19話
「ふう…ハハッ! こいつ、めっちゃいいな!」
「気に入ったか?」
「言うまでもないだろ!」
十数分間、剣を振り回しながら工房内を縦横無尽に動き回ったアルドリック。
彼は額を流れる大きな汗を拭いながら、俺の質問に一瞬の迷いもなく答えた。
-ん?-
突然、彼の顔色が変わるのを見て、俺は思った。
-試作品だから完成度が低いってことか?-
今後はもっと精度を上げて満足させなきゃ、と考えていると、アルドリックの声が耳に届いた。
「念のため聞くけど、親分。」
「やっぱり、俺の予想は外れなかった!」
「う、うん、言ってみろよ。」
真のソードマスターと呼べる境地の目前にいる男の口から出る言葉に、俺は全神経を集中させ、一言も聞き逃さないよう注意を払った。
「今の状態が最終形態じゃないよな?」
「だ、当然だろ! まだ完成なんて程遠いぜ。」
完全に予想外のアルドリックの質問に、俺は気が抜けてしまった。
でも、一方でホッとした。
-参考になるものが何もない状態で作ったけど、悪くないってことか…はぁ、よかった!-
「まだ装甲板の選定も終わってないし、マナフラックスコアもまともなテストができてない…」
本格的に説明を始めようとした俺を、アルドリックが素早く止めた。
「そんなことやってたら、何年かかるんだ?」
「そんなにかからないよ。」
どうやら機体がかなり気に入ったらしいアルドリック。
一刻も早く乗りたくて、気が狂いそうなくらい感情を抑えきれない様子を見せていた彼に、俺は言った。
「10ヶ月くらいかな?」
「10ヶ月!?」
「俺も時間かかりすぎってわかってる…」
「いやいや、今まで見てきた製作時間に比べたら、ありえないくらい短いってことだよ、親分!」
「え?」
俺はアルドリックから、兵器や建設機械を作るのに少なくとも5年はかかるという話を聞いた。
「一体どんな魔法を使ったんだ、親分?」
「ふふ、道具が良かっただけさ。」
俺はアルドリックに詳しい説明をしなかった。
機密を守らなきゃいけないことを忘れちゃいない。
俺、そして家族や俺の仲間たちの生存が確実になるまでは、絶対に秘密を守らなきゃならない。
「まだ装甲板がないから、代わりのものを入れるかと思うけど、どうだ?」
「悪くないと思うが…」
アルドリックは少し考え込んだ後、言った。
「重くなってもいいから、確実なやつをつけてくれ。」
「わかった。」
俺はそれ以外にもアルドリックが求める要求を一つずつノートに書き込んだ。
話は続いたが、俺の意識は次の作業に向かい、その形もはっきり見えていた。
次回の話は10月2日(木)午後8時にアップロードされる予定です。
ぜひご覧ください!




