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第3話 兄、ギルド登録をする。

 ここら辺は、読み飛ばしても大丈夫です。よくあるテンプレ解説ですw


 それと、昨日ブックマーク1名様、☆2名様ありがとうございます。やる気が上がりました。

 よし、準備はできたな。


 俺は、この世界の服装に着替え、とりあえず、町民に勧められた傭兵ギルドという組織に会いに行こうと思っている。

 傭兵ギルド、戦うのが得意な住民が行く、ハローワークのようなものらしいな。

 そこで、城の兵士として仕事を斡旋してもらえれば妹と会って話をする機会もできるかもしれない。


 俺はそんなことを考えて、傭兵ギルドに向かった。

 

 

 ガチャリ。ギィィーーーィ。

 町の人に聞きながら、傭兵ギルドのある建物までたどり着く。看板にも傭兵ギルドと書いてあるようだ。建物の前まで行き、入り口の重い扉を開ける。


 中に入ると、部屋の中は西部劇で出てきそうな銀行のような作り? 正面に窓口が3つほど開設されており、荒くれ物が多いのだろうか? カウンターの上は受付を守るように木の柵で仕切られていて、受付と対面するところに小さな四角い枠が開いている。ここで受け付けの人と交渉するのだろうな。


 俺は周りを見渡し、雰囲気から傭兵ギルドの仕組みを理解する。

 そして、3つある受付の窓口のうち、真ん中の窓口に進む。

 途中、左手の別の入り口のような方から騒がしい声が聞こえてくる。扉も開いていて、ちらっと見ると、隣には食堂兼飲み屋みたいなスペースがあってギルドメンバー同士、交流を深めたり、情報交換したりする感じのようだ。

 そして右手には大きな黒板? 今来ている依頼や仕事の斡旋内容が書かれているようだ。


 俺は黒板の方が気になって、受付に向けて真っ直ぐ向かっていた歩みを右に向ける。

 そして掲示板を見る。


正式雇用

城の城壁の警備

レベル31以上

人物信用度 ☆☆☆

勤務地 ウルの町 王城

給金 銀貨80枚/月

休業補償 金貨1枚

死亡補償 金貨3枚

福利厚生

場内に居住スペースあり 

希望により3食まかないつき(有料)

期間 雇用者の解雇希望日まで

(1年ごとに更新予定)

依頼者 王城防衛隊人事部門


臨時雇用

町の防壁の警備

人物信用度 ☆☆

レベル21以上

勤務地 ウルの街 外壁各門の詰め所

給金 銀貨2枚/日

休業補償 金貨1枚

死亡補償 金貨3枚

福利厚生

なし

期間 1か月程度

依頼者 王国防衛軍人事部門


仕事依頼

魔物の駆除

レベル不問

人物信用度 不要

勤務地 ウルの街周辺

給金 出来高制

休業補償 出来高に含む

死亡補償 出来高に含む

福利厚生

なし

期間 依頼者が依頼を終了するまで

(4月~6月 その後更新予定)

備考 給金はギルド制定魔物時価相場を参照

依頼者 王国総務省雑務課


 こんな感じの依頼が大量に書き込まれており、俺はめぼしいものに目を通す。

 休業補償、死亡補償、人物信用度? このあたり気になるな。

 王国関連の依頼も多いが、商人や工房、個人の依頼もちらほらとみられる。町の人が言っていたとおり、戦うことに自信のある人間向けの人材派遣と斡旋、そして日雇いの何でも屋って感じか。


 俺は何となくこのギルドの仕組みを理解し、改めて受付に向かう。


「すまない、ここが傭兵ギルドであっているか?」

俺は話しかける内容に困って無難な質問を投げかける。


「はい、そうです。当ギルドを始めてご利用の方ですか?」

受付の愛想のよさそうな若い女性がそう答えてくれる。


「そうだ。初めて利用する。そ、外の国から来て、身分を証明するものがないのだが大丈夫か?」

俺はそう聞き返す。

 実際、この世界の住人ではないし、元の世界のパスポートは使い物にならなそうだしな。


「身分を証明する物はなくても大丈夫です。ただし、人物信用度がゼロからの登録になりますので斡旋できるお仕事は限られてきます」

受付の女性がそう教えてくれる。


「人物信用度とは?」

気になった点をさっそく聞き返す俺。


「人物信用度とはそのままの意味です。この国の出身で身分がはっきりしているか、身分を保証できる方、ご家族や住宅を持っているか、仕事の成功、失敗の率、要は仕事を途中で投げ出して逃げたり、仕事の邪魔をしたりしないかギルドが保証する仕組みのようなものです」

