ギルド百鬼夜行 草案1
※こちら、作者の走り書き置き場。
話の作りかけ、盛大なネタバレ有り。
航海の危険性が今の比ではなかった未開の時代、
海を恐れた多くの人々によってその「海の神」は生まれた。
しかし、人の心は移ろいゆく。
新たな「海の神」は恵みを齎し、人々の生活を豊かにする者だという。
古い、恐怖を齎す神はその役目を終えた…のだが、その古き神を煩わしく思っていた他の神々によって
「後任の海の神のために力を譲渡する代わりに、異世界にて生き永らえさせてやる。」と
持ちかけられる。
同じ「海の神」とはいえ、出自が正反対とも言える神の力を残したとして、後任くんがそれをわが物とするのはいつになるやら…大いに持て余すであろうと思いつつ
古き海の神はそれを了承し、力の譲渡を開始するが、大方の予想に反して
古き神の力が衰えておらず、譲渡手段(神器)の容量を超えてしまう。
神が強い力を持ったまま異世界へ渡ると、時空に負担がかかるため、更に力を消費させようと
本来、数人がかりで行う異世界転移門の開門を自身1人で行うことに。
開門に成功した海の神は一抹の寂しさを覚えながらも元の世界を旅立っていった…
門を潜ると、そこは白を基調にした空中回廊群だった。
まっすぐ進んでいくと、入ってきた時と同様の門があったため、同じ要領で開こうとするが、
自身が通れるほど開く前に萎んでしまう。
流石に力を使い果たしたのだ、と考え今日はここで眠りにつくことにした。
翌朝、(といってもただ寝て起きただけで時間は分からない)再度挑戦し、ようやく開くことができ、
足を踏み出したら…転移先は空中で、落下。そして着地点は…海だった!
ホームグラウンドたる海を前に…海の神は大いにはしゃぎ、力を行使し、大いに恐れられた昔を懐かしみ…力を使い果たし、沈んでいった…!
海の神が気が付くと、そこは小舟の上で…どうやら大波で海に投げ出されたと思って助けてくれた者達がいたようだ。
彼らは「ギルド」と呼ばれるものに所属している「冒険者」らしい。
そして、そこに来た依頼を果たすべく海路を使っていたら、大嵐になり、溺れているもの(神)を発見し救助した…と。
道中、この世界には「魔法」というものがあり、それは「神に祈る(呪文を唱える)」ことで発動する
と知る。(海の神にとっても既知の事柄)
「私を治療した魔法は、何という神に祈ったものか?」と聞くと
「○○様(光の女神)ですが…変なことを聞きますね? 神といえば○○様しか居ませんが…」
と、言われ衝撃を受ける。
(神が1人…? それでは人々の多種多様な願いを聞き入れることが出来るというのか?…馬鹿な!それが叶わないからこそ、私の元居た世界で数多の神々が生まれたのだぞ!
そして…その存在を望まれなくなったからこそ、私は…)
冒険者はその様子を怪訝に思ったが、他人の事情にあまり踏み込むのもどうかと思い直した。
冒険者たちはこれからとある村で暴れまわる「魔獣」を狩りに行くらしい。
わざわざ海路を通ってまで行くのは何故か、と問うとこれまで何人かギルドから派遣されたが、ことごとく音信不通であるらしく、海の神を助けた冒険者たちは直々に指名された実力者らしい。
指名されたのが嬉しくて、「速攻で片づけてくる!」と息巻いて来たようだ。
「ここで会ったのも何かの縁、同行させてほしい。」と頼むと「まあ、陸に上がって はい。さようなら。は寂しいか。」と、サポーター(荷物持ち)としての同行を許可された。
村で暴れていた「魔獣」は狼だった。それは小さくもないが大きくもなく、「コボルト」だろうと思われた。
冒険者の槍で簡単に刺すことが出来たが…それは「幽体」だった。どうやら特殊個体「ユニーク」らしい。
不意を突かれた冒険者は噛みつかれ、重傷を負う。
ヒーラーが回復、魔法使いが火球の魔法を唱える。
しかし、なぜか傷は塞がらず、攻撃も狼が速すぎて当たらず。
「海の神」を残して全滅してしまう。
「海の神」は感じ取っていた。その狼が「負の感情」に突き動かされ苦しんでいることを。
狼は「海の神」にも噛みついてきた。海の神は自らそれを受け入れた。
「おお…お前、苦しいな…。その苦しみ、存分に私にぶつけるがいい。何、遠慮することはない。これでも私は「恐怖」を根源とする神であったのだ。存分にぶつけよ。」
「そう、大丈夫だ。私にならどんなにぶつけてもよい。お前が落ち着くまで相手をしよう。」
そして、落ち着くと狼は人間の姿に変わった!
