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第1話 妹、異世界転生する。

「クソ兄貴、ついてくんな!!」


「何言ってる? お前、海外初めてだろ? 友達の京子ちゃんだって、海外初めてっていったたんだろ? 俺は邪魔しない、ツアーで後ろからついて行くだけだ。気にするな」


「気にするって言ってるでしょ! 馬鹿兄貴、もう、〇ね!!」


「あてなは素直じゃないな」

俺は笑ってそう答えた。


 

 俺は神代(くましろ)太陽(たいよう)、そして、会話の相手の女の子は、可愛い、愛すべき俺の妹の『あてな』。

 背中まで伸びたつややかな赤髪を後ろで結んだ、少し勝気な見かけの女の子だが、本当は優しい、兄思いのいい子だ。

 そして俺達は兄妹(きょうだい)だ。

 といっても、あてなは俺の親父の再婚相手の連れ子、血のつながった妹ではない。だが、俺は、血のつながり以上に妹だと思っているし、俺は世界一妹を愛していると自負している。

 そんな兄妹(きょうだい)二人は現在、成田空港の発着ロビーで手荷物検査を受ける順番待ちだ。


「クソ兄貴には、大学を卒業させてもらったことには感謝しているけど、それとこれとは別。なんで卒業旅行に友達と二人で海外に行くのに兄同伴でいくことになるのよ?」

あてなはまだ怒っているようだ。


「それは、海外が危険だからだ。お前は海外初めてだろ? まあ、俺も初めてだが、銃で撃たれたときの盾ぐらいにはなれる自信はある」

俺はそう言ってにっこり笑う。妹の為なら何度でも死ねる。いや、死なない上に助ける。


「私の前で、死なれても困るんですけど?」

あてなはそう言って嫌な顔をする。

 本当に素直じゃないな。




「で、なんだって、京子ちゃん?」

俺は、スマホで友達と話をしていたあてなが通話を切ったところで話しかける。


「昨晩、京子ちゃんのお祖父ちゃんが亡くなったんだって。だから、今日のお通夜と明日のお葬式に出てから来るから飛行機遅らせるって。旅行会社に相談したら、3日後から参加で変更できたらしいわ」

あてなが残念そうにそう言う。


「どうする、俺達も、出発を遅らせるか?」

俺は妹が心配になってそう提案する。


「京子は、先に行って楽しんでてって言っていたけど・・・、って、なんで、馬鹿兄貴までそんなこと気にするのよ? 馬鹿兄貴だけでも先に行けば? っていうか、ついて来るな」

あてなが混乱気味にそう言う。こういう時には冷静になるべきだぞ。可愛い妹よ。


 俺は旅行会社の添乗員さんにも相談してみる。


「6泊9日の海外旅行ですし、3日後からでも十分楽しめると思いますよ。遅れて参加される方も先に参加するように言われているようでしたらこのまま参加されてはどうでしょうか? 出発を遅らせた場合でも、ツアー自体は延期にはなりませんし、途中参加になるので、3日分、お二人だけでも楽しまれたらいかがでしょうか?」

親切な添乗員さんがそう提案してくれる。


「この馬鹿兄貴と二人でというのが問題なんだけどね」

あてながそう言ってそっぽを向く。


「ね、俺の妹可愛いでしょ? 照れてるんですよ」

「そ、そうなんですね」

俺は自慢の妹を紹介すると、添乗員さんも微笑んでくれた。


 そんな、トラブルもあったが、俺達は無事、飛行機に搭乗し、海外に向けてフライトを楽しむことになった。


「なんで、あんたが、隣の席なのよ!?」

「京子ちゃんが、遅れるんだからいいだろ? それに隣に悪い虫が座ったらどうするんだ?」

俺は照れるあてなをそうなだめる。

 今回の俺が同行した理由、可愛い妹に、悪い虫、海外生まれの害虫がつかないように守るのも俺の目的の一つである。行きの飛行機のあてなの隣の席が空いていて、もし隣の席に軟派な男が座って口説き始めようものなら、俺がツアー中何度も血の雨を振らせてしまうかもしれないからな。


