11話
建設用の機械や攻城戦のために作られた巨大な機械の設計図を見ていると、一つの疑問が浮かんだ。
「エネルギーを貯める技術はないのか?」
地球には存在しないマナやエーテルという資源をいつでも使えるように蓄える装置。
いわゆるバッテリーと呼べるものが、どこにも存在しなかった。
「うーん…」
攻城戦用の機械がたった数時間動くために消費、いや、浪費するエネルギーは途方もない量だった。
-都市一つが1年で使うエネルギーと同じだなんて…-
エーテルという神秘的な資源が生み出す力は、石油ではなく原子力に匹敵するほどすごかった。
-やることが一つや二つじゃないな?-
頭が少し痛んだが、すぐに気分が上向いて、俺はやるべきことをノートに書き出した。
-油圧の原理は簡単だ。-
作りやすく頑丈で、難易度に比べて出力される力はとんでもない。
だからこそ、機械がスムーズに動くようにするために、まずこれを取り入れようと思った。
「親分、確かに力はすごいけど、敏捷性が全然ないぜ。」
「うーん…」
油圧システムを使う判断は良かった。
ソードマスターのアルドリックがその超人的な力で耐え抜いたんだからな。
-敏捷性か…-
山を一つ越えたら次の問題が現れ、俺の悩みと苛立ちはさらに大きくなった。
「これもダメか…」
改良の糸口を得るため、俺はポジウェル家の偉大な先祖が残した文献を漁った。
だが、時間ばかりが過ぎ、いい案が見つからないまま足踏みしていたある日だった。
「騒がしいな…何かあったのか?」
-ドン-
「ふう…参考になりそうな書物をさらに持ってきました、デミアン様。」
「いい仕事だ、アルフレッド。」
有能な執事アルフレッドが持ってきた本に手を伸ばしかけて、俺はふと止まった。
突然目に入った光景に不思議に思った俺は、アルフレッドに言った。
「今日、何かあるのか?なんか騒がしいぞ。」
「あ…商会の長が訪問すると聞いています。」
「へえ?」
商人なら俺の悩みを解決する方法があるんじゃないかと考え、調査に専念しようとした。
-待てよ…-
本格的な物流網が形成される前、商人は流行の指標であり、新しいものを発見し開発する先駆者だったことを思い出した。
-もしかしたら奇妙だけど、インスピレーションを与えてくれる物が見つかるかもしれない。-
そこまで考えた俺は、ペンを置いて席を立った。
「行かれるんですか?」
「このまま悩んでたって、今まで出てこなかった答えが急にポンと出てくるわけじゃないからな。」
「素晴らしいお考えです。」
「ただ休みに行くだけなのに、素晴らしいも何もないだろ。」
騒がしい場所に向かって歩きながら、アルフレッドが影のようについてきた。
屋敷の広いホールに着くと、そこは小さな市場に変わっていて、物が半分、人も半分だった。
次回の話は9月4日(木)午後8時にアップロードされる予定です。
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