プロローグ
短いですが新章です!
第1話は少し時間が空くかも知れません。
薄暗い闇の中。
見えるものは影しかない。
辺りにいた人達は、皆が皆……手を伸ばして、憎悪の声を叫びながら消えて行く。
ただ少女1人を残して……
「待ってよ……行かないでよっ!」
1人残った少女は声を荒げる。
1人になりたくなかった。
誰かと一緒に居たかった。
そんな希望や願いは直ぐに朽ち果てる。
闇の中に1人だけ佇んだ。
孤独の歌を口ずさみながら……
誰かをひたすらに待ち続けた。
「助けてよ……1人は嫌だよ……」
暗闇の中で、少女は崩れ落ちた。
涙を流して心の叫びを上げた。
だが、それでも少女は1人だった。
「大丈夫?」と声をかける人もいない。
「大変だね」と同情をする人もいない。
「誰かいないの……ねぇ!」
周りに叫んでも返事などはなかった。
先程までの人も全員が消えていた。
少女の心の底の記憶が徐々に失われて行く。
楽しかったあの頃……
苦しかったあの頃……
失いたくないモノが失われる。
自分は最初から1人だった。
少女は次第にそう思い始めた。
「私は……1人だ……この後も永遠に」
少女は闇の中に佇んだ。
もう失うものは何もない。
だが、1人だけ忘れれない人物の顔が思い浮かぶ。決して忘れない大切な人。少女の頭に浮かんだのは、1人の特徴もない男性だ。
歳は20歳ぐらいだろうか……
髪は短く……容姿は普通。
しかし、目の色が違った。いや、珍しい黒色だが、そういう訳ではない。その男性の目には、希望と言う明るい色が宿っていた。
「ルシア……助けてよ……」
少女は暗闇で真っ直ぐと頭上に手を伸ばす。
誰かがその手を引っ張ってくれるまで……永遠と言う長い時間、細い手を伸ばし続ける。
いよいよ第2章です!
これからも、応援よろしくお願いします!




