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悪の探偵役  作者: ことこと
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一人の欲望がまきおこす「難」事件

まゆずみ 紀子のりこ     如月中学校生徒会責任者

 如月中学校 生徒会  


会長 七瀬ななせ らん

副会長 江戸川えどがわ しゅう

書記 長谷部 淳 (はせべ じゅん)

書記 深海 なおと(しんかい なおと)

会計係 佐々木 美奈 (ささき みな)

会計係 山内 海人 (やまうち かいと)




とある県にある、如月中学校。その中学校で、ちょっとした、事件が起きた。学校中に飾ってある美術部がかいた絵が、どれも、ずたずたに切られていたのだ。

「なんなのよ!」

朝、緊急でひらかれた、職員会議で、女性教員がおもわずつぶやいた。、如月中学校の生徒会責任者、黛紀子だ。こう、紀子がおこるのも、無理はない。ほんの数分前に、校長から、「生徒会を中心に解決しろ」と、命令されたからだ。紀子も、ずたずたに切られた絵を見た。探偵じゃあるまいし、解決できるわけない。会議が終わった後、職員室から去りながら、脳内で紀子はぶつくさいっていた。

「と、いうわけで、今朝起きた事件は私たち、生徒会が解決することになりました。」

紀子は、緊急に生徒会役員を生徒会室にあつめこういった。

生徒会役員は、全員3年生で、会長1名、副会長1名、書記2名、会計係2名がいる。そのうちここにいるのは5名。

しばしの沈黙。最初に口を開いたのは、2年生の書記である長谷部淳だ。

「なんで、おれらなんすか?探偵じゃ、あるまいしむりですよ」続けて、会長七瀬蘭も、いう。

「そうそう、ただでさえ、こっちは、文化祭の準備で、忙しいのに・・・」

「仕方ないじゃない。あの、校長のはげやろうのせいなんだから。私も、協力するから。ね?」

紀子はいらいらしたように言う。

「何先生当たり前のこといってるんですか!」と、副会長の江戸川修がいうと、

「ていうか、先生が中心となってくださいよ!」と続いて会計係の佐々木美奈と、山内海人がそろえていう。

周りの5人にいろいろといわれ、紀子の我慢も、限界に近づいたころ、生徒会室の扉が開いた。

「おはようございます・・・・」

ようやく、6人目、書記の深海なおとが登場した。この人物は、遅刻癖があるのだ。

「なに、遅刻してるのよ。こんな大変なときに・・・」蘭はつぶやく。

紀子も、「あーーーー。もう、はやくはいりなさい!!」と、イラついたように言う。すると、

「あ、いや、お客さん・・・」なおとが言ったのと、同時に、一人の生徒が入ってきた。6人と、同じ制服。

如月中学校の生徒だ。その生徒は、いかにも、マジメというような眼鏡をかけていて、ちょっと、背の高い男子だ。

「あの、美術部の絵が、ずたずたに切られたみたいですね。朝、学校に来てみて驚きました。あの、僕で、よければ、犯人を見つけることができるかも、しれません。」

と、その生徒は、名前を名乗るよりも先にこういった。

しかし、「え、まず、名前を教えていただけると、いいんだけど・・・」と紀子がこういうと、すぐに、

「あ、申し遅れました、僕は、2年1組、新月慶と、申します。で、僕が、犯人をみつけましょうか」

この、生徒のいきなりの申し出に、紀子を含め、ここにいる全員が、不満があるはずはなかった。みんな心の中では、生徒会に全部押し付けた校長に、不満をいだいていたのだから。

「え!ホント!?でも、ほんとに解決できるのでしょうね???」

美奈はそういった。確かに、それが問題である。慶のほうが解決できるといってきたところで、何も解決できないポンコツなら、意味がないからだ。しかし、そこは慶、「任せてください!これでも、2年生のなかでは「ホームズ」って、よばれてますから!」と、言い切った。その言い切りように全員の不信感もほぐれたのか、さっそく今から、学校中に無残に切り刻まれた絵を見に行くことになった。

この如月中学校の美術部は、何回も、全国でのコンクールの入賞を果たしており、プロと同じくらいの実力を持っているのだった。

「これも、これも、これも・・・全部こんなにずたずたに・・・」

生徒会室を出た一行は、同じフロアで、最上階の3階にある、壁に貼られた美術部の絵を見た。と、そこで、すすり泣く声が聞こえた。なんと、一枚の絵のそばで、一人の女子生徒が泣いている。

「どうしたんですか?あ、もしかして、この絵をかいた美術部の人ですか?」と、慶はおろおろせず、そういった。その女子生徒は、声を出さずにうなずいた。慶はなるほどねぇと、ひとりでうなずいている。美術部の人たちにとっては、この事件は、自分の肉親が殺されたようなものである。1枚1枚真剣に、愛情を込め、時間をかけ、描いた絵が、いまこうして、ボロボロになっているのだから。おそらく、こうやって絵のそばで泣いている美術部員は何人か、いることだろう。

「あぁ、なんでこんなことに…悔しい…悔しすぎる…これもすべて陶芸部のしわざだわ。」

泣いていた、女子生徒は、聞こえるように言った。

その声は、憎しみであふれていた。









































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