表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/46

25話

「大丈夫か、デミアン?」

-ドスドス-

「今回の短い旅が初めての外出だろう。」

前世では望む望まざるに関わらず、生きるために外に出なければならなかった。

だが今世はそうじゃない。だから、車酔いと痛みでうめく俺とは違い、フェリックスは平然としていた。

「はい……少しずつ良くなってます。」

「無理するなよ。」

「男としてうめきながら座っているわけにはまいりません。」

「ハハハハッ! そうだ、ポジウェル家の男ならそれでいい!」

しばらく俺をじっと見つめていたフェリックスは、再び口を開いた。

「要塞の作業現場には、お前が改良した機体がすでに届いてるぞ。」

俺のことが心配なのか、フェリックスは言葉を一瞬止めた。

「動きづらければ、少し延ばしても構わん。」

「えい、ご安心ください。」

俺が立ち上がると、フェリックスは安心した表情で頷いた。

「では行こう。」

そうして大股で歩く実父の後を、俺はついていった。



「これが今使ってるやつよりええってか?」

髭を生やした頑固そうな男は、俺が改良した機体をちらりと見て、気に入らないのかすぐに首を横に振った。

そしてまた不平をぶちまけた。

「これ、前のと何も変わらんやんか! どこの馬鹿が変えたって言うとるんや?」

「おっちゃん、口ば気ぃつけんね!」

男の横で静かに見守っていた丸顔の男が、素早く口を塞いだ。

「おっちゃん、後作様の息子さんがやったばい! 口ば滑らせてクビになったら、もう行く場所もなかばい!」

-パチン-

兄貴と呼ばれた髭の男は、自分の口を塞いだ手を払いのけ、眉をひそめた。

「くそくらえ!そらどうでもええわ! 関係あらへん! 物がアカンかったら文句言うのが当たり前やんか、貴族やからって遠慮するわけないやろが!」

「おっ、おっちゃん!」

「そんでもしちょっとでもマシになったってんなら、もっと早くうまくいったはずやんか!」

-なるほど…-

現場で働く者たちと監督する者たちの立場を把握できたのは有益だと思った。

-もちろん、気分は良くないがな。-

フェリックスの後を歩く道すがら、偶然耳にした声。

俺は他人の考えが変わることより、技術が世界を良くする光景を期待していた。



-ギギギギ-

-ウィーン-

-ゴォォォン-

「は、はは! なんじゃこりゃ! おっちゃん! 見たばい?」

「くぅぅ…」

俺は改良を重ねた機体と、従来使われていた機体の性能披露会にいた。

悩みに悩んで構造を変えた機体は、従来のものに比べて3倍以上の作業効率を示した。

-これなら変革を起こせる。-

今与えられた運命の流れを、少しでも変えられることに喜びながら、俺は現場にいる全員の表情を観察した。

-固まった考えを変えるのは難しいが、始まればいつも嬉しいものだ。-

さっき酷評していた男とその周囲の者たちを見た。

皆、同じような考えを抱いているのか、一様に糞を噛んだような顔をしていた。

-うーん…やはり改善すべき点があるな。-

他の人にはわからないかもしれないが、俺の目にははっきり見えた。

継続的な改良を経て革新的とは言えないまでも、それなりの信頼性を備えた従来の機体とは違い、俺の手を経たものは時々動きが止まったり、反応が鈍かったりする。

-模擬試験と現場試験は違う。それが全部必要なんだ…-

屋敷で石を詰めた箱や木の樽で試験していた時とは全てが違った。

不整地での作業ゆえに、機体にかかる負荷が俺の想像以上に大きく、想定通りに動かなかった。

次回の話は11月1日(土)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