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44話

『ゴクリ』


勇気を振り絞ったが恐怖の方が強かったので、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

もしかしたら俺も、あの果てしない闇に落ちた枯れた土や雑草、小石と同じ運命になるかもしれないという考えが強く頭をよぎり、軽々しく動けなかった。

恐怖に支配され、先ほどとは比べ物にならない量の冷や汗が背中と額から噴き出した。

豪語はしたものの、俺も生き物だ。恐怖を感じ、体が固まってしまった。


「う……ん?」


悩んでいる間に足は自分の意思とは関係なく、自然と下へ降り始めた。


「だ、駄目だ!」


落下の危険を感じた俺は反射的に足を引き上げようとしたが、思うようにはいかなかった。

そして俺は信じられない現象を目撃し、体感した。


「これ……本当なのか?」


『コンコン』


俺の足が、見えない硬い何かを踏んでいる現実がどうしても信じられなかった。

だから何度も試してみたが、結果は変わらなかった。


『ドンドン』


「これ、どうなってんの? めっちゃ頑丈じゃん……」


恐怖に支配されていた先ほどとは違い、今の俺は原始人に戻った気分だった。

アルカンテラで使われる金属や、俺が知らない技術を知った時も、田舎者になった気分だった。

だが今はその感覚が10倍は強かった。


「この技術……何かわかればいいんだけどな……」


どんな原理なのか、せめてマナを使ったものなのかを解明して、もっと有益なことに使いたいという思いが強く湧いた。

地面に顔を埋める勢いで近づいて観察しているとだった。


『パッ』


「う……何だこの光……ん?」


目を開けていられないほどの眩しい光輝に観察を止めざるを得なくなった俺は、その場から立ち上がった。

そして太陽よりも眩しい光の源に向かって視線を向けた。


「何だ? 人間……か?」


かなり遠くだったが、そこに何があるかは幸いにも俺には分かった。

信じがたいが、人間がいた。

真空であるはずのこの宇宙に。


『そういえば俺がこの空間で生き延びているのもおかしい話だよな』


次の瞬間、俺はすぐに下した判断を覆さざるを得なかった。


『人間の形を取っているけど、人間じゃない……みたいだな』


俺はその存在の姿を見て悟った。

数えきれないほど多くの腕が一つの存在から伸びていた。

ホラー映画に出てくる触手のように形容しがたいほど奇怪で嫌悪感と恐怖を感じるはずだった。

だがそうではなく、畏敬の念と、家族と一緒にいる時よりもさらに温かく、心地よい感情が湧き上がった。

まるで春の優しい陽光のようだった。


「え? いつの間にこんな近くまで……?」


俺は気づいていなかった。

あの存在が近づいてくることをぼんやりと感じていた。

だが俺の認識とは裏腹に、俺は知らない間に歩いていたのだ。

自分が元いた場所が地平線の彼方に小さく見えるほど遠くまで、何らかの方法で一瞬にして移動していたのか、俺の常識では到底理解できなかった。


『ざっと見ても数十キロはありそうだ……』


俺が受け入れがたい現象について考えている間も、両足は歩みを止めなかった。

不思議なことにこんな長い距離を移動したのに、少しも疲れを感じなかった。


『何て言えばいいんだ?』


ポジウェル家の人間やアルドリックは俺をどんな人間だと思っているかはわからないが、少なくとも俺は一般的な基準で見れば口下手な方だ。

前世でもそうだったし、今もそうだ。

ただ運が良くて良い結果を出しているだけだ。

それでも俺は初対面で何を言うべきかの程度の分別は持っていた。


「……あの、こんにちは?」


光に包まれた存在は、俺が話すのを待っていたかのようにゆっくりと体を回した。

どんな方法かはわからないが、商品を紹介するためのターンテーブルに座っているように。

他の動きを見せず、ゆったりと回転して俺の方を向いた。


「あ……」


背中から放たれる後光は俺を配慮したのか、先ほどより柔らかくなっていた。

慈悲深い視線で俺を見つめるその方の容貌を見た瞬間、俺は今まで抱えていた不安や心配はもちろん、何を言うべきかと考えていたこともすっかり忘れてしまった。


「また会えて嬉しいな」


その方の尊い唇から、気品を感じる柔らかな声が発せられた。

だが俺はその声に込められた意味を理解するどころか、感じることすらできなかった。


『前に会ったことがあるのか?』


考えを整理して言葉を発しようとした俺の思いや意志とは裏腹に、体は勝手に動いた。


「無事で何よりです」


「元気そうで嬉しいな」


『元気?』


俺は今生での波乱万丈な出来事を思い出した。

楽なことばかりだったかと聞かれれば、きっぱり否定できる。


「ふふ、相変わらずだな」


俺の考えを見透かしたかのように。

三千大千世界を見通すその方は、無限の慈悲に満ちた微笑みを俺に送ってくださった。


「もう少し話したいところだが、今は忙しい頃だろう」


「ええ……今はそうです」


俺がぼんやりとした声で答え、どうしていいかわからずにいると、その方は数えきれない腕の中の一つを俺に伸ばされた。


「次は自分の力と意志で俺に会いに来なさい」


「それって一体……!?」


俺が言葉を終える前に、その方の掌が優しく俺の胸に触れた。

軽く押される感覚とともに、俺の視界は真っ白に染まった。

私の作品に貴重なお時間を割いて読んでくださる読者の皆様に、心より感謝申し上げます。

また、皆様のご家庭と、貴方が取り組まれているすべてのことや計画が順調に進み、

さらには幸福と健康に満ちあふれた日々となりますよう、心からお祈り申し上げます。

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