礼を言った後、自分の飼い主が自分を置いてどこかへ行ってしまったこと、自分は飢えてそこで気を失った(〇んだ)はずであることなどを伝えてきた。
とりあえず、冒険者達を村の方へ運び、手当(応急処置)を行った。
翌日、冒険者が体を起こせる程度まで回復。
狼(人間ver)の話を聞き、(村の生き残りだと説明して誤魔化す)原因究明の捜索をしようと
する。それをやめさせ、海の神が狼とその役割を担うことに。
捜索を開始すると、狼の物とは違う力の残滓を感じ取る。
海の神たちはそれをたどっていく。感じ取れる力はどんどん増していく。
それはもはや神に迫る濃密なな力の波動。
その正体は「九尾の狐」であった。
海の神は、もしや神が地上に遣わす遣い、「神使」ではなかろうか?と考えていた。
しかし、狐は自分は「妖」であることを明かした。
そして、聞き慣れない という反応を示す海の神に対して
狐は「これは異なこと。」と笑う。
「お前が連れているその小僧(狼)も妖気を放っている。同類を連れた者が白々しい。」と。
「何…?」
「其奴も妖の類だと言っている。」
「俺は、この近くの村で家族と暮らしてた!お前と一緒にするな!」
その頃はこんな会話をする能力はなかったであろう、と内心思いつつ、
あえて口にするまいと黙する海の神。
「ほほほ。お前の言い分など…。
どうじゃ、そっちの。相棒に怪しい…いや「妖しい」ところなぞ、無かったか?」
「うん?ああ。私がこの子に初めて会ったときは、
体が棒切れをすり抜ける「恐ろしい狼」の姿だったよ。」
それを聞いた狐は得意げだ。
「そら見たことか! そのような者、さぞ恐ろしかろうな?」
「ああ、実に素晴らしいことだ。」
「…は?」
「うん?」
「…何の話だったかの?」
「いや、だからな?この子は自分を討伐に来た者どもの攻撃を意に介さず暴れまわって「恐怖」を振りまき、あまつさえ自らも家族と離別するという「苦しみ」を抱えていてな?
なぜ、この地を離れたかと。更なる「恐怖」の権化がおるに相違なかろうと
原因を探すうち、ここにたどり着いたのよ。…それはお前さんで間違いないだろう?」
「そ、そうじゃな…。我はいつの世も恐れられてきたわ。」
「なんだ、「妖」とはまるで私のような者達なのだな。」
「ならば…どうだ、お前たち。私と行動を共にしないか? 冒険者というものになって、
あ~、何と言ったか…そう!「ギルド」に所属するのだ!」
「我を受け入れる者など存在せぬ…いや、居たには居たが、それらは皆死に絶えた。故に我はこうして一人で居るのだ。」
「そうか。既存のギルドには馴染めぬと…。ならば、我々で新しく「ギルド」を作ろう!」
「ふむ…「妖が集うギルド」かえ? まるで百鬼夜行じゃな。」
「何?」
「闇夜に妖どもが集い、練り歩く様を「百鬼夜行」というのじゃ。」
「…いいな! では我らは「ギルド・百鬼夜行」だ!




