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こぼれゆくものたち  作者: 桐月砂夜
9/43

九頁目



なにもいらない

なにもいらない

なにもいらない

そうおもえる

こころが

ほしいだけ



 ⌘



月夜はいつも雨が降る

あの雲の向こうの

光を想う

向こうからの光が

此処に届くことを信じて

この雨のように



 ⌘



夢のなかにあったお香に惹かれて

わたしはその香りを求める

目が覚めてもそれを

ずっと探している

ほんとうに何処かに

それはあるのではないかと

すこしだけ期待して



 ⌘



あめにぬれるのは きらい

なにもかも くっつきすぎる

それがかわいても なお

なにかが はなれない気がする



 ⌘



ああよかった

まだ此処にあった

あのあったかい場所が

なくならなくてよかった

欠けてしまったのに

わたしはそう言い続ける

やたら美しかった花が

目の裏にこびりついて

あの色が

抜けないくせに

知らないふりをして

わたしは言う

ああよかった

まだ此処にあった

扉の向こうには

もう何もないのに



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