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叛逆の騎士と聖剣の巫女  作者: yukizakura
Shout of Beast《シャウト オブ ビースト》
13/21

第13話

文字数が少ないので、1時にもう1話投稿します。投稿が遅くなってすみません。

 



 ルナは静かに地面に膝を落とす。夕暮れの光がルナを嘲笑っているように見えていた。

 驚きの余り言葉が上手く出てこない。呼吸するのさえ、侭ならなかった。


「ルナ……」


 そんなルナを見てルシアは胸が痛くなる。なぜ、そのような感情が湧いたのかは分からない。だが、今のルナは見ていられなかった。

 嗚咽が混じった声で泣くルナ。

 先程、ルシアも同じ状況だったのだ。ルシアの場合は、頭の中でユグドが生きている事を確信して、そのショックで弱音を吐いた。

 だが、ルナの場合は重さが違う。ユグドは、ユナの唯一の父親なのだ。それに、精霊宿しの話を聞いて、余計に心に響いた。

 ユナは、ユグドに対して抱いていた憧れと、ユグドに対する怒りが渦巻いている。自分自身でも、何をすればいいか分からなかった。


「……ルシア……ごめんなさい」


 なぜかルシアに謝りたかった。ルシアにこれ以上、重荷を背負わせたくなかった。

 ルナはその一心で頭を下げる。


「ルナは悪くない。悪いのは、ユグドを殺せなかった……俺だ」


 ルシアは頭を下げようとする。

 しかし、それを遮るようにルナが、ルシアの手の上に自分自身の手を重ねる。その手は暖かかったが、震えているとルシアは感じた。


「ねぇ……ルシア。本当にお父さんは生きているの?」


 掠れる声で震えながら囁くルナ。


「あぁ……ユグドは生きている」

「そうなんだ……」


 ルシアの言葉を聞くと、ルナは今まで保っていた感情が糸のように途切れてしまう。

 涙が溢れる。嗚咽の混じった声で泣いた。

 ルシアはそんなルナを抱きしめる。胸からルナの鼓動が伝わってくる。それに、泣いている声が心に響いて苦しかったのだ。


「ルナ……大丈夫だ」


 泣くルナの耳元でルシアは囁いた。

 それを聞いたルナは、ルシアの腰に手を回し、ルシアの身体を強く抱きしめる。


「ルシア……ルシアっ!」


 表情を崩して叫ぶルナ。

 ルシアはそのルナを見る度に、心の奥が締め付けられるような苦しさを覚えた。

 しばらくすると、ルナは自分自身の中で整理出来たのか、泣き止んだ。

 しかし、未だにルナの身体は震えている。ユグドが生きていると思うと怖いのだろう。いや、ルシアがあの時のように変わってしまうのではないかと、ルナは考えていたのだ。


「……大丈夫か?」

「うん……でも、このままでいて」


 ルナは弱々しく言葉を発した。

 それと同時にルシアを強く抱きしめる。

 ルシアもそんなルナの頭を優しく撫でた。ルナの頭を撫でるたびに、心が安らいぐ。その時だけは嫌な事を考えなくて済んだからだ。


「ルナ……聞いてくれ」


 だが、ルシアには話さないといかない事があった。それはユグドの事だとルナは直ぐに理解して、ルシアに頷いて返していた。


「俺はユグドを殺す」

「うん……」

「でも、ルナに協力して欲しい」


 ルシアは真剣にルナに訴えた。

 その目は紛れもなく真っ直ぐだ。どこにも揺らぐ事のない決心が見えていた。

 ルシアは酷だと理解している。だが、ルナの力は余りにも強力だ。

 いや、それだけが理由では無いだろう。ルシアはルナに側にいて欲しかった。隣で、一緒に歩いて欲しかっただけなのだ。

 ルナは考えながらも、未だに手が震えている。それを紛らわせるかのようにルシアの袖を力強く握りしめて、視線を上げた。


「私……役に立たないよ?」

「違う。ルナは強い。俺よりも遥かに……」


 苦笑を浮かべて言葉を紡ぐルナに対して、ルシアは直ぐに言葉を返した。その言葉には、ルシアの本心が混ざっているようだった。

 しかし、ルナは更に言葉を紡いだ。


「未だに怖いの……震えだって、一向に止まる気配すらないし……弱いよね、私」


 ルナは涙を流しながら囁いた。

 ルナの手を見ると、ルナの言葉の通り震えている。それを見たルシアは、ルナの手を自分の手に重ねて握りしめた。


「俺だって怖いよ。あの時だって、恐怖で弱音を見せてしまったしな」

「……ルシア」


 笑いながら話すルシア。

 そのルシアの手は、ルナの手を握りしめてきたが、微かに震えていたのだ。その事に、ルナは驚きを隠さないままルシアを見つめる。

 ルシアは強がっているだけなのだ。

 大人と言っても、命をかけるのには誰しもが恐怖する。怖いと言う感情を忘れてしまっている人は、それは只の狂った人間だ。


「ルナ……俺の隣を一緒に歩いて欲しい」


 ルシアは心の中で感じていた。

 出会った時から、ルナは特別だった。ルナがいるだけで、ルシアは心が安らいだ。弱々しく生きている自分に自信が湧いてきた。

 ルシアの罪を赦してくれる。そんなルナをルシアは守りたいと思っていた。

 ルナはルシアみ見つめながら、


「……はい」


 小さい声で嬉しそうに囁いた。


うん……日常編だw

そろそろ、ラストに向かってきました!


では、また会いましょう!

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