24話
-ガタガタ-
「うううっ…!」
-くそっ…-
万が一の事態に備えて救急薬や予備の服、非常食などを徹底的に準備した俺。
小さなバックパックにぎゅうぎゅう詰め込んで背負った姿を見て、フェリックスは過剰反応じゃないかと口にした。
でも準備万端なら怖いものなしだと思って準備してたけど…
-キィィィー!-
「到着しました、デミアン様。」
-カチッ-
御者が目的地に着いたと告げるやいなや、俺は馬車から飛び出した。
「ふう…死ぬかと思ったぜ。」
これまで全く知る由もなかった事実を、短い道中で嫌でも知ることになった。
-こんな強制的な方法で習得したくはなかったけどな…-
映画や観光地でしか見たことのないもの。
地球の車とアーカンテラの馬車は、比べるまでもない。
到底人が乗るものじゃない。
-衝撃吸収の目的を果たさないサスペンション、地面の凹凸をそのまま乗客に伝える車輪、しかも…-
「正道」と呼ばれるほど安全で整備された立派な道の評判だったけど…
俺から見れば、地球の舗装道路とは天と地ほど違う酷い状態だった。
-帰りもあの拷問器具に乗らなきゃいけないのか…-
嬉しい誤算じゃなく、恐ろしい現実としか言いようがない状況。
少し無理してでも一刻も早く改良しないと、この世界でまともに生きられないって強く思った。
-とりあえず道路が問題だな…-
次に馬車のような輸送手段の改良か、なんて考えていると。
「うがぁぁあ!」
アルドリックが大あくびをしながら、ゆっくり馬車から降りてきた。
「はぁ、貴族様の馬車は別格だな! ぐっすり眠れるくらい快適だとは思わなかったぜ、親分!」
馬車に乗ってすぐいびきをかいて爆睡してたアルドリック。
いつも疲れ切った顔してた頃とは違い、爽やかで明るい顔の彼と違って、俺はうめくしかなかった。
「ん? 親分、車酔いでもしたのか?」
「うっ…俺はこれが初めてなんだよ…」
「それってどういう意味だ?」
あまりに簡潔すぎて意味がわからず、呆けた顔をするアルドリック。
「あ…!」
少し時間が経ってようやく理解したのか、彼は手のひらを叩いてパチンという音を立てた。
「今まで一度も馬車に乗って外に出たことなかったのか?」
「あったらこんな苦しむこともなかったさ…うっ!」
頭と腰が痛くて気持ち悪い俺を、アルドリックは心配そうな目で見つめた。
「俺が乗ってきた馬車が本当にいい方なのか?」
「これよりひどいのを平民どもが乗ってるぜ。」
「ひどいってどの程度?」
「衝撃は今と比べ物にならないし、まっすぐ進まないような代物だ。」
「本当か?」
「そんなことで嘘ついて俺に得があるか? せっかく築いた信頼を全部失うだけだぜ。」
「はぁ…」
地球じゃ絶対に経験できない乗り物に苦しみながらも、やるべきことがある喜びを感じた。
私の作品に貴重なお時間を割いて読んでくださる読者の皆様に、心より感謝申し上げます。
また、皆様のご家庭と、貴方が取り組まれているすべてのことや計画が順調に進み、
さらには幸福と健康に満ちあふれた日々となりますよう、心からお祈り申し上げます。




