名残り雨
黒い雲と夕焼け空
強い風はどちらも
運んできた
黒い雲は南の島を
襲った雲ではないか
不気味に口を開けて
空を飲み込み、地をさらった
大風の源ではなかったか
冷たく強い風が
容赦なくふきつけてくる
叩きつける雨
にわか雨かと、通りすがりの人が言う
名残り雨だ、と私は思った
南の島を飲み込んだあとの名残り
不気味な滴りだと
泥の臭いが生々しい
名残り雨はやみ、いつもの夕焼け空が
何事もなかったような顔をして
広がった
あの黒い雲はどこへ流れていったのか