8 扉が開いたら
「ちょっと、何か言いなさいよ。聞いてるの?」
赤髪の女の子は俺の部屋に一歩入り、俺を見下ろしながら話しかけてきた。
俺は訳が分からずポカンと女の子を見上げる。
背丈はだいたい今の俺と同じぐらいだろうか。フェルリアと同じメイド服を着ている。
「ふーん……。あなた、エルフ族?いいわね、希少種ってだけでちやほやされちゃって」
鋭い視線で女の子がじろじろと俺の体を見てくる。
「先に言っておくけど、次の『プレゼント』で選ばれるのは私なんだから。でしゃばらないでよね」
女の子は腕を組み、再度こちらを見下ろしてくる。
プレゼント……?一体、なんの話だ。
「……何しているのですか。二人とも」
俺と女の子が見合っているところへ、フェルリアが廊下から話しかけてきた。
「フェルリア様。いえ、新しい『プレゼント』がどのようなものか気になって見に来ただけです」
女の子はフェルリアに軽く一礼し、部屋の外に足を引いた。
口調や動作が先程とは別人のように丁寧だ。
「そうですか。あまり勝手なことはしないで下さいね。それでリンカ。仕立ての仕事は進んでいるのですか」
「はい。順調です。今日中には完成させます」
「そうですか。では、あなたは仕事に戻りなさい」
「はい。分かりました。……失礼します。」
リンカと呼ばれていた女の子は、俺の方をちらりと見てから、フェルリアに一礼をした。
そして、足音を立てることなく廊下の奥へと歩いて行った。
「今の子はリンカ・ロイルンツ。あなたと同じ『立場』の子の一人です。また明日詳しく説明します。それでは、あなたにやってもらうことがあるので、一緒に来てください」
フェルリアは、俺のことを手招きしてから歩き始めた。
慌てて立ち上がりフェルリアの後ろを付いて行く。
分からことに分からないが積み重なっていく。とりあえず今は、考えないでおこう。




