第38話 兄、女騎士の実家に招かれる
【異世界生活15日目 夕方】
「お嬢様、本当に助かりました。今夜の酒場と明日の朝市がかなり盛り上がりそうですよ」
そう言って、カニやザリガニの肉を荷車や荷馬車に積んだ商人たちがホクホク顔で帰っていく。
「お嬢様と呼ぶな」
テミスが手短にそう答える。
「お嬢様、皆さん本当に喜ばれていましたね」
執事っぽい爺さんがそう言って笑う。
「シュナウズもお嬢様と呼ぶな」
テミスが同じ言葉を繰り返す。
そう言われた執事っぽいお爺さんは笑い返すだけだった。
「さあ、皆さん、遅くなってしまいますから、テミス様のご自宅にご案内しますね」
そう言って、俺達を案内してくれるメイドっぽい女性。
背中に背負った籠にはデカいザリガニが入っている。
結局、カニはほとんど商人が持っていき、カニの足数本とザリガニを3匹だけをシュナウズさん達は引き取ったようだ。
シュナウズさんともう一人のメイド風の女性もザリガニを背負っている。
そして俺も何故かカニの足を持たされている。
そして、メイド風の女性に案内されて、宿屋と食堂が合わさったようなお店に到着する。
ギルド直営の宿より一回り大きく立派だしよく掃除された綺麗な建物だ。
傭兵ギルドから少し西に外れた郊外に立った一軒家だが、静かでいいところかもしれない。大きな庭もついている。
宿屋というより少しおしゃれなレストランとホテルといった感じか。一見、お金持ちの家にも見えなくもない。
「なんか立派な建物だな」
俺は盾も尾を見上げると、テミスにそう言う。
「ああ、シュナウズ達や町の人達が色々尽力してくれたからな」
テミスがそう言い、何かを懐かしむように顔をほころばせるが、すぐにいつもの気難しい顔に戻る。
メイド風の女性二人はそのまま食堂の通用口のようなところに向かって行き、通用口から出てきた、料理人風の人達に俺とシュナウズさんは食材を渡す。
「食堂の方ではなんですから、母屋の方にご案内しましょう」
シュナウズさんがそう言い、食堂を通り過ぎ、庭の方に入っていく。
少し暗くなって隅々まで確認はできないが庭もよく手入れされているようだ。
そんな感じで執事っぽいお爺さんに案内され、庭の中を通る小道を抜け、母屋、多分テミスの家族が住む区画の入り口から入るようだ。
正面に食堂があって、その上と裏が宿屋、食堂の右奥が母屋となっているようだな。建物はすべてつながっている。
庭を抜け、玄関を通され、右手にのびる廊下を進み、広い居間のようなところに通される。
居間兼食堂といった感じか? 少しお金持ちな一般人の家といった感じかな? 家具は質素だが、大きなテーブルに椅子が並び規模的にはお金持ちの家って感じだ。
「なんか金持ちそうな家だな」
俺は今をぐるりと見渡しながらそういう。
調度品などはないが品のいい家具がそう思わせる。
「普通の町の住人だ。町の郊外だから土地も建物も安い。それだけだ」
そう言って椅子にドカッと座るテミス。
俺も椅子に座ろうとするが、よく考えると、カエルの体液や魔物の体液で結構汚れているんだよな。
俺はそう思い体を見渡す。
エリーも少し気にしているようだ。
「これはすみません。気が利かずに。湯あみの用意をさせますので、着替えてから夕食にしましょう」
シュナウズさんが慌ててそう言ってくれる。
「その前に、これを渡しておく」
テミスがそう言ってテーブルにぶっきらぼうに魔法石と銀貨を置く。
「ああ、今日の魔物狩りの分け前か」
俺はそう言って魔法石を受け取り、カミラやエリー、フブキを見る。
「ああ、タイヨウお兄ちゃんが持って置いてよ。明日ギルドで換金するんでしょ? その後まとめてもらうよ」
