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第33話 妹、勇者始めます。(妹あてな目線)

【異世界生活2日目 朝】


「おはようございます勇者様。ゆっくりお休みになれたでしょうか?」

漫画やアニメに出てきそうな、現実ではありえないメイド姿の女性が2人、私の前に立っている。


「ああ、そうよね。ここ、異世界だったわよね」

私はそう呟いて、ベッドの上で上半身を起こす。


「お部屋に朝食をお持ちしてもよろしいですか?」

メイド姿の女性、というより実際のメイドさん達がそう私に聞いてくるのでお願いする。


 そして、朝食の準備ができたので起きて寝間着の姿のまま朝食を食べる私。

 そして、朝食を食べながら昨日からの出来事を思い返す。

 

 私は多分、元の世界で死んだ。飛行機事故に遭遇して。

 そして、死ぬ間際、いえ、死んだ後かもしれないけど、白い空間に飛ばされて、光の女神とかいう女性に会い、そしてこの世界に転生させられた。

 

 まさか本当にこんなことが起きるとはね。

 私自身、こういう知識には疎いんだけど、親友の京子はこんな感じの異世界転生っていうの? そういう小説が大好きだったな。主に聖女とか貴族令嬢になって王子に溺愛されるみたいな小説ばっかりだったみたいだけどね。


 私、女なのに聖女じゃなくて勇者っていうのがちょっと気になるけど。


 とりあえず、京子との会話を思い出しながら異世界転生ってやつを乗り越えないとね。


 その日は王様との謁見をし、そのあと、学者みたいなお爺さんにこの世界の現状を教えてもらい、この国が魔王と呼ばれる敵に攻撃をされていて魔王が治める魔人族の国と戦争状態であることを知った。

 そして私の役目は、勇者の力という圧倒的な力を持って、苦戦状態の戦況を打破、最終的には魔王を倒して、魔人族の侵略からこの国を守る事らしい。

 なんか面倒臭い話になってきたわね。そして、昔兄貴がやっていたゲームみたいな話だなって思った。

 

 そういえば、兄貴、生きてるかな? 典型的な追放系異世界ものみたいだったけど。まあ、私もその手の小説はよく知らないんだけどね。

 その手の話の場合、王様から逃げるのが正解だって京子は言ってたわね。兄貴、素直に逃げてくれればいいけど。



【異世界生活3日目】


「勇者様、今日から、勇者としての教育を始めさせていただきます。それぞれの分野でのトップクラスの人材を集めましたので、最初は座学から始め、実技、そして最後は実際に魔物を倒しレベルを上げていただきます」

なんか教育係のリーダーっぽい学者みたいなお爺さんがそう言い、教育係らしい人が集まる。


「勇者アテナ。初めまして。私はこの国の王子で第一王位継承権を持つ、シオン・ミドラーシュ・ウルク3世。これからあなたの旅に同行させていただく。気軽にシオンと呼んでくれたまえ」

まず最初に挨拶したのは金髪の優男。

 あの胡散臭い王様の息子らしい。そして次の王様になることを約束された人物。

 うん、一番警戒しないといけない人間ね。そして一番距離を置きたいわ。溺愛系の異世界小説のヒロインになんかなりたくないし、何より私が一番苦手なタイプだわ。自信満々なナルシストっぽい薄っぺらそうなイケメン。プライドも高そうだしね。

 とりあえず、愛想笑いをしておいた。


 それから、教育係のリーダーらしいおじいさんが自己紹介し、この人はこの世界の歴史と魔法を教えてくれるらしい。

 そして順番に合計5人の教育係兼冒険の仲間が紹介されたわ。


 3人目はサトゥルスさんという、全身鎧を見に纏った筋肉凄そうなおじさん。騎士団の副団長でこの国で5本の指に入る強さの剣士らしい。私に剣術を教えてくれるそうね。


 4人目はスーさんという女性。狩人? レンジャー? よく分からないけど、冒険のプロらしいわ。主に冒険や魔物を狩る時の技術やサバイバル技術っぽいものを教えてくれたり、野営の準備や偵察、冒険の補助をしてくれるらしいわ。それと、弓矢やナイフの使い方も教えてくれるそうね。


 5人目はセインさん。光の女神を信仰する神官さんだそうよ。主に私に回復魔法や防御魔法を教えてくれたり、光の女神の事を教えてくれるそうね。まあ、後半はあまり要らないかもしれないけど。宗教っぽいの苦手だし。