「まあ、今回の旅行のスポンサーが馬鹿兄貴だから、同行までは許してあげるけど、あまり近くをうろつかないでよね」

アテナはそういい、窓の方を向いてしまう。

 飛行機が離陸して、雲を抜けるときの景色はいいもんな。俺も雲海を見るのは大好きだ。


 まあ、あてなが言う通り、今回の大学卒業旅行のスポンサーは俺だ。

 俺が働いている会社の福利厚生サービスを利用した、13年分の旅行積立金と妹の為に溜めておいた貯金で俺が妹と妹の親友の為に出資した。それがこの海外ツアーだ。



 最愛の義妹、あてなが外の景色に夢中なので、俺は目を閉じ、昔の思い出に浸る。


 そう、あれは俺が大学3年生のころ。

 俺の実の母親に先立たれた俺の親父が、年甲斐もなく、12歳も年下の若い女性を連れてきた。それがあてなの母親で、俺の2人目の母親になった人だった。

 そして、その女性に連れられてきた、当時9歳の連れ子、それが、俺の可愛い義妹、あてなだった。その可愛さときたら、暇さえあれば一日中でもかまってやりたくなる可愛さだった。


 その後、色ボケした親父は、あてなの母親の知恵子(ちえこ)さんと長い休みがとれるごとに、ハネムーンだと、旅行を繰り返し、何度目かの旅行で、飛行機事故、二人とも帰らぬ人となった。


 そこから俺は男手一つで、最愛の妹を育て、死ぬ気で働き、立派に大学まで卒業させることができた。

 親馬鹿な兄かもしれないが、最愛の妹は、とても立派で優しく、美しい女性に育てることができたと思う。俺が兄という立場でなかったら、見惚れてしまうほどの美女。出るところは出て締まるところは締まった体に整った顔、よくここまで立派に育ってくれたものだ。

 きっと、天国でも知恵子(ちえこ)さんは喜んでくれているに違いない。


 そんな過去を思い出していると、連日の過重労働、長期休暇を取るために、前倒しで働き通した疲労のせいか、眠気につられ、そのまま寝てしまう。

 そして、事故は起きた。


 事もあろうか、俺達の乗った飛行機がマシントラブル、両親同様、飛行機事故に合うとは思いもしなかった。

 周りの喧騒に目を覚ました時には、もう、どうにもならない状況だったようだ。俺はわけもわからず、CA(キャビンアテンダント)に言われるがまま、衝撃に備える姿勢を取り、隣に座る妹を庇う様に背中に腕を添える。

 



「・・・・」

「・・・う」

「・・よう」


「たいよう」


 俺は誰かに呼ばれて目を覚ます。

 いや、夢の中だろうか、意識はもうろうとし、ここがどこなのかもわからない。目の前というか頭の中が靄に包まれているようだ。


「あ、あてなは何処だ? 無事なのか?」

俺ははっきりしない意識の中で妹の事だけを考える。


「あなたは、事故で死んでしまいました」

「そんなことはどうでもいい、妹は無事なのか?」

頭の中に幻聴のように響く女性のような声に、俺は苛立ち、ただ、妹の安否の事だけで頭がいっぱいになる。


・・・・・

・・・・・

言葉がとぎれとぎれで頭に入ってこない。


「あなたに、生き返る機会を与えましょう」

「俺の事はどうでもいい、妹だ。妹を助けて欲しい」

俺は死んでもいい、妹が助かるなら何度でも死んでやる。だから妹を助けてくれ。


・・・・・ 

・・・・・

聞き取れる部分だけども必死に拾おうとするが、意識がもうろうとしてほとんど聞き取れないのだ。


「あなたのような純粋で強い心を持った人を待っていました」

「俺なんかより妹の方が何十倍も純粋で優しくて、強く、賢い女だ」

俺の事はどうでもいい、妹は、妹はどうなった?