カミラがそう言い、エリーとフブキが頷く。
俺も頷き、4人分の分け前を貰う。
今日の魔物狩りでランク2の魔法石が55個、カニやエビ、そしてワニの肉や素材で銀貨50枚になったそうだ。
4人分の魔法石44個と銀貨40枚を受け取る。
「テミス、道案内もしてもらったし、もう少し分け前増やしてもいいんだぞ?」
俺は受け取る前にそう聞く。
「ああ、大丈夫だ。それに経験値が思った以上に入ったからな」
テミスが不機嫌そうだが丁重に断りを入れてくる。
「ああ、テミスさんもお兄ちゃんの妹スキルの影響受けたんだね」
カミラがそう言って笑う。
「妹スキル? なんだ、それは?」
テミスが怪訝そうな顔で俺にそう聞き返す。
「タイヨウお兄ちゃんは職業『お兄ちゃん』っていうちょっと特殊な職業でね。お兄ちゃんが妹と認識した女の子や女の子の方がお兄ちゃんと認識すると、お兄ちゃんが獲得した経験値が二重で分配される。つまり普通の倍くらい経験値が手に入るんだよ。多分、テミスさんはタイヨウお兄ちゃんをお兄ちゃんってかなり強く認識しているでしょ? お兄ちゃんになって欲しい。みたいに? 昼間に『お兄様』って間違えて呼んでいたしね」
カミラがテミスをからかう様にそう言う。
テミスが強く思っている場合は俺の妹と認識する作業はいらないってことか? カミラやエリーの時と違って。
「なっ!! そ、そんなことはない。人違い、間違えただけだ」
カミラと俺を交互に見て、俺に文句を言う様にそう言う。
「どことなく、アレン様を思い出しますね」
シュナウズさんがそう言ってほほ笑む。
「シュナウズ、余計な事を言うな。それと、タイヨウ! さっさと湯あみをして来い。ザリガニ臭くてかなわん」
テミスが顔を真っ赤にして怒りそう言う。
「お前も風呂入れよ。カニ臭いぞ」
俺はテミスにそう言って一度居間を出る。
シュナウズさんに連れられて、俺とカミラ、エリーとフブキは湯あみをする土間に連れられる。
「申し訳ありませんが、人数もいらっしゃるので、宿の方の浴場になります」
シュナウズさんがそう言って、母屋から宿につながる廊下を案内してくれる。
「ねえ、シュナウズさん。タイヨウお兄ちゃんって、テミスさんのお兄さんと似ているの?」
カミラが人懐っこく、シュナウズさんにそう聞く。
「いえ、似ていませんね。ただ、雰囲気というか、タイヨウ様が皆さんを見る目が似ているんですよ。妹を大事にする兄の姿というのでしょうか? タイヨウ様とカミラ様を見ていると、アレン様と幼い頃のテミス様を思い出します」
そう言ってシュナウズさんはほほ笑む。
「へえ~、そうなんだ」
カミラがそう言って笑う。
俺とカミラ、本当は兄弟じゃないけどな。
まあ、引き離された本当の妹、あてなの姿をカミラやエリー、そしてフブキに投影してしまっている。代替行為のような事をしてしまっている自覚はあるけどな。
「私は妹ではなく婚約者ですけどね」
エリーが余計な事を言う。
「そうなのですね。それは失礼いたしました」
シュナウズさんが大人の対応をしてほほ笑む。
その後、男女別れて、浴場で湯あみをする。
この世界の浴場、初めて使ったが、要は巨大な湯を沸かす釜があって、そこから木桶に湯を汲んで、水で適温に薄めて、それで布を湿らせて体を拭く感じだ。
とりあえず、体を拭いて、頭を洗って残り湯で軽く体を流す。
お湯を沸かす薪が貴重な世界らしく、元の世界のように湯船に浸かるみたいなお風呂は期待できなそうだ。
そんな感じで、カエルやザリガニの体液を落とし服を着る。
シュナウズさんが着替えを用意してくれたようだ。テミスのお父さんの服だろうか?
