序章 最後に浮かんだアイツの顔
作者の処女作です。
小説を書くのはド素人で更新も不定期ですが何卒宜しくお願いします。
誤字脱字や漢字の誤り、不適切な表現があればご指摘お願いいたします。
なお、ストーリー内の多少の矛盾などは多目に見て頂ければ嬉しいです。
中学校から自宅への帰路を辿り、玄関前で小さく「ただいま」と呟く。私はすぐさまmy roomへと直行する。求めるのは癒し。つまり二次元。
私こと東條夏樹は二次オタと認めたくない二次オタ。在住は神奈川だが学校は東京だ。長い帰路は校則の厳しい中学のオタク生徒として非常に辛い…と言う訳ではなく結構普通だ。
持ち込み禁止の携帯やウォークマン、当たり前だがゲーム機、それらの登下校時の使用は高等部まである6学年の全生徒の間では暗黙の了解。先輩、学校の最寄り駅でPS●は止めません?…やりたくなりますから。あ、ニ●テ●ドー3D●も駄目ですよっ!
私の通う中高一貫校は名門女子校でT大合格者全国1位は勿論、海外へ途中留学する生徒も多々いる。ちなみにH大生のOGも。
全国の名門男子校を押さえての1位は凄い、と思う。
まぁ、そんな名門女子中に通う私だが決してそこに通う生徒全員が天才な訳ではない。ただ、その天才達の実力が凄すぎるのと、天才率が高いだけ。
一学年に280人も生徒がいればその中のビリは決してT大に行く事が不可能、というかほぼ無理な奴もいる。そいつも決して頭は悪くない、人をあと9人ランダムで呼んだらその中の1位か2位にはなるだろう。せめて3位。
そんな我が校の中学3年生274人の中で私は200位から250位。
もう一度言うけど私が馬鹿な訳ではない、周りが凄すぎるだけだ…多分…きっと…そうだよね…
ちなみに消えた6人は退学勧告により退学。おぅ恐ろし…
っと、そんな事は置いといて本題だ。私は強制の部活で放送部に入っている。放送部は…要するに廃人と変人の集まりだ。別名魔窟。
小学校から上がって来たばかりのまだ汚れていない綺麗な中1と、もう隅から隅まで放送部に染め上げられた高3と幅広い人材を持つ我が部は緩いクセに結構強い。とは言っても都大会優勝までだけど。
でも、凄いと思う。だって先輩部活中に普通に漫画読んでるし、ゲームしてるし…
校則やマナー、しきたりや上下関係などに厳しい我が校ではあり得ないタメ語と廃人用語が飛び交う。
そう言う私は高2の先輩から漫画を密かに借りる。
うん。今日も最高ですね。
個人的に私はスポコン系少年漫画が好きだ。某バスケ漫画とか某テニス漫画とか某水泳アニメとか某ダイヤの野球漫画とか某バレー漫画とか…etc
ちなみに某国の擬人化漫画や某巨人漫画も好きだ…と言うのは置いといて。
私はmy computerで某サッカーアニメを見る。うむ、やっぱり初期が一番いいな、なんて事を考える。そこでスマホが光ったのを視界の隅でとらえた。
「メールか。」
オタク仲間か魔窟の先輩か小学校の頃の旧友かクラスメイトか。頭の中で考える。
オタクでありながらも(私は認めない)がそれを隠さずにクラスの中で過ごす私は親しみやすいらしく友達が多い。友達が多いのはバカキャラでお調子者だからと言うのもありそうだが小学校からだった。
そういえば来週期末テストだなぁ、嫌だなぁなどとぼやきながらメールの方ではなくネット小説を見る。夢小説は嫌いではないが御本家様より強いとか許せない。テニスの魔王様とか鯖系水泳男子とか人類最強様とかより強いのは許せん。
基本的にネット小説は普通の小説だ。うん、オタは認めないけど画面の活字厨なのは認めてやるっ。
はい、すみませんでしたぁ〜!調子にのりましたぁ〜
ごめんなさい、だから色々投げないでぇ。
と言う風に私はネット小説を読みあさる。最近は悪役令嬢の転生モノが多いなあ。無双な男主も好みだ。
一通り読み終わり、スマホのホーム画面に戻る。そこでメールをまだ見てないことに気付き封筒マークのそれをタップした。
知らぬ間にメールは2件になっていて、「魔窟の魔人」と記されたフォルダと迷惑メールのフォルダにそれぞれある。基本的に迷惑メールは見ない主義なので自然ともう一つのフォルダに指が伸びる。
魔王からの練習の通達かな、と中3の学年責任者らしく背筋を伸ばしたり、亡者からの新しい乙女ゲーの攻略対象との戦況報告だろうかと1つ上の仲の良い先輩の姿を思い浮かべ、頬を緩めたりした。
案の定、魔王からで私はまた背筋を伸ばす。多分部長も通達なんかではないとは思うけど…気分だ。
「秋山美優帆」と言う名前をタップし、中身を見た。
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to:秋山美優帆
ども、夏樹ちゃん!