・・・・・


「あなたの望む力を与えましょう。何を望みますか?」

「俺の事はどうでもいいいって言っているだろ! 俺は妹が、あてなが、ずっと健康で幸せに生きていてくれれば何も要らない、俺は死んだっていい」

俺は状況が分からない状態で、誰にというわけではなく、とにかく当たり散らしてしまう。

 妹の状況が分からない、俺は何もできない、俺が今どういう状況なのかもわからない。



「あなたのその純粋な気持ち、受け取りました。私の願いを聞き入れ、願いなさい」

「俺の願いは妹が生きていること、そして幸せに生き続けてくれることだ」



・・・・・



「願いは成就されました。さあ、お行きなさい。勇者、タイヨウよ」



 そして、俺の頭の中はまた、光に包まれ、意識を奪われていく。




 がやがや

 がやがや


 なんだか騒がしいな


「おお、ご神託の通りだ。勇者だ、勇者様が降臨されたぞ」


 なんか、興奮したおっさんの声で俺は意識を取り戻す。

 そして、目を開けると、教会? どこだ? ここは?


「旅行先か? 俺は、ツアー途中に気を失ったのか? 夢を見ていたのか?」

俺は目の前に広がる、観光地を思わせる西洋風の教会、白い石と木の椅子でできた風景に目を疑う。

 そして、ぼーっとした意識のなかで、周りを確認する。あてなは?

 俺は、妹の事を思い出し、慌てて跳ね起き、周りを見渡す。


 俺の横で、倒れている、見慣れた少女を見つけ俺は慌てて駆けつけ、手首をつかむ。

 

「よかった。脈はある」

俺は安心して、彼女の腕をゆっくり床に下ろす。

 そして、もう一度あたりを見渡す。


「ここは、どこだ?」

西洋風の教会のような建物に、西洋風な神父? 聖職者らしい服を着た男や女が並んでいるのを確認できた。


「ここはどこだ?」

俺はもう一度、今度は近くにいた初老の男に向かって聞き直す。


「ここはウル王国、首都ウルにある大聖堂です。勇者さま」

初老の男がそう答えてくれる。やたら流暢な日本語だな。海外旅行に来たつもりだったが。

 そして、聞いたことがない名前の国だ。


「うっ、ううぅ~っ」

俺の横で倒れていたあてなも呻き声を上げ、意識を取り戻す。


「大丈夫か、あてな? 怪我してないか? 痛いところはないか?」

俺は慌てて、駆け寄ると、手を貸して、半身を起こしてやる。


「って、触るな、馬鹿兄貴! って、ここ何処?」

あてながそう言い、周りを見渡す。


「というか、あてなか? お前、なんか若くなってないか?」

俺は抱き上げた自分の妹に違和感を抱く。俺の知っている妹は大学卒、22歳の成熟した女性のイメージ。だが、今、俺の腕の中にいるのは高校に通っていたころの妹の姿だった。

 少なくとも別人ではない。口調やしぐさ、なにより俺の心が、妹だと認識している。


「というか、馬鹿兄貴も少しだけ若くなってるんだけど?」

そう言って、持っていたポーチの中から鏡を取り出し自分の顔を確認しだすあてな。


 俺も横から鏡を覗くが見えないので、妹の手から鏡を奪い、自分の顔を確認する。


「確かに若返っているな。5~6歳若返ったってところか? 見た感じ、20代後半ってところか?」

俺は鏡で自分の顔を見てそう確認する。いつも見る黒髪で少し疲れた顔のどこにでもいるような会社員のような俺が鏡に映ったが、俺の記憶に比べ明らかに若いのだ。

 30歳のころに急に肌ツヤのなくなりだしたことを思い出し、それより若いころの姿だということが分かる。少なくとも、俺は少し前まで、34歳の少し仕事に疲れた会社員って感じの容姿だった。