浴場で湯あみをし、さっぱりして居間に戻ると、女の子達はまだ湯あみ中のようだ。
代わりに初老の男女が居間で待っていた。テミスの両親っぽいな。
とりあえず、お互い挨拶をして席を勧められるので着席する。予想通り、テミスの両親だ。
なんか、服装は庶民と同じような生地を使っていて質素なたたずまいだが、なんか気品がある。服も高くはないのだろうが、小洒落ている。ちょっとしたお金持ちオーラというか、セレブなオーラを感じるな。
お茶を飲みながら、着替えのお礼や、今日の魔物狩りの話を聞かれたので軽く雑談をしていると、女の子達も帰ってくる。
テミスはなんかお嬢様のようなドレス風なワンピースを着ていた。これも庶民と同じような生地だが、なんか小洒落ている。
エリーとフブキは着替えがなかったようで、いつもの魔物狩りに行く格好をしている。汚れはメイドさん達が軽く落としてくれたらしい。
カミラは自称マジックバッグに着替えが入っているようで一人だけきれいな私服を着ていた。
全員が席に着くと夕食会が始まる。
俺としては、シュナウズさんが取り仕切っている食堂で軽く夕食を食べるくらいのつもりだったんだけどな。なんか大事になっている。
まあ、シュナウズさんの格好やメイドさん達を見て気づくべきだった。結構家柄がいい人達?
「それにしても、娘がお友達を連れてくるなんて初めての事ですよ」
テミスのお母さんがそう言って涙ぐむ。嘘泣きっぽいが。
「お母様!」
テミスが抗議する。
「お友達っていっても、テミスさんがお話できるのはタイヨウお兄ちゃんだけみたいですけどね。ね? お兄様?」
カミラがそう言ってテミスと俺を冷やかす。テミスが悔しそうな顔をする。
テミスのお母さんが呆気に取られているので、とりあえず、カミラを妹と紹介し、エリーとフブキも紹介する。エリーはいつも通り「婚約者です」と余計な一言を付け加える。
「タイヨウさんはカミラちゃんのお兄様なのですね。なるほど、なんとなくわかった気がしますわ」
テミスのお母さんがそう言ってほほ笑む。
「なるほどな。タイヨウ君とカミラちゃんを見ていると、アレンと幼少期のテミスを思い出すか。シュナウズの言う通りだな」
そう言ってテミスのお父さんが俺とカミラを微笑ましいものを見るようにみて笑う。
そしてテミスは両親にからかわれて逆に不機嫌になる。
「そういえば、テミスさんのお兄さんはご不在ですか?」
俺は気になって聞いてみる。
夕食の場には来ていない。仕事か何かだろうか? それとも遠出するような職業?
すると、テミスの家族の顔が曇る。
「すみません、聞いてはいけないことを聞いてしまったみたいで」
俺はそう言って頭を下げる。つまりそう言うことなんだろう。
「いえいえ、気にしないでください。だいぶ日もたったので皆気を取り直していますし」
テミスのお母さんがそう言ってほほ笑む。悲しい笑顔だ。
「皆様、料理もできたようなので夕食にいたしましょう」
そう言ってシュナウズさんとメイドさんが料理を配ってくれる。
うん、これはザリガニだ・・・。殻を外されて、煮たり焼いたりしてソースをかけられたり、色々調理されているが、昼間倒したザリガニだ。
「この町ではザリガニはカニに次ぐ高級食材なのですよ。最近では冒険者の皆さんも余裕がないようで、あまり出回る食材ではなくなってしまいましたが」
俺が、変な顔をしていたのか、テミスのお母さんがそうフォローしてくれる。
まあ、伊勢海老とまではいかないが、外国では庶民に愛されるロブスターみたいな食材って感じか?
