3話
「ふう…」
俺は流れ落ちる汗を用意された乾いたタオルで拭きながら、呼吸を整えた。
- 一応筋は通ってて、ここまで順調だったけど…-
ゲームで得た知識のおかげで、そう遠くないうちに自分のものを手に入れ、作り出せる境地に達することができた。
俺の成果を見た父上が直接言った言葉だから間違いない。
-デミアン、お前はフォジウェル家史上最高の天才だ!これから3年以内に俺と同じ境地に達すると断言する!-
ゲームじゃ資源や時間が足りなかったり、制御不能な変数が多すぎて、理想的な機体や道具を作れず、できる限り近づけるのが精一杯だった。
-もう少し速く…-
「ふっ…」
-パチパチ
順調に進んでるのに、欲張ってさらに速く進めようと休みも取らずに知識習得に没頭しようとする心を、俺は頬を叩いて正した。
-速さは大事じゃないって言ってたよな。-
前世で俺にいろんなことを教えてくれた友達であり師匠は、速さよりも方向性が何よりも大事だって言ってた。
-いくら速く進んでも、結局は皆同じになると…-
今リードしてても、永遠にリードし続けられるわけじゃない。
逆に言えば、永遠のビリもないってことだ。
「ご苦労様でした、デミアン様。」
「何か用か、アルフレッド?」
父上の最側近である執事アルフレッド。
執事にしてはめっちゃ有能で賢いけど、主を出し抜こうとしないし、傲慢でもない。
その証拠に、俺を軽く見たり、負担に思ったりしない。
フォジウェル家を陰で支える大事な人物の一人だけど、書斎を訪れる時以外はあまり会う機会がない。
彼に会うのは、今回みたいに両親が俺を呼ぶ時だ。
-そろそろ下の者に任せてもいいだろうに…本当に真面目だな。-
「奥様がお呼びです。」
-!-
「母上が?」
「はい。」
無表情なアルフレッドとは正反対に、俺の緊張は一気にMAXになった。
-最近、あれこれ言い訳して剣術の授業サボったから当然か…-
嫌いじゃないんだ。
人の動きを反映して、さらに動く機体を作るには剣術も必要だからな。
それでも俺が剣術の授業をサボる理由は一つしかない。
-来た師範たちのレベルが低すぎる。-
誰だってグラフで言う六角形みたいに完璧になれるわけじゃないのは分かってるし、なれないのも理解してる。
でもさ、人と人の間には最低限の基準ってもんがあるだろ。
-剣術に関しては素人の俺が見てもダメダメだったよな。-
理論ばっかり重視したり、説明がグチャグチャだったり、実戦って呼ばれる応用を無視した訓練方法だったり。
「はあ…」
そんな不合格な師範たちを思い出すと、思わずため息が出てしまうのを抑えきれなかった。
だからこの1ヶ月で師範が5人も入れ替わったんだ。
-みんな優秀な剣士を育てた経験豊富な師範だってスカウトしたのに、このザマかよ。-
俺の目が厳しすぎるせいで、両親、特に母上に迷惑かけてるみたいで、すげえ申し訳なくて、針のむしろに座ってる気分が抜けなかった。
「ご心配なく、デミアン様。」
「え?いや、俺は…」
心配なんてしてねえよって言おうとした瞬間、アルフレッドが先に口を開いた。
「奥様もこの状況を望んでいたようです。」
「え…」
ってことは、まさか?
-俺の眼力を試そうとしたってことか?-
「奥様は次の予定があるので、お急ぎください。」
「分かった。」
俺は用意された乾いた服に着替え、アルフレッドの後を追った。
次回の話は15日(金)午後8時にアップロードされる予定です。
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