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謎のメッセージ

作者: 白子うに

***********

夜の八時。

自分の携帯に着信があった。

しかし変なのだ。

何が変かって、それは今僕の持っている携帯の番号だから。

今まで経験したことのない現象に、僕は恐怖を感じた。

それだけではない。留守番電話にメッセージが入っていたのだ。

怖い。何か普通ではない出来事が起こっている。

メッセージは当然聞きたくなかった。けど、なんでだろう。

聞かなければいけないという決まりもないのに、なぜだか僕はそのメッセージを再生していた。

もう後戻りはできなかったので、僕はそのメッセージを聞いていた。

『夜の九時、お前はこの部屋で倒れる。そして家族にも気づかれずに、お前が死んでいるのを朝になって家族がみつける』

メッセージはこれで終わった。なんだ、これ・・・

いたずら電話か?いや、それにしてはなんだかおかしい。

しかも、聞いたことのある声だった。

その声は、僕の声だった。普段自分が聞いている声と他人が聞いている自分の声は違うというのを知ってから、僕は自分の声を録音して聞いた事があった。

そのとき、僕は察した。

「僕は死ぬんだ」

何か得体のしれない事態が起こっているのは間違いない。

けど、『何か』が、僕を助けようとしてくれているんだ。

このメッセージを信じるしかない。

母さんと父さんに話さないと!

僕は急いで一階のリビングに降りていった。

「父さん、母さん!俺この後九時に倒れるから!ってあれ・・・」

そこに、父さんと母さんはいなかった。

あったのは、机の上に置いてある置手紙だけだった。

「あなたがもう一週間も部屋から出てこないから、私たち疲れちゃった。少し旅行に行ってきます。ご飯代はあなたが出してください。母と父より」

思い出した。俺はひきこもりの学生だった。

ここ一週間部屋から出ていなかったのは、父親と喧嘩したからだ。

ああ、なんだ。もう僕も終わりなんだな。

まあいいや。ここで人生が終わるのも悪くはない。

どうせ生きていてもいいことなんかないんだ。

だから、あのメッセージは、どうしようもない僕に神様が与えてくれた贈り物だったんだ。

せめて死ぬ覚悟だけは決めれるようにと。

死ぬ前に、どうしても両親に言っておきたかったことがあった。

僕は携帯を片手に父親の電話に発信した。

「おかけになった電話は、現在電波の届かないところにいるか、電源が入っておりません。留守番電話サービスに接続いたします。ピーっと音がなったら、伝言をどうぞ」

こんな時に限って・・・そう思いながら僕はこう伝えた。

「父さん、母さんへ。何で僕も一緒に連れてってくれなかったんだ!馬鹿!」

あれ、こんな事言うはずじゃなかったのに。ありがとうって言おうとしたのに。

そう思ってふと顔を上げたとき、壁に掛けてあった時計は午後九時を指していた。






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― 新着の感想 ―
[良い点] よくある題材ではあるものの、その状況下での作者さんなりの、主人公の身の振り方や心境が無理なく、分かりやすく描かれている。 主人公が最後に本当に倒れたのか、それとも何も起きなかったのかを明言…
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