食べずに気持ち悪がるのは失礼なので、一口食べてみる。よく焼かれてクリームソースのような物がかけられている料理だ。
「あ、美味い」
俺はそう呟く。
「うん、私も始めて食べるけど美味しいね」
フブキがそう言って二口目も頬張る。
テミスのお母さんが嬉しそうに微笑む。
他のメンバーも美味しそうにザリガニ料理を食べ始める。
うん、伊勢海老というかでっかいブラックタイガーって感じかな? とりあえず、フランス料理っぽい味付けで結構美味い。添えてある野菜も美味いな。
そんな感じで夕食も進み、会話も進み和気あいあいと食事会が進むのだった。
「またよかったら、来てくださいね」
夕食会も終わり、テミスのお母さんがそう言って見送ってくれる。
「それより、宿も部屋が空いているんだ。泊まって貰ったらどうだ?」
テミスのお父さんがそう言い、お母さんも賛成する。
「宿代は貰うぞ。こっちも商売だからな」
テミスがいつもの仏頂面でそう凄む。
「もう、テミスったら」
お母さんがそう言ってほほ笑む。
「お母様、うちも今、余裕はないのですから、払える人間からは払ってもらう。そもそも、彼らはギルドの宿屋にお金を払っているんですから、うちもお金を取らなくてどうするんですか?」
テミスが母親を説教する。
「私が言うのもなんだが、シュナウズ達の掃除も行き届いているし、料理人たちの腕も本物だ。ギルドの宿屋と同じ値段だが、サービスも料理の味もうちの方が上を行っていると思うから、一度泊まってみてくれるとありがたいな」
テミスのお父さんがそう言う。
「そうだね。夕食の味付け美味しかったしね」
カミラが俺の方を見てそう言う。
「とりあえず、今日はギルドの宿を借りてしまっているので、明日、またお伺いしますね。お借りした着替えもお返ししないといけないですし」
着ている服を見て、俺はそう言い、明日からテミスの家族が経営する宿でお世話になることを約束する。
実際、建物を外から見た感じもギルドの宿より綺麗だったしな。
また、こっちに引っ越せばテミスがずっと道案内してくれるようになるかもしれないし。
そんな下心もあって、宿の変更を考えてしまう俺。
テミスのご両親もいい人そうだし、シュナウズさんも人を騙すような人には見えないしな。
そんな感じでテミス一家と別れ、ギルドの宿屋に帰る。
なんか、シュナウズさんが送ってくれる。
多分、話したいことがあるんだろう。
「シュナウズさん、テミスさんのお兄さんの事かな? 話したいの?」
俺は口を開きにくそうなシュナウズさんにそう声を掛ける。
「そうですね。テミス様のお兄様、アレン様の事と、テミス様の事です」
シュナウズさんは気が重そうにそう口を開く。
「というか、薄々気づいていたんだけど、テミスさんの一家って、結構身分が高い人じゃない? 立ち振る舞いが一般人とは違ったし」
俺はシュナウズさんが話しやすいようこちらから話を振る。
「そうです。元貴族です。以前はこの町の領主をしていましたし、その前は戦争で占領した獣人族の国をまとめる辺境伯というご身分の方たちでした」
シュナウズさんがそう教えてくれる。
「だったってことは普通の人ってことだよね? 今は」
カミラがそう聞く。
「ええ。国王の反感を買ってしまい、獣人族の国からこの地域へ転封され、さらに、先の戦争での敗因を作ったとして減封、貴族の身分をはく奪され、現在この町で平民として暮らしています」
シュナウズさんが悔しそうにそう言う。
シュナウズさんはテミスの家族が貴族だったころから仕えていた執事だそうだ。
「この地域の辺境伯といったらウルナンシェ辺境伯ご一家ですか!?」
エリーがそう言って驚く。
「知っているのか?」
俺はエリーに聞き返す。
「ええ、私の住んでいた町も元はこの地域の領地、ウルナンシェ辺境伯様の領地でしたから。そして、貴族ですが、獣人族にはすごくよくしてくれる方々でした。獣人族の国を占領したのを悔いていたような、優しいご一家です」
エリーがそう教えてくれる。