受付の女性はまるで俺に仕事から逃げる人ではないですよね? と圧をかけるようにそう答えてくれる。


「な、なるほどな。雇用者やギルドとしては給金だけもらって逃げたり、仕事を邪魔したりする目的で入ってくる他国のスパイとか、警戒することは色々あるよな」

俺は少しどもりながらそう答える。


「はい。我々も仲介業者として仲介料をいただいておりますし、信用を落とせば仲介業者としての信用もさがります。なので、信用できる方には高賃金を、信用度の低い方には低賃金で、失敗しても雇用者が損害を受けにくいような仕事を斡旋する仕組みとなっております」

受付嬢がさらに圧をかけてくる。俺は試されているのかもしれない。


「そうか。ちなみに人物信用度というのは固定なのか?」

俺はさらに気になることが出たので聞いてみる。


「いいえ、状況に応じて変動します。この国での身分の変動や保証できる方の変化、そして、仕事の成功、失敗や、斡旋回数などでも変動してきます」

信用度は変動することを受付嬢が説明してくれた後で、


「それと、供託金という制度もありまして、一定の金額の金銭をギルドに預けていただくことで、信用を確保することも可能です。要は、逃げたら損する金額を預金していただく銀行のような仕組みです。もちろん、お返しすることもできますし、預金額によって受けられる仕事の幅が変わります。ただし、王国の防衛などにかかわる部分には通用しませんので、裏の信用度尺度と考えてください」

受付嬢は供託金という制度の説明も付け足す。

 銀行の機能もしているのなら大金を持ち歩くより預けた方がいいかもしれないな。


「それと、休業補償、死亡補償というのが気になったんだが、これはなんだ?」

俺はもう一つ気になったことを聞いてみる。


「要は、危険手当というか、そのあたりも自己責任でお願いしますということです。休業手当は仕事中、ケガなどで仕事ができなくなった場合の補償、これは廃業補償になる可能性もあります。そして死亡補償はそのままですね。仕事中に死亡した場合、あらかじめ登録していた家族などに支払われるお金です。もちろん、補償支払いの審査は厳しいので、わざと怪我したり、死亡したりして補償金を得ようとすると、支払われませんし、これを利用して儲けようとした場合は詐欺罪として王国に犯罪者として突き出される場合も出るので、ご利用の際はご注意ください。まあ、真面目に働いて、雇用者の不手際で怪我をした場合には普通に支払われますし、あと、この補償の金額が高いという事は危険性も高い仕事と思って仕事を選ぶといいと思います。あと、逆に信用度が低くても受けられるような仕事もこの補償の金額が低くなったりします」

受付嬢がそう教えてくれた。


「色々教えてくれてありがとう」

俺は色々説明してくれた受付嬢にお礼を言う。


「それで、実際に仕事を受けたい場合はどうすればいい?」

俺はここに来た目的を相談する。


「新規の登録ですね。はい。こちらに必要事項をお書きいただければその内容を精査してギルド登録と、登録証を発行いたします。登録書、通称ギルドカードを見せていただければそれ以降、あなたの資格に合った仕事を斡旋させていただきます」

