7 お風呂から出たら
風呂場を出ると、真っ白なタオルと肌着が用意されていた。
タオルで体を吹いていると体のあちこちに青い痣やかさぶたがあることに気付いた。筋肉や脂肪も少ないようだ。また、女の体を見て気持ちが高揚することもなかった。自分の体ということもあるのだろうか。
「着替えましたか。それではこちらに来て下さい。」
肌着を着終えると、メイド服姿のフェルリアが声を掛けてきた。小走りでそちらに向かう。
「採寸をします。腕を上げて、動かないでください。」
フェルリアの指示に従って、腕をT字のように上げる。
フェルリアは長い巻尺を使って、淡々と体の採寸を行っていく。一切メモを取る様子がないが、全て覚えているのだろうか……。
「……これで終わりです。服については明日お渡しします。今日は、少し大きめですがこちらの服を着てください。」
フェルリアと同じメイド服を手渡された。
「着方は分かりますか?」
風呂場の件のように恥をかきたくないため、首を横に振る。
「分かりました。今日は説明しますね。一回で覚えてください」
今日はということは、明日は説明なしですか……?
思ったよりフェルリアはスパルタだった。
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フェルリアから服の着方を教えてもらった後、屋敷での過ごし方についての説明があった。屋敷の中を歩きながら施設の場所や自分の寝室、起床時間から就寝時間までの流れ、屋敷内でのルールなど、たくさんのことを教えてもらった。
正直、覚えきれない。メモなどがほしかったが、それを伝える手段もなく諦めた。フェルリアは「分からないことがあったら、その都度聞いてください。」と言っていたが、質問するのも申し訳ない気持ちだ。
説明が一通り終わった後、一度自室で休むように言われ、自室の前でフェルリアと別れた。
また用事がある時は呼びに行くとのことなので、今はのんびりタイムだ。
部屋にあるベッドに仰向けに寝転がり天井を見上げる。
(んー、なにがなんだか……)
とりあえず、今の自分の状況を簡単に整理しよう。
気付いたら女になってオークションに出されていた。そして、ニズという男に落札され、この屋敷に来て、何やらメイドのような生活をするようになっている……。
とりあえず、訳が分からない。何がどうしてこうなったのか。そもそもなぜ男の俺が、女になっているのか。そもそもなぜこんな別世界にいるのか。分からないことしかない。
(どうしようか……。いや、どうなるの俺……)
これからのことに対して不安ばかりだ。
自分の名前も分からず、声も出せず、この世界のことも何も分からない。
どうしろというのだ。
(はあ……。今はできることをするしかないよな)
嘆いたり悩んだりしていても悶々とするだけだ。
ここは割り切って、目の前のことをやっていこう。うん、それがいい。そうしたら、何か分かってくるかもしれない。……分からないかも知れないが、とりあえずやってみよう。
そう思い込みながら勢いをつけて、ベッドから体を起こした。
なるようになる。なるようにしかならないのだ。
コンコンコン……。
扉からノックの音が三回した。フェルリアだろうか。
返事ができないため、扉を開けに行く。
しかし、扉の前に立ったと同時に、扉がこちらに向かって開けられた。突然のことで反応できず、そのまま扉に頭をぶつけて後ろにこけてしまった。
「……あなたが『新しいプレゼント』?」
フェルリアとは違う幼い声がした。頭を擦りながら声の方を見ると、こちらを見下ろしている赤髪の女の子が立っていた。
仕事が忙しいため投稿頻度は飛び飛びです。すみません。