「そうですね。先代の、テミス様のお爺様が獣人族の国を侵攻する指揮官をしており、そのまま辺境伯になった経緯があります。そして、国王の命令とはいえ、他国を侵略したことを強く後悔しておりました」
シュナウズさんが寂しそうにそう言う。
「ということは、テミスさんのお兄さんっていうのは、先の魔人族との戦いで指揮官をしていたアレイウス・ウルナンシェ様。人間族の軍が敗走したときに亡くなったと私の父から聞いています」
エリーが申し訳なさそうにシュナウズさんにそう言う。
「そうです。その方がテミス様のお兄様、アレン様です」
シュナウズさんが悲しそうにそう答えた。
「ここだけの話にしていただきたいのですが、テミス様はアレン様が国王に殺されたと思っております。ウルナンシェ家が獣人族を擁護し、獣人国の返還を求めたころから、国王から反感を買い続け、ウルナンシェ家を取り潰すために、用意された敗戦。それが先の魔人族との戦いです。それで、アレン様が亡くなられたのですから、実質、国王に謀殺されたのだと」
シュナウズさんが周りに聞こえないように小さな声で俺達にそう言う。とても悔しそうな声で。
「ウルナンシェ家は獣人族に優しかったし、魔人族とも講和を望んでいたしね。魔人族の国を占領したい国王にしたら、邪魔な存在だもんね。しかも国王は獣人族と魔人族をぶつけて戦力もそぎたかったんだよ」
カミラがそう付け足す。
そしてエリーも頷く。獣人族と仲良しだったみたいだな。テミスのお兄さんも家族も。
「そして、テミス様は道を悩まれています。今は、剣士としての力を貯めて、魔王を倒し、アレン様の汚名を晴らし、お家の再興を果たしたいようですが、その行為は国王を喜ばせるだけです。その板挟みに苦しんでいるお嬢様を見るのがとても辛いのです」
シュナウズさんはそう言って本当に悔しそうな顔をする。
「もし、お願いできるようなら、テミス様を、お嬢様を正しい道に導いていただけないでしょうか?」
シュナウズさんが俺にそう懇願する。
そうは言われても、俺も困ってしまう。
「実のところ、訳あって、俺も魔王を倒すためにレベルを上げているところだ。国王への不信があるのも事実だが、今は魔王を倒すという道しか思いつかないでいる」
俺はシュナウズさんに事実を告げる。
俺が妹のあてなの平穏な生活を作るには今のところ魔王を倒すことしか思いつかない。妹のあてなを元の世界に返せるとしても、多分その方法は魔王を倒した先にあるような気がする。
「そうなのですか。もしよければ、テミス様と一緒に戦ってもらえないでしょうか? 結果がどうなるにしても、きっとあなたはテミス様の救いになるような気がします」
シュナウズさんが真剣な顔でそう言う。
「そんな事言われてもな。俺は普通の人間だし、特別な才能もないし、自分の事すらどうにもできない男だしな」
俺は自信がないのでそう答えるしかなかった。
「大丈夫です。テミス様が気を許したお方です。奥方様が言う通り、お嬢様が今まで、家に誰か人を連れてきたことなんて一度もありませんでしたし、テミス様はあなたに何かを感じていますし、私もタイヨウ様には何かがあると感じております。あくまでも年寄りの勘ですがな」
そう言って、シュナウズさんが笑い、立派な口ひげが揺れる。
「まあ、テミスさん本人の気持ちもあるしな。テミスさんが俺の魔王退治についてきたいというなら断る理由もないが、あくまでも本人の気持ち次第ですよ?」
俺は自分がテミスに好かれているとは全く思っていないのでそんな曖昧な返事しかできない。
「ええ、それで結構です。きっとテミス様はあなたについて行くと思います。タイヨウ様はアレン様とどこか似ていますから」
そう言ってシュナウズさんがもう一度笑う。
そして、俺達は傭兵ギルドの前に立っていた。
「タイヨウ様、明日もテミス様をよろしくお願いします」
シュナウズさんがそう言って頭を下げ、テミス一家のもとへ帰っていく。
なんか大変な事をお願いされた気がするな。
次話に続く。




