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14話

「お父さーん、商会長さーん、どこにいるのー?」

-グスッ-

ガリンドと実父を探す幼い声の主。

屋敷が広すぎて道に迷ったらしい。

-今、俺にとって急ぎなのは、目の前の装備の正常な動作を検証することだ。-

道に迷った子が正しい方向に進めることを願いながら、俺は試験に集中した。

-カチッ-

-タタッ-

「お父さん? ほんとにどこにいるのー?」

-グスグス-

俺が作業に集中できるように静かに待機しているアルフレッドなら、この状況を良い方向に導いてくれると信じ、俺は捕集機に集まったマナを、

バッテリーと呼ぶのも恥ずかしいこの時代の貯蔵装置に移す実験を進めた。

-カチッ-

-ピカッ-

-ウーーーン!-

「おおおお! ワハハハハハ!」

思わず溢れる歓喜の笑い声。

狂喜の笑いを抑えきれなかった。

「そう、これだ!」

「ひゃあああ!」

マナが貯蔵され、青い光が薄暗い工房を鮮やかに染めた。

「ん?」

サンプルとして贈られた建設用機体の後ろに走る人影を見つけた。

「アルフレッド?」

-いや、あいつは真面目すぎて、遊びとは縁遠い…-

俺にいたずらをするような奴となると、そう多くはないから、すぐに絞り込めた。

-アルドリックだろ。-

陽気な男なら十分あり得ると俺は思った。

いたずらに乗るため、できるだけ気配を消して機体に近づいた。

「え…?」

そこで、予想外の存在を見つけた。

-さっきから聞こえてた声の主か?-

一見、どこにでもいそうな子に見えたが、決定的に違う点が二つあった。

-尻尾?-

スカートで隠そうとしたが、結局外に飛び出した尻尾。

大きな帽子で隠そうとしたが、尖った耳の形がぼんやり見えた。

「獣人?」

「ひゃああ! お父さん! お母さああん!」

限りなく人間に近いが、動物の特徴を持つ亜人種。

逆に、動物の姿を持ちながら人間のような知性を持つ種族がこの世界にいることは知っていた。

そして、目の前にいる獣人の女の子は、建設用機体の後ろに身を隠し、混乱状態に陥っていた。

「お、おい。」

「お母さん! お父さん! 怖いよおお!」

恐怖に支配された獣人の女の子は、俺の声を全く聞いていないようだった。

「どうしたもんか?」

この状況は、女の子だけでなく、俺にとってもかなりの困りごとだった。

-どうやって帰らせれば…ん?-

女の子を帰す良い方法を考えていた時、俺の目を奪うものが見えた。

「さ、触ってもいいのか?」

毛が逆立ってふくらんだ尻尾と、帽子で隠しきれない獣の耳。

-今はそんな場合じゃ…ない…だろ…!-

衝動を抑えるのが難しくなる感覚に襲われた。

-昔を思い出すな、めっちゃ柔らかかったよな。-

祖母と暮らしていた頃に飼っていた、勇敢で親しみやすかった俺の相棒。

その子の尻尾と耳を触った時の感触が、なぜか今、鮮明に蘇った。

昔の記憶が蘇ると、理性で衝動を抑えるのがますます難しくなった。

結局、衝動を抑えきれず、俺は手を伸ばしてしまった。

「うっ、うう、グスッ! 帰りたい…きゃあああ!」

-ガシッ-

-モミモミ-

頭に血が上り、理性がまともに働かない状態で、俺は夢中で触りまくった。

いや、愛撫に近い手つきで、尻尾の感触に溺れた。

「うう! ひぅぅ! んぐぅぅ!」

-ピクピク-

獣人の女の子の泣き声や、言葉がなくなったことにも気づかず、俺は手を動かし続けた。

次回の話は9月13日(土)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!


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