38話
コックピットに乗り込む前に、俺はまず回転スイッチを操作した。
『カチッ』
『ギィィィィン』
『ドン』
『シュー』
するとコックピットと外を隔てるハッチが閉まり、空気が抜ける音とともに密室が完成した。
操縦席と外が完全に切り離されたことで、よりはっきり感じられた。
金属の冷たさと硬さ、そしてスムーズな動作のために塗られた潤滑油の独特な匂いだ。
『トン』
「本物みたいだな……いや、本物だ」
エーテルブレイドでは、機体やコックピットをここまで詳細に描写してなかった。
だから今俺が体験しているすべては現実だと、五感が強く叫んでいた。
俺はすべての歯車とベアリング、駆動系が正しい位置に移動するようレバーを引いた。
『カタカタカタ ズララララ』
『ギィィ カチッ』
コックピットが密室になったおかげで、目に入る光の量が極端に減った。
突然の変化に少し待つと、徐々に適応して内部がはっきり見えてきた。
本物のベテランパイロット――俺が作った系統はベテランが存在し得ない最新型だが――のように、起動シーケンスを無駄なく進めることはできなかった。
だが俺はこいつの創造者だから、そこそこ上手くレバーとボタンを動かして起動準備を続けた。
「マナタンクは……問題ないな」
今この機体が出せる規定出力の限界を超える力を出すために用意した集積器とマナタンク、使わずに済むことを俺は切に願った。
そう思いながら、ヘルメット兼用の原始的なモニター装置を頭にかぶった。
『もう少し改良が必要だな』
従来の機体は、前面の小さな隙間から外の状況を確認するしかなかった。
地球で大体千年前に使っていた甲冑と同じだ。
それでは素早い判断と反応は無理だと判断した俺は、機体の各部に解像度は低いがレンズを設置した。
そしてヘルメットに装備したゴーグルを通じて外の状況が見えるようにし、頭の向きに合わせて接点が移動して別の方向を見られるようにした。
「これも異常なしだ」
外の景色は実際の目で見るのに比べれば劣るが、支障ないくらいよく見えることを確認して俺はほっとした。
『何度も整備したけど完全に新造だからな……』
問題が出てもおかしくないと思いながら、俺は機体の指関節などを操作した。
『カチャカチャ』
『ギリギリ』
「いいぞ、よく動く」
『ビクッ』
「ん?」
コックピット内部は外と完全に隔絶されていた。
それでも感じられた。
冷たく鋭い気が、俺の首から始まって背筋を伝って降りてくるのが。
「錯覚ならいいんだが……」
前世から、俺が危機に陥りそうになるたびに感じていた、予兆と言ってもいい感覚。
ほとんどの場合、この予告のおかげで無事に切り抜けられた。
この感覚が発揮されたのはアルドリックと出会った時だ。
天運が味方して彼を仲間にできた時に感じた感覚がまた蘇り、俺は少し動揺した。
「使わずに済めばいい」
数日間仮設工房で必死に準備した装備を、別の方向のレンズを通じて見た俺は深呼吸した。
初実戦で敏感になってるだけを願って、俺は180cmの身長を持つ男。
理論上その二人を縦に並べたくらいの約二倍の身長(約5.5m)の機体を起こした。
『ギィィィィン』
小さい歯車と大きい歯車がかみ合い動力を伝え、無駄な摩擦を減らすためにベアリングも作動しながら少しの騒音が聞こえた。
『ウィィィン ドンドン』
すぐに俺の視界は、大人になってもなかなか見られない高さに位置した。
『ドンドン』
馬車から数歩離れて四肢以外も動く部位の状態を確認しようとレバーを操作した。
「いい、俺の意志通り動く」
出発前、ギアの状態を確認して通常運転は問題ないと確かめておいた。
『本当に……大丈夫かな?』
機械の誤作動は人が作ったものだから当然あることだ。
『軌道エレベーターやステーションができる前はロケットってもので宇宙に出たって言ってたな』
その頃は多くの時間、人力、資本と労力を注いでも、発射してまた地上に戻って爆発し、高い花火になることもあった。
ましてや有人宇宙船の場合、乗員たちと一緒に軌道を上がりながら酸化することもあった。
そんなことを考えながら機体に装備された道具が無事展開されるのを確認している時だった。
『ドンドン』
俺が乗った機体に比べ少し軽い地響きが聞こえて視線を向けた。
そこには外骨格スーツを静かにテストし、動作範囲と状態の確認を終えたアルドリックがいた。
「前には見なかった物がついてるな親分」
少し改良された外骨格を着用したアルドリックの身長は180cmの男の1.5倍(約2.7m)になっていた。
彼の質問に俺は外部スピーカーにつながる(地球のものと同じく高品質のスピーカーじゃない)レバーを押し上げ、声が外に伝わるようにした。
「緊急用に付けておいたよ」
俺の言葉を聞いてアルドリックは自分の着用したスーツと俺の機体の後部に付いた装備を見て、悟った表情を浮かべて言った。
「マナで駆動する装備だな」
「そうだ」
「俺も使える装備か?」
「ずっとマナ溜めてるから、無茶しなけりゃ永久機関みたいに動き続けるさ」
「本格的に稼働したらどれくらい使える?」
彼の質問に俺は以前計算した値を思い浮かべて言った。
「長くて1年、短くて5分」
「なるほど」
そのまま流そうとしたアルドリックは目を細めた。
そして信じられないという顔で俺の機体の後部に近づき観察して言った。
「何か問題でもあるのか?」
「エーテルをどうやって手に入れたんだ?」
『エーテル?』
俺は彼の質問が全く理解できず首を傾げた。
「マナだけ使ってるけど?」
「でもこの反応は明らかに……あ! そういうことか……」
「一体何の話だ?」
「いや、何でもないから気にするな親分」
もっと詳しく聞こうとしたがアルドリックの顔はいつものように無表情になった。
「じゃあ早く片付けに行こう。日が暮れる前に村の状況を確認しないとな」
『コクン』
そうして俺は外骨格スーツを着用したアルドリックと一緒に、再び障害物で塞がれた現場に向かった。
私の作品に貴重なお時間を割いて読んでくださる読者の皆様に、心より感謝申し上げます。
また、皆様のご家庭と、貴方が取り組まれているすべてのことや計画が順調に進み、
さらには幸福と健康に満ちあふれた日々となりますよう、心からお祈り申し上げます。




