20話
「うーん…」
俺はデータシートに記載された鋼材を眺めながら、頭の中でさまざまな状況をシミュレーションした。
-どの素材を骨格に被せる装甲板に使えばいいんだ?-
自分で作るのは初めてだから、ほんの小さな部品や部位にも悩まずにはいられなかった。
-今運用中の機体は、万能を目指さず特化型にしているって話だったな。-
攻城戦専用の二足歩行兵器の設計思想は、図面を見ても極めてシンプルだった。
機動性を捨て、重量物や魔法攻撃に確実に耐えられるよう、防御力を最優先にしていた。
-集団同士、強大な力がぶつかり合う軍隊で使うなら、妥当な設計だ。-
だが、今俺が考えるべき機体、アルドリックが使うものは違った。
彼は俺の剣術師範であり、同時に護衛だ。
今のところ、俺に危険な状況が訪れたことは一度もない。
だが、この時勢がいつまでも安定していると断言はできない。
-辺境はもちろんだが、首都や他国も騒がしくなってるからな…-
大勢がぶつかり合う軍隊で使うものとは違い、アルドリックがこれから直面する状況は一つに特定できない。
-こりゃ…悩めば悩むほど、どんどん深みにはまる感じだな。-
全てを掴もうとすると、悩みが尽きないことは自分でもわかっていた。
だが、どれ一つ諦めるのも難しかった。
-カチカチ-
いくつかのボタンを押した後、マナを流してセキュリティ回路の認証手続きを通過した。
-カタン-
小さなホログラム投影回路とともに現れる、シンプルな数個のボタン。
信じられないことに、これはポジウェル家の先祖が数百年前に残した原始的な人工知能だった。
-正確にはコンピュータに近いものだが…参考になるものもない時代に、よくこんなものを作ったな?-
先祖がどれだけ先を見据えて、こんなオーバーテクノロジーの産物を作ったのか疑問に思いつつ、工学者としてそのプロセスを一つ一つ詳しく知りたくなった。
-カタカタ-
-シュシュシュシュ-
俺の要求を反映したホログラムが空中に浮かんだ。
答えが簡単に出たのだから、喜ぶべきだった。
「はぁ…」
だが、そうじゃなかった。
-これじゃ、装甲板を付けず、骨組みだけで走る車みたいなものだろ。-
どんな状況にも対応できる、万能に近い装甲板を作るための素材選びに役立つ例を挙げてくれと頼んだ。
なのに、地球で数百年前に作られた、アルミ製の装甲車と同じで、防御力はもちろん信頼性にも欠ける素材を提示してきたのだ。
-装甲板でこんなに頭を悩ませるなら、必要な時にマナでバリアを作る方向に切り替えた方がいいかもしれない。-
なかなか解決策が見つからない中、俺は迂回を考えるようになった。
「いや、それもいい方法じゃない。」
一つ目の理由は、マナの消耗が激しいことだ。
-捕集でマナを継続的に供給できるようになったとはいえ、まだ時期尚早だ。-
アルカンテラのマナ蓄積技術はまだ歩み始めたばかりで、30分程度のマナバリアを維持するのも難しい。
二つ目の理由は、アルドリックのようなマナを扱うのが苦手な人にとっては、ただの鉄の塊でしかない、使い物にならない機体になってしまうことだ。
「しっかりしろよ。」
焦ってはいけない。
-パチパチ-
速さより確実さが大事だ。
軽く頬を叩いて気分を切り替えた俺は、先祖の隠された遺産である原始AIをぼんやりと見つめた。
-道具にこれ以上の結果を期待しちゃダメだ。-
大事なのは、自分が手綱を握って解決していくことだけだと、自分の信念を再確認した俺は大きく伸びをした。
次回の話は10月7日(火)午後8時にアップロードされる予定です。
ぜひご覧ください!