受付嬢が受付らしい笑顔でそう教えてくれ、登録に必要な書類? 羊皮紙を渡してくれる。


「それと、羊皮紙代とギルドカード作成料、登録料等、少しお金がかかりますが持ち合わせはございますでしょうか? 羊皮紙もカードの原料も少し値が張りますので」

俺が羊皮紙を受け取ろうとすると、慌てて受付嬢がそう付け足す。


「ちなみにいくらだ?」

「銀貨6枚になります」

俺が金額を聞くと受付嬢はすぐに答えてくれた。

 確かに高いな。洋服を一通り買った時と同じ値段だから、1~2万ってとこか? この世界の洋服などの物価が分からないが。

 俺は金貨を1枚渡すと、受付嬢の顔が少しこわばるが、元の笑顔に戻り、おつりをくれる。

 銀貨94枚だ。持ち上げると1.5リットルのペットボトル2本分くらいの重さがある。これは重すぎるな。そして、金貨はあまり使わない方がいいのかもしれない。


「供託金と言ったか? 銀行預金みたいなものは今できるか? 銀貨60枚と金貨1枚、預けておきたい」 

俺はそう言って、戻ってきたおつりから34枚銀貨を財布に入れると残りと、新たに金貨1枚を出して受付嬢に戻す。


「ギルドカードができましたら預金が可能ですので、一時的にお預かりしておきますね」

受付嬢がそう言い、金貨を数えたあと、後ろの方から出てきた男性が会釈をして奥に金貨を運んでいく。

 2人で対応することで横領を防ぐ感じか。このあたりは組織がしっかりしていそうだ。


 俺はそれを確認してから登録書に必要事項を書いていく。


名前 タイヨウ・クマシロ

居住地 不定

所属国家 なし

保証人 ・・・・


 保証人か。王国から勇者と認定された妹の名前を書けば、人物信用度は上がりそうだが、逆にもめごとも起きそうだ。妹の対応があんな感じだ。下手をしたら詐欺師扱いで牢獄行きかもしれない。


保証人 なし

死亡時連絡先および名前 なし


 俺は小さな羊皮紙にそれだけ書くと受付に提出する。

そしてその内容に少し寂しさを覚える。

 

「これだけでいいのか?」

俺は項目の少なさが気になって受付嬢に聞く。


「ええ、あとは、こちらの神具で全て読み取れますので」

受付嬢はそう言って大事そうに、四角い大きなお弁当箱のようなものをカウンターに出す。

 石? 金属? よく分からないが四角い何かだ。

 受付嬢が、最初にその四角い弁当箱に手を置きながら、先ほど渡した書類に目を通していく。そして、それが終わったところで、


「この神具に手を乗せてください」

そして受付嬢がそう催促する。

 もしかして、教会でやらされた能力確認みたいなやつか?

 俺は、警戒しつつも、これをやらないと何も先に進まない気がしたので、しぶしぶ、その四角い神具とかいうものに手を乗せる。


 そして、その四角いお弁当箱のようなものが光り出し、受付嬢の方から、四角いカード状の金属が飛び出す。


「はい、これで大丈夫です。名前はタイヨウ様、レベルは10ですね。職業は・・・、なんですかね? これ?」

受付嬢がそう言いながら、出てきた金属片を渡してくれる。

 金属片には名前とレベル、そして職業、人物信用度、そして、居住地不定、所属国家なし、保証人なし。その横にステータスと書いてあり、能力が一通り数値化されて書かれていた。

 そして、職業は『お兄ちゃん』。


「なんだろうな? 俺にもよくわからない。ただ、俺には可愛い妹がいることは事実だ」

俺は首を傾げつつ。最後の部分は自信をもって言う。


「そ、そうですか。もしかしたら、妹さんとのつながりから来る特殊な職業なのかもしれませんね」

受付嬢が焦るように、そして呆れた声でそういう。

 

 そして、そのまま、ギルドカードの裏を見る。


「タイヨウ様、ギルドカードの裏を見るときは気を付けてくださいね。なるべく他人には見せないように、スキルのことや個人的なプロフィールや預金額とか表示されていますので。それと、絶対に無くさないようにお願いしますね。他人が使用することはできませんが、注意をお願いします」

受付嬢がそう言って、革製のカードホルダーのようなものをくれる。表にだけ穴が開いていて、カードホルダーからカード出さないと、表の情報しか見られない、裏の情報は見えなくなる仕組みのようだ。

 一応、周りに気を付けながら裏を見ると、スキルには『妹のためなら』と1行のみ。あとは、死亡時の連絡先なし、信託金金貨1枚、銀貨60枚と書かれていた。


 俺はそれを確認してカードホルダーに入れて、紐がついていたので首からかける。財布も首からかけたらいいかもしれないな。

 俺はそう思い、カードホルダーの紐に財布を結んでぶら下げたが、うん、重い。これは長時間使用すると首が痛くなって無理だ。あとで何か工夫をしないとな。


 とりあえず、これで最低限の身分は保証され、仕事に就くこともできるようになったようだ。

 妹に会うまでの道のりが少しできたような気がする。

 あと、銀行口座みたいなものも手に入れた。


 次話に続く。

 最初もたつきますが、次回、いや、次々回あたりからテンポも上がりますので飽きずにお読みいただけるとありがたいです。

 

 本日もお読みいただきありがとうございます。次回もお読みいただけると嬉しいです。

 感想、ご意見もお待ちしております。ブックマークや☆もらえると作者やる気が上がります。

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