「返してよ、馬鹿兄貴。で、ここ、どこよ?」

妹が顔をしかめながらそう言って周りを見渡し、俺に聞く。


「話は終わったかな? 勇者よ。そろそろ、話を始めていいか?」

俺と妹が会話をしていると横から、教会の一番偉そうな、祭壇の飾られた1段以上の上の位置からそんな声が聞こえる。なんか偉そうな声だ。


 俺が振り向くと、そこには絵に描いたような、童話にでも出てきそうな。真っ赤な生地に金色の刺繍で飾り立てたようなローブを身に纏い、大きな王冠をかぶった白髭のおっさんが、偉そうに立っていた。


 そして、そのおっさんと、そのおっさんの横に並ぶ、同じくらいに偉そうに立っている聖職者の服を着たおっさん二人が今の状況を説明しだす。


 よく分からないが、こいつ等が信仰する女神さまが俺達をここに招いたとかなんとか。

 そして、ここは、元いた世界とは違う世界らしい。


「異世界ってやつね」

妹が胡散臭い顔でそう呟く。

 ああ、なんか聞いたことはある単語だ。よく知らんが。


 おっさん二人の話と妹の解説をまとめ、簡単に言うと、元の世界とは違うこの異世界っていうやつを救う為に、女神様が召喚した異世界人? なんか悪い奴? 魔王を倒す勇者とかなんとか。それが俺と妹のあてなって事らしい。

 しかも元の世界に帰るには魔王を倒して女神様に聞くしか方法がないそうだ。

 

「おい、あれを」

偉そうな聖職者のおっさんが、下の神父らしき者にそう命じると、大きな四角い鏡のような、装飾された鉄板のようなものが運ばれてくる。


「でたわね」

妹が嫌な顔をする。


「あてな、なんだあれは?」

俺は何もわからず妹に聞いてみる。


「すぐに分かるわよ。たぶん、私たちの能力を図る道具。この手の異世界物のお約束ね」

妹はそう言って呆れ顔になる。


「勇者よ。こちらへ。そしてこの神具に手をかざすのじゃ」

王様らしい偉そうなおっさんが俺にそういう。

 よく分からないが俺にそれをやれって事らしい。


「馬鹿兄貴。この後どうなるか分からないけど、謝っておくわ。ごめんね」

あてなが珍しく、しおらしい顔で俺に謝る。

 妹はいったい何について謝っているんだ?

 

 おれは、イライラしているおっさん二人に急かされるように、鏡のような神具とかいうものに近づき、言われた通りに手をかざす。

 すると、その鏡のようなものが輝き出し、文字と数字が表れる。


名前 タイヨウ

職業 お兄ちゃん


レベル 10


戦闘力 100


ちから 25

すばやさ 20

ちりょく 10

たいりょく 30

きようさ 15


HP 30

MP 10


スキル 妹のためなら



ざわざわ

ざわざわ

周りの聖職者たちが騒ぎだす。


「これは・・・」

一番偉そうな聖職者が眉を顰める。


「なんだ、これは? レベル10で戦闘力100。そこら辺の平民と変わらぬではないか。しかも何だこの職業とスキルは? いままで見たこともない、貧相な転生者だのう」

王様らしいおっさんが俺を馬鹿にするようにそう言う。


「うわぁ、そっちか」

妹のあてなが凄く残念そう声でそう言い、両手で顔を押さえて天を仰ぐ。

 


「もういい、下がってよい。次、そこの女もここにきて、神具に触れるがよい」

そう言って不機嫌そうな顔をする聖職者のおっさん。

 俺は期待外れの結果をだしてしまったようだ。


 あてなも俺と同じように鏡のような神具と呼ばれるものに近づき手をかざす。

 そして、俺の時と同じように表面に現れる文字と数字。


名前 アテナ

職業 勇者


レベル 10


戦闘力 300


ちから 50

すばやさ 65

ちりょく 70

たいりょく 55

きようさ 60


HP 55

MP 70


スキル 勇者の力

    聖剣使い    

    幸運

    成長上限3倍 

    強さ3倍


「おお~~」

「これは」

「すごいぞ、見たことがない数値だ」


「ほう、レベル10で戦闘力300。こちらは本物の勇者様のようですな。勇者の力ということは、一通りの勇者のスキルが使える上に、聖剣使い、伝承でしか聞いたことがないようなスキル持ちとは。しかも幸運スキルをもち、ん? 残りのスキル? これはなんだ?」   

