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31話

「まだ報告が残っているはずだ……続けてくれ、ガレット卿」

「了解や」

ガレットが軽く手を振ると、

兵士は額の汗を拭う間もなく、次の写真をホログラムに映し出すのに必死になった。

ようやく終わってホッと息をつく。

「あいつらが来た日のやつや」

「いないな」

「せや、問題は当日やなくて二日も経ってからやっちゅうことや」

ガレットの意図を察したフェリックスは、

鋭い刃のような眼光でガレットを射抜いた。

そして頭の中で整理した結論を、重い口調で吐き出した。

「つまり、あの村はもう邪教徒の手に落ちたということだな、ガレット卿?」

「その通りや! せやからこそ……」

『ズカズカ』

『カツン』

元々余裕のない顔に、さらに緊張を滲ませたガレットは、

重い足取りで二歩下がり、フェリックスから距離を取った。

そして騎士らしく片膝をつき、威厳と覚悟を込めた声で告げた。

「侯爵はん! 要塞司令官たる騎士ガレット、責任を取るため出陣を願いまっせ! お許しください!」

フェリックスは中年騎士の姿と瞳をじっと見つめ、本心を探った。

ややあって、厳かな声で答えた。

「その願いは叶えられん」

「どないしてや!」

「それはお前にも……」

フェリックスが理由を説明しようとしたその瞬間――

指揮室の外が騒がしくなった。

固く閉ざされた扉の向こうから、どんどん近づいてくる怒声と足音。

「少領殿……!」

「今行ってもどうするおつもりで……!」

「これが一番や! どかんかい!」

『ガチャン』

「少領」と呼ばれた男が、きびきびとした足取りで入ってきた。

フェリックスの前に立ち、

『カツン』

儀仗隊も顔負けの最敬礼を決めた。

「侯爵閣下! 村への派遣任務に志願しに来ました、エヴァン少領やがね!」

方言と声と顔で一目瞭然。

二日前の演武会でガレットと一緒にいた丸顔の男だ。

「おい! なんちゅうことや! 俺の前で「行かん」言うたんは嘘やったんか!」

「兄貴、どんなに考えてもそうはいかんばい……」

「将校が! それも司令官が自ら危険地帯に行くってなんやねん! 頭ん中に何入れとるんや!」

「兄貴の言う通り俺は将校や、だから前へ出て指揮せんといかんばい! せんかったら軍服着て高い飯食う意味がなかやろが!」

エヴァン少領の歯に衣着せぬ勢いに、

先ほどまで熱弁してたガレットが唖然とした顔になった。

「兄貴がダメって言っても俺は行くばい! 行ってあいつらが死ぬか俺が死ぬか、どっちかやがね!」

指揮室の空気は重いうえに、さらに熱を帯びた。

息苦しくなった俺が何か言おうとしたとき、

固く閉ざしていた口をフェリックスが開いた。

次回の話は12月1日(月)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!

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