 この5人に私を加えた6人で冒険のパーティを組むらしいわ。もちろん、それ以外にも護衛として騎士団の騎士がたくさんついて来るらしいけど。


 その後、お城に缶詰めにされて、魔法の使い方、剣の振り方、盾の使い方、回復魔法や防御魔法の使い方、あとは冒険時のサバイバル術や索敵、罠についてとか冒険に役立つことを色々教えてもらった。

 座学半分に実技半分って感じで。


 それと、洋服を作ったり、いつ使うかもわからないドレスを作ったり、そして、魔物と戦うときの為に防具一式を作る為に採寸なんかもしたわね。



【異世界生活7日目】


 お城の中や庭での座学や実技も終わり、今日から実際に外に出て魔物を倒す訓練が始まる。

 そして渡される、新品のきらびやかな鎧と鎧を着る為のワタの入った服。なんかその騎士っぽい服を着て鎧を纏い、見かけはそれらしい、勇者らしい格好にはなったわね。


 なんか、私って、勇者という職業のおかげで人より3倍強いらしくて、普通の冒険者がいかないような、いきなり強い魔物が出るところに連れていかれる。まあ、普通の冒険者と魔物の取り合いみたいな状況にならないのはいいわね。


 城の南門をでて、川を渡ったところにある森と草原。ここで、レッサーウルフ、レッサ―クーガという名前の魔物というより猛獣と戦わされる。

 まあ、私の護衛としてレベル80越えの服騎士団長のサトゥルスさん、レベル60台でそこそこ強いシオン王子が魔物を足止めしてくれるので、私はその足止めされた魔物を横から倒していけばいいだけ。


 しかもみんなが言う通り私って3倍強いらしいし、しかも聖剣使いというスキルを持ていて、なんか、女神様から与えられたよく切れる剣を自由に呼び出せるらしくて、この剣が本当によく切れる。

 レッサーウルフという、大きなオオカミの魔物もこの聖剣を一振りすれば、まるで解けたバターを切るように首と胴体が二つに分かれる。

 うん、これはチート能力ってやつね。ステータスも人より高いからレッサーウルフっていう、普通の人なら抵抗する間もなく食べられちゃう魔物の動きも止まって見えるし、ぶっちゃけ、聖剣がなくても素手で殴っても倒せそうなくらい強いのよね、私。


 そんな感じで5日間ほどこの猛獣溢れる南の草原と森を歩き回って魔物を倒しレベルを上げたわ。

 レベルは20を超えたあたりから急に上がりにくくなったけどなんとかレベル23まで上がったわ。

 ちなみに普通の人より3倍強いし、普通の人のレベルに換算するとレベル40近いらしいわ。

 ぶっちゃけ、私一人でもレッサーウルフの群れを数秒で全滅させられるくらい強くなったわ。


 

【異世界生活12日目】


 この日は朝から広場で演説をしてから馬車に乗って大移動。

 出発前に広場に作られた舞台の上で、これから北の森にいる魔物を倒しまくって、この国を平和にしてから、戦争の最前線に行って、敵を倒して、最終的には魔王を倒して世界を平和にします。みたいな決意表明を王様にさせられたわ。まあ、一種のパフォーマンスなんでしょうね。王様の権力を維持する為、みたいな?

 その後、馬車で2日かけて北にあるキッシュの町というところに行き、そのそばにあるダンジョンの魔物を倒してこの国の治安を回復する仕事をするらしいわ。

 勇者が国の役に立つことと、勇者の強さを言葉だけではなく行動でも国民にPRするのが目的のようね。

 予定通り、私と教育役の5人の6人で冒険のパーティーを組み、騎士団に護衛されながら冒険の旅に出る。

 もとい、教育係の一人、魔法を教えてくれた賢者のお爺ちゃんが、高齢とぎっくり腰を理由に勇者パーティから脱落、代わりにお祖父ちゃんの孫という、ソミーちゃんっていう魔法使いが仲間になったわ。

 お祖父ちゃんと比べるとこの子はかなりレベルが低いみたいで、この子のレベルを上げるのも冒険の課題みたい。まあ、年下で話しやすいからお祖父ちゃんより友達としてならいいかもしれないわね。

