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40話

「くそっ! あと少しで片付くって時に攻撃かよ!?」


『どうか間違いであってくれ……!』


俺はすでにわかっていた。エヴァン少領がただの負けず嫌いや遊び心で満ちた人物じゃないこと。だから、ないことをでっち上げるほど悪辣じゃないこと。

それでも俺は切に願った。まだ目的地に着いてないこのタイミングで、貴重な人材が消耗されてこれからの遠征が難しくならないことを。


後方に設置されたレンズと接点を繋ぐ操作をして、俺は外の状況を確認しようとした。


「お前ら! 坊ちゃんは絶対守れっちゃ! わかったかね!」


「了解!」


「その返事が気に入ったばい! 全員、防陣を取れよ!」


『カツカツカツ』


すでにそれぞれ対応するため、精巧とは言えないが個々人が陣を組んでいた。

そんな慌ただしい時にエヴァン少領が指示を出すと、比べるものがないくらい無駄のない動きを見せた。

それはまるで一つの有機体のように見える、秩序正しく迅速な極みだった。


すでに配置されていた障害物を活用して隙間を盾や荷物で埋め、展開している光景を、エヴァン少領は無言で見守っていた。


『ズカズカ』


「エヴァン少領! 俺たちにも……!」


部下たちと連携しようと駆け寄る騎士たちの姿を確認したエヴァン少領は言った。


「万一に備えて待機してくれっちゃ」


『それがどういう意味で……! 俺たちも一緒にやれば簡単に……!』


冷静を保っていた騎士が、荒っぽい性格の騎士の口を塞いだ。


「少領は今の攻勢が全部じゃないと判断されたんですか?」


エヴァンは騎士の質問に肯定も否定もせず、ただ真剣な目で見つめるだけだった。


「わかりました、無駄なことを聞きました」


「おいお前! 今何言ったか説明を……!」


荒っぽい性格の騎士が何か言おうとするのをまた塞いだ騎士は、静かに後退して俺が作業中の場所近くで待機した。


『カチッ』


「これで終わり……うっ!」


レバーがスムーズに回り、ノコギリがもう木を切る音がしなくなったので視線を移した俺に、信じられない状況が映った。


「これ一体なんだ……?」


『ここまで予想してたのか?』


遠征隊が村に着かないよう手段を選ばないほど、邪教徒たちはあまり良い状況じゃないと思っていた。


「杭か……」


障害物の山に隠れていた杭は、地盤が不安定な時に使う工事技法の鉄杭と同じ役割を果たしていた。

ただの杭だが、その効果は機体を使って除去しても相当な時間と労力がかかるほど厄介だった。


俺はスピーカーを起動してすぐにエヴァン少領を呼ぶことにした。


「エヴァン少領! ここに来てくれ!」


「終わったら終わったって言ってくれれば十分なのに……これ何じゃ……」


エヴァン少領は予想より遅れる作業の原因を目撃した後、顔から血の気が引いた。


「あちゃー! 頭に来るばい!」


数秒で我に返った彼は振り返って部下たちに叫んだ。


「坊ちゃんが終わるまで、もう少し時間かかるばいお前ら!」


「ちょ、ちょっと!」


俺は彼が余計なことを言って士気を下げる結果を望まなかった。

だがすでに事は起きた。


『トントントン』


障害物と盾を邪教徒たちがスリングで飛ばす弾丸、粗末な矢、石が叩いた。


「弱っちい奴ら死ね……! げっ!」


『プスッ』


突っ込んでくる邪教徒を無表情の兵士が出した槍が沈黙させた。


「うっ! うわぁっ!」


『バキッ』


「ぐっ!」


邪教徒たちもハンマーで首を潰されて死ぬなど被害が出たが、味方にも士気が下がったせいで徐々に被害が出始めた。


生と死が交錯する戦場に、妙と言えるほどの静けさが漂っていた。

エヴァン少領と遠征隊の面々は、一見士気が落ちたように見えた。

徐々に沈静化する面々、動揺はすでに騎士たちの配下を除けば全員に広がっていた。

それとは逆に邪教徒たちの勢いは天井知らずで上がった。


このまま士気を落とす気はないのか、エヴァン少領は片方の口角を上げて言った。


「高い飯食ってここまで来た理由、死ぬほどきつい訓練した理由、思い出せんのかお前ら!」


「殺す!」


「勝つ!」


「それだばいお前ら!」


遠征隊の士気が急に持ち直すのを見て、エヴァン少領は狂気じみた喜びを宿しながら演説を始めた。


「俺たちが一番上手いことは何じゃ言うてみろ!」


「殺す! 殺す! 殺す!」


「あの馬鹿どもに残ってるものは何じゃ!」


「殺す! 殺す! 殺す!」


「侯爵閣下が俺たちに何せんと言ったか思い出せ!」


「殺す! 殺す! 殺す!」


「派手にやれ!」


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


防壁に近づく邪教徒たちを、エヴァン少領の部下たちは溢れる勢いで突き刺して殺した。


「うわぁぁぁっ!」


『プスッ』


「ぎゃぁぁ!」


『ウトッ』


「我が主よ……!」


気圧された邪教徒が足を止め、自分たちの神を呼ぶと、冷たい武器が飛んだ。


『ブン』


「ぐへっ!」


遠征隊が正常化したのを確認したエヴァン少領は俺に言った。


「心配せんでええけん、しっかり片付けてくれよばい!」


俺は勢いで圧倒する光景を見ながら、忙しく機体を動かして確実に片付け始めた。

次回の話は2026年1月14日(水)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!

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