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金を払え
「金を払え」
蛙の声が頭に響く。
しかし、敷島はそれどころではなかった。
激しい腹痛に襲われたままだった。
「何を食べさせたんだ」
敷島は蛙に向かってやっとの思いで言った。
「高級な牛の肉だ。さっさと金を払え、
金を払えば、痛みも消える」
敷島は苦しかったが何とかポケットを探った。
財布が出てきた。
「いくらだ?」
「560軒」
「は」
「560軒だ。早くよこせ」
敷島は財布の中から1万円をだした。
「なんだこれは」
「金だ」
「ふざけるな。ただの紙切れじゃないか」
敷島は反論したくてもできなかった。
締め付けるような痛みは、
何十倍にも膨れ上がっていた。