇抜な装備。


そのおかげで、マナ回路が損傷する以前よりも強い力を発揮し、より素早く動くことができている。


それでも足りない。


目の前で混乱し、悲鳴を上げる異形体が、まるで語りかけているようだった。


――まだ足りない、と。


『だが、攻撃を続ければ死ぬ』


そう判断したアルドリックは、ほんの一瞬だけマナタンクの状態を確認する。


『ここまで消費するとは……』


マナタンクの蓄積量。


機能を起動しただけで、その半分近くを消費していた。


まだ一度も試験されていない機能。


アルドリックは不安を感じていた。


それでも、この方法以外に手はなかった。


幾多の死線を越えてきた彼ですら、消耗量がここまで激しいとは予想していなかった。


アルカンテラでは、この種の装備はまだ一度も運用されたことがない。


予測が不可能なのも当然だ。


『底の抜けた桶に水を注ぐようなものだな』


起動したまま立っているだけでも、マナは刻一刻と消費されていく。


『生き延びたら、隊長に改良を頼むとしよう』


マナが尽きる前に決着をつける。


そう判断したアルドリックは、再び異形体へ突進した。


『シュアアアアアッ』


「ぐううううっ!」


狙いは首。


剣の鋭い先端を突き込む。


必殺の一撃。


しかし異形体は、紙一重でそれを回避した。


『グググググ……』


『ボキッ ボキボキッ』


人間の皮を被っただけの存在だからか。


異形体は上体を背中側へ無理やり折り曲げ、身体を丸めることで攻撃を回避した。


『以前の怪物には見られなかった動きだ』


戦えば戦うほど分かる。


この異形体の格は、自分の経験を遥かに超えている。


どこから現れた存在なのか。


過去に相手をした怪物とは、まるで別物だった。


『だが――』


『ブゥン』


『バチバチバチッ』


アルドリックは外骨格の補助機能によって、わずかな時間だけ再びオーラを纏うことができた。


剣にオーラを纏わせる。


そして、先ほどの記憶を思い出す。


『あいつは……全力で防いでいた』


人間ではない。


だが弱点が完全に違うようには見えなかった。


構造は異なる。


それでも根本的な急所は似ている。


そう確信したアルドリックは、先ほど攻撃が失敗した部位へ、再び剣を突き出した。


『キィン!』


『な……に?』


ほんの数分前。


剣を受け止めることすらできなかった部位。


それが今では、オーラを纏った剣先の突きを防いでいた。


『変化……いや、適応したのか?』


攻撃がここまであっさり拒絶される光景。


それはアルドリックに強烈な精神的衝撃を与えた。


『ヒュッ』


「っ!」


音が届くより早く。


長年の実戦で磨かれた感覚が警告を発する。


アルドリックは即座に回避した。


直後。


横腹をかすめるように通り過ぎる、異形体の拳。


『回避はした……が――』


「うあああっ!」


触れてすらいない。


それでも拳の余波だけで、アルドリックの身体は数メートル吹き飛ばされた。


『ドガガガガッ!』


「ぐっ……!」


地面を転がりながら土煙を上げるアルドリック。


すぐに体を起こす。


そして異形体の位置を確認しようとした。




次回の話は2026年3月25日(水)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