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9 研究者に出会ったら

 フェルリアの後ろをついて行き、中央にある階段から2階に上がった。

 二階にあがると六つの扉がある場所に付いた。

 2階はフェルリアのような使用人が働いている作業場になっているらしい。何をしているかはまだ聞かされていない。

 周りをきょろきょろと見ていると、フェルリアは一つの扉の前へ移動し、そっと扉を開けた。


「こちらの部屋です。入って下さい」


 フェルリアが部屋の中に入るように指示した。


 なんだろう。なんとなく、嫌な気がする……。気のせいだろうか。


 フェルリアの顔をちらりと見ると、目線で早く中に入るように訴えていた。

 拒否権はないらしい。

 恐る恐る部屋に入ると、すぐに薬品の匂いが鼻についた。病院のロビーを想像させる匂いだ。


「キャメル、いますか。フェルリアです」

「はいはーい。いますいまーす。ごめーん。ちょっと今手が離せないから要件教えてー」


 フェルリアが少し大きめの声で呼びかけると、奥から別の女性の声が聞こえてきた。


「先程お伝えした新人を連れてきました。ここに置いていきます。夕刻前までには回収に来るので、後はあなたに任せます。頼ましたよ」


 え、フェルリアさんいなくなっちゃうの?


「夕刻までね。はいはーい。任せて―。いろいろ試してみるね」


 快い返事が奥から返ってくる。どうやらここで何かされるらしい。


「後ほど呼びに来ます。それまでは奥のキャメルといてください。ないとは思いますが、勝手な行動はしないでくださいね。」


 フェルリアは俺にそれだけ伝えると、さっさと部屋から出ていった。

 フェルリアがいなくなると、部屋の中が静かになった。何もすることがないため、周りにある物を見てみる。棚にはたくさんの本があり、鍵がかかる棚には薬品らしき瓶や漢方のような葉っぱなどが並べられている。どことなく理科室と保健室を足して、二で割った印象だ。

 なんだろう。俺、実験でもされるのか?


「おまたせー。ごめんねー、遅れちゃって」


 少しすると、奥から白衣を着た女性が現れた。

 身長はフェルリアと同じぐらいだろうか。ショートヘアで、モノクルをかけている。手には液体の入ったフラスコのようなものを持っていおり、どことなく研究者のような風貌だ。


「おー、君がフェルが言っていたスピリットエルフの子だね。これまた珍しいねえー。君、何歳?どこから来たの?」


 女性は俺のことをじろじろ見ながら質問してきた。

 歳も出身地も分からないため、とりあえず首を横に振ってみる。


「あ、そっかそっか。声が出せないんだったね。はい、これ飲んでー」


 女性は躊躇なく手にもったフラスコを俺の口に押し付けてきて、強引に口の中に入れてきた。そのまま無理やり顔を上げさせられ、フラスコの中の液体が口に入ってくる。

 急なことに驚くも、かなり強い力で押されいて抵抗ができない。流れ込んでくる液体をごくごくと飲み込んでいく。しかし、流れ込んでくるペースが速く、思いっきりむせ返った。床や服に口からあふれた液体が飛び散る。


「あーごめんごめん。大丈夫―?」

「ごっほっごほ……。大……ごほっ……丈夫では、ないですよ。ごほっ……」


 あれ……、俺今、声出たよね。


「お、声出たね。よかったよかった」


 咳込みながら女性の方を見ると、にこにことこちらを見ていた。


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