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クラウン=コア  作者: 桜花シキ
第19章 変革の時
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革命④

 報道の後、未だ城の周りでは国民たちの様々な声が飛び交っている。

 熱狂的に支持する声、あれはどういうことだと反発する声──ディオスは報道陣を外に追いやると、窓からその様子を眺めて口角を上げた。

 

 その一部始終は、新国王であるディンを含め、城中の者が見ていた。ディンの兄であるアルベールが口を開く前に、普段は兄や姉の意見を聞いてから動くことの多かったディンが、ディオスに詰め寄った。


「あの報道は、どういうことですか?」


 いつもは穏やかで優しい彼の険しい表情に、ディオス、そして兄姉、母も目を丸くした。


「どういうこと、とは?」


 ディオスが聞き返す。


「エイドさんや、アルテストさんの件について、報道を見ても、僕は納得できなかった」


「あなたはひとを疑うことを知らないのです。いくら人がよさそうに見えても、本性は違うことも多い」


 なだめるようなディオスの言葉に、ディンは首を大きく横に振る。


「さっきの報道もそうです! まるで、全属性使いコアマスターばかりが特別であると取られかねない表現でした。全属性使いコアマスターであっても、そうでなくても不当な扱いを受けている者はたくさんいます。それをなくしていこうという働きかけは、僕もしていかなければと思っていました」


 賛同できる部分もあるとしながら、ディンは、でも、と続ける。


「でも、あれではまるで……全属性使いコアマスターだけが特別で、他は違うと国民が受け取ってもおかしくはない」


 だから、訂正するなら早く──そうディンが言うより前に、ディオスは口を開いた。


「そうですよ、そう言っているのです」


「……は?」


全属性使いコアマスターだけが特別で、他は違う──その通りではないですか」


「意味が、分かりません」


全属性使いコアマスターについての伝説を、聞いたことがありますか?どうして、全属性使いコアマスターという存在が生まれたのかを」


 ディンの返答を待たずに、ディオスは語り出す。


「この世界、エターノヴァはひとりの創造神から生み出された。エターノヴァというのは、その創造の女神の名前です。その女神は、火・水・土・風・光・闇の力をその身に宿していたといいます」


「つまり、全属性使いコアマスターは神と同じ力を持つ──そう言いたいのですか?」


「理解が早くて助かります、新王陛下」


 にこり、と笑みを浮かべるディオスに、ディンはぞっとした。この男は狂っている。いつからこんなことになっていたのか。それとも、初めからこうだったのか。

 気味の悪さを感じながら、ディンはディオスの言葉を否定する。


「しかし、それが仮に本当だとしても、僕らは人間です。たとえ全属性使いコアマスターだったとしても、人間なんです。神じゃない」


 しかし、その言葉にもディオスは淡々と返す。


「世界を創ったのは神です。ならば、新たな世界を作れば、それは神と同じであると言えないでしょうか。生まれもって才ある全属性使いコアマスターが集まれば、それも容易です」


 ディオスは、困惑するディンの瞳を覗いた。


全属性使いコアマスターに正当な世界を」


 ディオスがそう言葉を紡ぐ。

 不穏な空気を察知したアルベールが、すかさずディンの視界からディオスを隠した。


「ディン、やつは何かしてくるつもりだ! 気をつけろ!!」


「兄上、わ、分かりました!!」


 ぽかんと兄を見上げていたディンだったが、その声にはっと我に返る。

 その様子を忌々しげに見て、ディオスは舌打ちした。


「邪魔な男だ。全属性使いコアマスターでもないというのに」


 そして、あろうことか、ディオスは腰に差していた剣を、アルベールに向けた。


「止めなさい! 何をしているのですか!?」


 たまらず声を上げたのは第一王女のマリアムだった。


「国王でないとはいえ、お兄様は国王陛下の兄君でもあられます。剣を向けるなど……」


「現国王陛下は、ディン様で間違いない。それが、前王の願いだ。だが、お前たちは現国王陛下の兄でも、姉でもない」


 ディオスは、マリアムとアルベールに冷ややかな視線を向ける。

 言葉の意図を掴めず、マリアムのみならず、アルベールとディンも訝しげな顔をした。

 その中でひとりだけ、満面の笑みを浮かべてディオスの傍に歩み寄る女性の姿があった。


「やっと、この日が来ましたわね。いつ公にできるものかと心待ちにしておりました」


「母上……?」


 その隣に立つ艶やかな女性は、ディンの母アデルで間違いなかった。


「僕は、確かに兄上や姉上とは母親が違います。しかし……」


 父親は同じであるはず──そう続けるより早く、アデルが口を開く。


「そうね、あなたは間違いなく私の子よ。そして──」


 するり、とアデルはディオスの肩に手を回す。


「ここにいる、ディオス様の子でもあるのよ」


 その告白に、ディンは言葉を失った。

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