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プロローグ

本当に素晴らしいほど晴れた午後だった。

足りない食材を補充するために家の近くのスーパーに寄って買い物をして帰る途中だった。

-こんな…

歩道の段差に手押し車の車輪が引っかかり、動けなくなっているおばあさんの姿が見えた。

-誰も助けないのか?

行き交う人々は、おばあさんを透明人間のように見て見ぬふりをして通り過ぎた。

面倒なことは誰だって嫌いだよな。

俺も他の人たちと大して変わらなかった。

でも、おばあさんを見ていると昔の記憶が鮮やかに蘇り、自然と体が動いてしまった。

「俺が手伝いますよ。」

俺は彼女の手押し車が段差から抜け出せるように少し力を入れた。

「ありがとう、若い人。」

しわくちゃの顔に明るい笑顔を浮かべて、俺にお礼をしようとするおばあさん。

俺は報酬を望んでいたわけじゃないから、何度も断って逃げるようにその場を離れた。

胸が温かくなるような感謝の言葉が一言あれば、それだけで十分すぎるほどの報酬を受けたも同然だ。

-久しぶりにいいことをしたな。

満足感を感じながら歩き続けた。

5分も経たないうちに、家まであと少しだという証拠の横断歩道が見えてきた。

信号が青になり、歩き出そうとした時、平穏を破る異変が起きた。

-ブオオオオオオン!

近くで耳をつんざくようなエンジン音が聞こえてきた。

何事かと振り返ると、

狂ったようにスピードを上げて道路や横断歩道を縦横無尽に走る一台の乗用車が見えた。

運転席には目が虚ろな女性が座っていた。

-こ、これはまずい!

麻薬に酔っているように見える女性の手に握られたハンドルは不規則に左右に振れていた。

「うわっ!」

車にひかれるのは避けたかった俺は必死に動いた。

「な、なんだよこれ!」

遺書も残せないまま、必死の回避もむなしく、乗用車は結局俺を轢いた。

強烈な衝撃とともに俺の意識は途切れた。

そうして、なんともむなしい形で、俺の人生は突然終わりを告げた。

…どれくらい時間が経っただろうか?

果てしない闇の中で、俺の意識は再び目覚めた。

頭がクラクラして、視界はぼやけていたが、徐々に回復してきた。

-ここはどこだ?

目を開けると、見慣れない光景が俺を迎えた。

壁には豪華な金箔の模様と古風な木が壁紙の代わりになっていた。

窓の向こうには石造りの建物の一部と思われる構造物が見えた。

まるでヨーロッパの中世時代を主張するかのような風景だった。

-最近の病院はこんななのか?いや、それにしては変だな。

混乱しながら、もう少し周りをよく見ようと体を起こそうとした。

だが、四肢は思うように動かなかった。いや、正確には動かせないようだった。

おかしいと思って自分の手を見ると…

-なんで俺の手がこんなに小さくなってるんだ?

「あなた!見て、私たちの息子が目を開けたわ!」

見知らぬ女性の声が聞こえてきた方向に視線を向けた。

柔らかな笑顔を浮かべた絶世の美女と、髭が似合うダンディな男性が優しい笑顔で俺を見ていた。

二人とも、俺が生きてきた時代では見かけない服装をしていた。

本能的に二人が貴族だと直感した。

「神の御心により、アルカンテラへようこそ、デミアン。」

ダンディな男性が柔らかな声で言った。

-アルカンテラって何だ?デミアンは誰だ?

男性の言葉に、俺の頭は一瞬で混乱の渦に巻き込まれた。

「ご主人様、奥様、お二人が来るのを待ちわびていたのか、坊ちゃんはずっと寝たり起きたりを繰り返していましたよ。」

男女に向かって丁寧に礼をする女性が言った。

俺の両親と思われる男女と、乳母と思われる中年女性の会話を聞きながら、俺は目の前に広がるすべてが夢ではないことに気づいた。

俺は「デミアン」という名を受け、地球とは別の世界の貴族の家の一員になったのだ。

「他の子供たちと違って泣きもせず、体格も立派だな。この子はきっと我が家をさらに大きくしてくれるだろう、奥さん。」

「もちろんです!誰の息子だと思ってるんですか?」

「君も俺もこの子の親じゃないか!」

「まあ!急にそんな褒め言葉を…?」

「ハハハハハ!今日は本当にいい日だよな?」

「フフフ、そうですね。」

-家をさらに大きくするって?俺が!?

頭の中は複雑だったが、俺の体は新しい人生を自然に受け入れていた。

次回の話は5日(火)午後8時にアップロードされる予定です。

ぜひご覧ください!

小説に追加してほしい要素があれば、ぜひ提案してください!

提案していただいた内容をそのまま反映するのは難しいですが、検討のうえ、少しアレンジして作品に取り入れます!

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