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3話 高校デビュー(谷視点)

3話です。谷くん視点でお楽しみください。

僕は谷一哉。小さい頃から怪奇現象などのアニメや番組が大好きだった。中学に入り、何も起きない現実に絶望し、それなら何かが起きている雰囲気だけでも味わいたい、と服装を変えてみたり、自分の設定ノートなどを作成したり、世間一般で言う中二病街道まっしぐらだった。


中学時代は小学校からの友達がいたこともあり、躊躇われたが、高校に入学し、服装を変えてみることにした。

眼帯、十字架のピアス、左手に包帯、制服も着崩してみた。幸い、地元の高校とは離れたところに通うことになったので、知り合いもほとんどおらず、高校では同じ趣味の友達ができたらいいなと思いながら学年のドアを跨いだところ、僕以上に拗らせている人がいた。

ちなみに眼帯をつけながらの登校は遠近感が掴めず歩きづらかった。


何やら集中してるフリをしているようで、目を閉じている。


誰も彼に近づかない。まさに悦に入ってるって状態だ。いいぞいいぞ。これこそこちら側の人間。


自分の世界の住人が見つかった喜びで早速話しかけてみることにした。


「おい」

と声をかけるが反応はない。これは相当キャラ作りを意識してるぞ!ちょっとやそっとじゃ聞こえないふりをするつもりだな?

会話をしたかったので肩を叩いてみることにした。


「おい、おい、聞こえているか?」


と語りかけると一瞬眉を寄せながら目を開き「はぁ…?」とため息。

どうやら設定作りの「誰とも戯れない俺、カッコいいぜタイム」を潰してしまった事を不満に思っているみたいだ…ガッカリさせてしまったかもしれない!


やばい!折角同じ趣味の人と折角知り合えたのに…何か言わなくちゃ!


「今日も風が騒がしいな。何か良くない物が近づいているみたいだ…俺は隣の席の谷 一哉だ。」


とそれっぽいことを言いつつ、明らかにタイミング外れな自己紹介をしてみた。


すると彼は一瞬何かを考えるような顔をすると納得したような表情に変わり答えた。


「あぁ。恐らく風のはぐれ精霊だな。この規模なら放っておいても問題なさそうだが、闇落ちすると厄介だ。ちょっと見てこよう。」


僕は嬉しくてたまらなかった。あぁ、このような会話ができる友達が中学時代からずっと欲しかったのだ。ここで返答しないわけには行かない。


「ああ、そうするのがいいだろう。」

とクールに伝えるよう心がけたが、どこまでクールに徹することができたかは定かではない。


「早速行くか。」と僕が伝えたところ、


「あぁ。まあ、この規模なら万が一が起きても俺一人でも十分だがな」と彼はため息混じりに席を立ち、出入り口に向かった。


HRまであと15分と言ったところだろうか。


早速彼を追い、教室を出ると


「中二病が2人おるんやがwww」

「なんなん?このクラスw?」などという言葉が立ち去り際に聞こえた。


「おい、待て。」

と早足で歩く彼を追ったところ、一瞬振り向き、またすぐに前進を再開する。この人歩くの早すぎん?僕ダッシュなんだけど…?眼帯慣れしてるなぁ…


「モタモタするな。HRに間に合わなくなるぞ。」


と階段を上がっていく。二段飛ばしだ。


転びそうになりながら必死についていき、少しでもペースを下げさせようと話しかけることにした。

「今後は同業者として話すこともあるだろう。名前を聞いておこうか。」

と僕らのノリで尋ねる。足早い。これ、マジで外行くつもりなん…?本格的過ぎん?キャラ作りすごいよ。


「俺は中山秀一だ。」と屋上のドアを開けながら返答された。


「そうか、中山か。」と若干息を切らせつつ追いつく。


すると彼は突然屋上の真ん中に立ち止まり、虚空に向かって話を始めた。


「どうされましたか?…なるほど、山に。…そうですか。それでは本日12時ごろにお邪魔いたします。…お任せください。」


とりあえずそういうノリなのかと思って神妙な顔をして頷きながら中山くんと同じ方向を眺めてみた。やっぱりなんもない。


すると爽やかな風が吹き、中山くんが僕に振り返り言う


「とのことだ。今日は幸い始業式だけで、12時下校だから午後、山へ行くこととしよう。」


え?知り合って1日目で友達と出かける予定ができちゃった!こんなの幼稚園以来だよ!

僕は努めてクールに返答した。

「あぁ。尻尾を掴むぞ。」


これが気の合う友達ってやつなんだろうな。

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