 この世界、魔法を使える人が少ない上に、最前線で戦う魔法使いが多く、魔法使いの人材不足が深刻みたいね。


 とりあえず、勇者パーティはこんな感じね。


騎士(騎士団副団長) サトゥルスさん レベル83

騎士(第一王子) シオン王子 レベル62

女レンジャー スーさん レベル55

神官 セインさん レベル58

魔法使い ソミーちゃん レベル22

そして、私、勇者 アテナ レベル23


 道中、魔物に襲われることもあったみたいだけど、護衛の騎士団が倒してくれるので私は悠々自適に馬車での旅を満喫できたわ。

 勇者の冒険ってこんなものでいいのかしら? ちょっとレベルを上げた方がいいんじゃない? って思ったけど毎回魔物が出るたびに私が出るのも面倒臭いし、思ったより魔物にも襲われなかったから出る機会もなかったんだけどね。


 ちなみに勇者って、色々レアスキルってやつが使えるみたいで、鑑定スキルで敵の強さが分かったり、味方のレベルやステータスが見れたり、アイテムボックスっていう、何でも入る魔法の空間が使えたり、魔法も四大精霊と呼ばれる風火土水の精霊魔法に、光と闇の精霊魔法、回復魔法や防御魔法と言った神聖魔法、ありとあらゆる魔法がつかえるみたいね。

 あと、転移魔法っていうのも使えるんだけど、これは一度行ったことがあるところには魔法で一瞬で移動できるみたい。ただし、戦時中という事で、町には魔法の結界が張られているそうで町の中には直接転移できないし、王都に入ると転移魔法の記録がキャンセルされちゃうらしくて、今のところ使い物にはならないわね。

 それと、使えるスキルはなるべく内緒にしているわ。なんかあの王様は信用できないし、色々できる事を教えちゃうと利用されそうだし、スキルはあるかもしれないけど使い方が分からないみたいにとぼけ続けているわ。


 そして、夕方になるころには、キッシュの町までの中間点、宿場町のようなところに着き1泊して、次の日も同じように朝から移動、夕方には目的地のキッシュの町、別名、冒険者の町に着いたわ。


 私たちが町に着くと、町の人達に凄く歓迎されたわ。

 なんか、町の周りに魔物が増えて困っているらしくてそれを私が倒してくれると期待しているみたい。

 なんか、町中がお祭りみたいな賑わいになって、楽しい気分になったけど、私はあくまでも勇者。町に出てお祭り気分を楽しむのはダメみたいね。

 パーティのリーダーでもあるシオン王子に言われるまま、祭りをスルーして、この町の町長が住むというお屋敷に向かう。町長さんのお屋敷に泊まらせてもらうことになっていたみたいで、町長夫妻に挨拶をして、客間を借りる。これから半月弱、ここでお世話になることになるわ。


 客間で落ち着くと、王城からついてきてくれたメイドさんに手伝ってもらいながら湯あみをし、着替えて町長さんの家族と夕食をご一緒させていただく。パーティーのメンバーも一緒に。


 夕食を食べながらこの町の現状を聞かせてもらう。

 なんか、遠回しな説明でよく分からなかったけど、冒険者が仕事をさぼったせいで近くにあるダンジョンで魔物が増え過ぎてしまい、ダンジョンから魔物が溢れだし、森に魔物が巣食い、町のまわりにある畑なども荒らされだして大変だそうだ。


 冒険者が魔物を倒すのが当たり前みたいな話を町長夫妻はしていたが、それがなぜ魔物を倒す仕事をさぼりだしたのか聞いてみたが、冒険者は金に汚いから、お金が欲しくてサボりだしたんだ。と町長が言っていた。賃金を求めてストみたいな感じかな? それって、雇用者にも問題があるってことじゃないかと思ったけど、雇用者ってこの町長さんやその上の王様ってことだから、口にしない方がいいわよね。


 理由はどうあれ、この町は魔物に襲われて大変らしい。それを何とかするのが私の最初の仕事。

 とりあえず、魔物が溢れる周辺の森を綺麗にしたり、魔物が溢れだしたダンジョンに行き、魔物を駆除をして街の平和を取り戻す。

 あと、その魔物退治を通して経験値を貯めてレベルを上げるのも私の目的の一つね。


 そんな感じで明日から私の勇者としての最初の仕事が始まることになるわ。


 次話に続く。

 ちょっと、今日明日あたり妹目線の話が入ります。

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