不機嫌だった王様らしいおっさんは突然上機嫌になり、あてなに対し急に礼儀正しくなる。少しだけだけどな。    


「多分、歴代の勇者でも、レベルの上限は平民の2倍、ステータスも2倍ですが、このお方は、そのどちらも3倍という事ではないでしょうか?」

聖職者のおっさんがしどろもどろにそう言う。


「つまりどういうことだ?」

王様らしいおっさんがそう聞き返す。


「つまり、レベルを上限まで上げられた場合、レベル300で戦闘力270000。この世界最強の人間が戦闘力10000ですからそれと比べても30倍近い強さ、通常の勇者ですら上限レベル200で戦闘力が80000ですから、それと比べても3倍以上の強さかと」

何か一生懸命、暗算した後にそう答える聖職者のおっさん。


「なんと、通常の勇者の3倍!? それは期待が持てるんじゃないか?」

王様らしいおっさんは興奮して声を荒らげる。


「たぶん、歴代最強の勇者かと」

汗を拭きながら、しどろもどろにそう言う聖職者のおっさん。


「もしかして、勇者っていっぱいいるパターン?」

妹のあてなはおっさん二人にそう聞く。かなり嫌そうな顔だ。


「いえ、あくまでも歴代勇者でございまして、今はおりません」

聖職者のおっさんがあてなを敬う様に丁寧な言葉で答える。


「そっか、それはよかった」

妹が何故か安堵する。

 子供のころRPGとか家庭用ゲームでやったことがあるが、勇者なんて奴は一人なんじゃないのか?


「じゃあ、とりあえず、私がこれだけ強かったら、そこの人要らないよね?」

妹が突然、俺を蔑むような眼で見るとそう言い放つ。


「そうじゃな。平民と変わらぬ能力では勇者とは呼べぬ。何かの手違いで召喚されたのであろう。適当に生活できる程度の金は渡してやる。城下町で宿でも借りて、真の勇者様が魔王を倒すまでおとなしく暮らしているがいい」

王様らしいおっさんは、妹のあてなとはうってかわったような態度で俺にそう吐き捨てる。その横であてなは優雅に鏡を見ながら、化粧を直している。


「じゃあね、無能な馬鹿兄貴。間違えても私に会いに来るようなことはないようにね」

妹のあてなは、おっさん二人に丁寧にエスコートされながら、すれ違いざま俺にそう言い捨てる。

 俺を拒絶するように、トンと俺の胸を押しのけながらすれ違う。そして、俺の胸元に残る二つ折りの鏡。

 聖職者らしいおっさんと王様らしいおっさんと護衛らしい鎧をきた連中はそのまま教会の外に出て、きらびやかな馬車に乗り、騎馬の護衛を伴って行ってしまう。

 俺は教会の出口で、何も言えず、何も考えられずに立ち尽くすしかなかった。

 手の中には最後に妹に渡された二つ折りの鏡。俺の今の情けない顔をよく見ろってことか?


 俺は、残された聖職者の代表のような奴から、小さな袋に入った金らしきものを渡されると、教会に残された下っ端聖職者の連中にゴミでも見るような眼で見られながら、無言で教会を追い出される。


 先ほどの馬車の一行が、少し坂道になった広い大通りをこの国の城と思われる大きな建物に向かって進んでいくのが遠くに小さく見えた。


 こうして、俺は真の勇者ではないと、王様と妹に追放されたのだった。


 次話に続く。

 ネトコン初挑戦です。

 少しでも2話目以降に期待いただけそうでしたらブックマーク宜しくお願いします。期待を込めた☆とかもやる気が倍増します。

 頑張って書きますのでぜひ引き続きお読みください。

 それと感想やご意見もいただけると嬉しいです。宜しくお願いします。

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