2話 出会い
クラスは1-C。
40人ほど入るの広々とした教室で自分の席を探す。
(な、な、中谷、中村、中山、ここか。)
自分の名前を見つけ、早速着席する。
まだ全生徒が揃っているわけではないようで、埋まっている席は疎らだ。
さて、HRまで魔力コントロールの訓練でもするか。
暇つぶしに体内の魔力を脳に集め、演算能力を高める。その後、体中に魔力を循環させ、細部まで動かせるようコントロールする。
割とデリケートな作業なので目を閉じながら集中してやっていたら突然肩を叩かれた。
「おい、おい、聞こえているか?」
一体誰かと思って目を開いたら、同じ服装の少年がそこにいた。
左目に眼帯、左手に包帯、十字架のピアス、着崩した制服
状況が把握しきれず、「はぁ…?」と答えると
「今日も風が騒がしいな。何か良くない物が近づいているみたいだ…俺は隣の席の谷 一哉だ。」
などと多少最後は早口になりながら、自己紹介なのか分からんことを言い始めた。
風、か。
魔力感知を広範囲に作動させると、風のはぐれ精霊が校内の屋上に迷い込んでいた。
ふむ、と一考する。
俺が気づくより前にこの精霊に気づいたということか。こいつ、なかなかできる、な。
「あぁ。恐らく風のはぐれ精霊だな。この規模なら放っておいても問題なさそうだが、闇落ちすると厄介だな。ちょっと見てこよう。」
と答えたところ、谷と名乗った少年は少し面食らった表情をさせたあと、頬を紅潮させ、
「ああ、そうするのがいいだろう。」
と目を爛々と輝かせた。