美優帆部長だよ☆
どーせ夏樹ちゃんのことだから絶対にメール見つけても見てなかったでしょ!ε=(。・`ω´・。)プンスカプン!!
もうっ
でねでね、すっごく面白いことがあるから夏樹ちゃんに教えたいと思うの!(wktk
読み終わったらすぐに電話してね!
絶対だよっ!ヤクソクダヨ♪(*゜ー゜)db(゜ー゜*)ウン、ユビキリ♪
♡みゆほ♥︎
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相変わらずな先輩のメールの文面を見る顔文字がふんだんに使われていて、なんと言うかJKだ。
てか、面白い事って何。仕方がないと電話を掛けようと電話帳を開いた。
すると、
「夏樹〜コンビニで醤油買って〜」
と母さんの声がした。
このタイミングで!?と思い、私は母さんに抗議した。
「兄ちゃんに頼んでよっ!私今忙しいの!」
いつも、いつも私だ。少しくらい兄ちゃんがやれば良いのに。と私はソファーでとたんに狸寝入りする兄を睨みつける。
別段コンビには遠くない。てか徒歩15秒。だが私は大嫌いな兄がその分楽していると思うとむかついて来た。
「良樹は部活帰りで疲れているのよ、少しくらいいいじゃない。」
私だって部活帰りだわっ!てか兄ちゃんは学校近いんだしらくじゃん。サッカー部と放送部の運動量の違いは否めないけどこっちは精神的に疲れてんのっ、と心の中で毒づきながら私は鋼と呼ばれる忍耐力をフル活用して拳を抑える。長い時間待つのは苦手だけどこういうのは慣れてる。
お蔭で学校では「オタだけど本当にイイ奴」と評判だ。
ふぅ、と空気と一緒に苛つきも吐き出すつもりでため息を吐いた。
今日も疲れたなぁ、と。
母さんから貰ったお金とスマホを持って家を出た。
外は梅雨特有のじめじめむしむしとした空気で我慢して家を出たことを今更ながら後悔した。涼しいコンビニの中に逃げ込もうと急いで横断歩道を渡る。
蒸し暑さの所為か汗がアスファルトに垂れる。
え?蒸し暑さの所為?
それにしては汗が多い。正に滝の様。これは汗なのか?
私は、広げた手に落ちる汗を消え行く意識の中、見つめた。痛みも、快感も、違和感もない。ただ、スッと感覚が消えていくだけ。
何かに引っ張られる?いや、相手がこっちに来て…「私」が向こうに付いていく。
最後に思い浮かんだ。
無駄にハイスペックなクラスメイトの笑った顔。
某バスケ漫画のコミュ力半端ないHSKを彼氏にしたいとは思ってもお前を彼女にはしたくねぇ。
てめぇのスペック半分寄越せ。
母さん父さん、両親への言葉が最後に思い浮かばない私で済みません…とは思わない。
ていうかそれさえ思い浮かばない。
兄ちゃんへは…特にない。
先輩、これは事故ですから電話出来なかったこと怒らないでくださいよ。
何が起きているのか自分でも分からない、そんな中にいるのに恐怖心はわかない。
ここは、どこなんだろうな
初っぱなから夏樹ちゃんのキャラが…
情緒不安定な主人公(笑)
そして実在する天才の「アイツ」(笑)
中1なのに英語と中国語、を合わせて3ヶ国語を操る純日本人。運動神経も頭も良いとか嫌味です。
毎日赤点を恐れてびくびくする作者とさりげなく(結構)仲が良いのは悲しい運命です。