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十四頁目
残った蝉の声
心なしか小さく聴こえる
頑張らなくて良いから
どうか惹き合えますよう
⌘
わすれゆく さいのう
あれば いいのにね
そうすれば もう
なかなくて すむのに
⌘
ざらざらした
砂浜みたいなところに
細い棒かなんかで
それを引っ掻いて見せますとね
何かよく分からないものが
出て来るのですよ
それが恐ろしくも
面白いのです
残酷になっても
許されますから
⌘
貴方が吸っていた煙草の香りは
よく憶えている
特別に用意されたがらすの灰皿と
みんなで笑った声と
貴方が街に帰ってからは
その香りだけが残っていた
だんだんと消えゆく
その香りはいまもここに
すれ違ったらきっと
わたしは振り返るだろう
そこに貴方はいないのに
それを分かっているからこそ
⌘
つぎはぎでも良いのよ
いいこ
いいこね




