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34話

『わあ……』

一団の姿はまさに感嘆せざるを得なかった。

フェリックスから指示を受けたエヴァン少領とガレット卿が、選抜に厳選を重ねた精鋭兵と熟練騎士を選んだことがわかるほどだ。

『びくり』

俺はぼんやりと霧の向こうの彼らを見つめていた。

するとその中の一人が俺の視線を察知し、前へ歩み出た。

『ガチャガチャ カツン』

一人が出てくると、他の者たちも足並みを揃えて俺の前に素早く近づいてきた。

「早朝からお目にかかり光栄です、デミアン坊ちゃん!」

『ドン』

騎士たちの甲冑、兵士たちの簡易胸甲を叩く音が静かな要塞に響いた。

鍛え抜かれた武人たちの視線が一斉に俺に向けられる状況は、耐えがたかった。

だから俺は軽く頭を下げてその場を離れた。

夜明けの空気が熱く感じるだけでなく、俺に向けられる熱視線は昔から苦手だ。

『確かに頼もしくてかっこよかったな』

メンテナンスのため関節部と表面に塗られた防錆油の匂いがフルプレートアーマーから濃く漂っていた。

それでも男のロマンであるフルプレートアーマーの威容は圧巻だった。

「ソードエキスパートとは……ガレット卿も只者じゃないな」

アルドリックの中喃きを聞き逃さなかった俺は、好奇心を抑えきれなかった。

「ソードエキスパート? ソードマスターとは何が違うんだ?」

その質問にアルドリックは呆れた顔で俺を見た。

すぐに頷いて納得した表情を浮かべ、俺の疑問に答えた。

「ソードマスターの境地に関する話だな」

「初めて聞いたぞ?」

「無理もない、明確に分けられるものじゃないし、一般人にはあまり知られてないからな」

彼の説明を聞いてようやく俺は納得した。

『そういえばエーテルブレイドでは一括りでソードマスターって言ってたな』

これ以上疑問が湧かない俺だった。

だがアルドリックは何かの風が吹いたのか、重い口を閉じずに説明を続けた。

「マナを剣の形に作る境地がソードユーザー、マナを精製してより硬く切れ味の優れた剣を作るのがソードエキスパート、マナ以上の結合力を持つエーテルに近いマナで剣を作り出すのがソードマスターだ」

「へえ」

『開発者がこんな設定隠してたなんて!』

もしくは彼らがちゃんと作れなかったのかもしれないと思った。

「純粋なエーテルブレイドを作るのがグランドソードマスターと言ってるけど……」

「けど?」

「想像の中だけの境地だってさ、これまで誰も見たことないんだと」

さらにアルドリックは、各境地ごとに感覚が一般人の数倍、多いと数十倍に増幅されることも教えてくれた。

「怪我しても維持されるのか?」

「ん……考えたこともなかったな親分」

アルドリックは少し驚いた顔をして集中した。

少し時間が経ち、再び目を開けて俺を見て、少し楽しげな顔で言った。

「鋭いな親分? 半分くらい減ってるけど、ある程度は維持されてる」

「回路が切れたときと比べてどうだ?」

俺の質問に、彼は少し考え込んで肩をすくめた。

「さあな……あの時は逃げるのに必死だったから、よくわからんよ」

「ふむ……」

俺は無理に思い出せとは言わなかった。

『まさか……自然回復したんじゃないか?』

一瞬浮かんだ推測を俺はすぐ否定した。

本当に俺の推測が当たっていたら……剣士たちが狂ったように回復法を探し回る理由がないじゃないか……

遠征が終わったら専門家に聞いてみようと思いながら足を運んだ時だった。

『カツン』

「領主の後継者、デミアン様をお守りする騎士です。旅の無事を誓います」

熱意と自信に満ちた騎士の瞳。

見ててとてもいいが、それとは別に俺は負担を感じた。

無意識に胸に秘めていた思いを、口から漏らした。

「君の心構えは立派だ!」

「ありがとうございます! デミアン坊ちゃん!」

「でも忘れないでくれ、この遠征はあくまでポジウェル家の名の下で行われる開拓村の状況確認で、最悪の事態なら収拾だ。だから俺にばかり気を取られるな」

「承知しました!」

『ズカズカ』

見知らぬ者たちと意図せず二度も顔を合わせることになった。

少し人見知りする俺にとって、彼らは目が痛いくらい輝いていた。

これ以上話すこともないので、俺は彼らの後を追って外へ出ようとした。

だがその時。

俺が珍しく感心した顔をしていることに気づいたのか、アルドリックが言った。

「もう少し士気を上げる言葉をかけてやってもよかったんじゃないか親分?」

「俺が余計なことを言ったら、逆に士気が下がるだろ」

「俺にはそうは見えなかったけどな……」

「一日二日俺のそばにいたわけじゃないのに、そんなこと言うのか?」

「下の者たちにもう少し励ましをって意味だよ親分」

俺は何を言ってるんだという視線を送った。

「あいつらが俺の言葉で揺らぐほど弱かったら、選ばれてもいないだろ?」

アルドリックが珍しく諫言するくらいだから、必要だったんじゃないかと思った。

「まさか……出発前から俺が空気悪くしたのか?」

俺が心配げに言うと、アルドリックは淡々とした声で答えた。

「ん……そんな感じじゃないけどな?」

「そうか?」

「ただ……いや、大したことじゃないよ親分」

その最後の言葉がどうしても気になった俺が、追及しようと口を開きかけた時だった。

次回の話は12月16日(火)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!

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