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第2回 師の最後の戦い


 大広場を抜けて大通りを上り右に逸れた所を彼は歩いていました。大通りから入ったこの場所はずいぶん曲がりくねっていました。三階建ての建物が塀のように道を囲むので、知らない人は迷路に迷い込んだと錯覚しそうです。大通りから少しは入ったこの場所は馬車の往来もなく安全で、多くの家族が住むからでしょうか沢山の子供達が路上で遊んでいます。子供達のはしゃぐ声や泣きさけぶ声が辺りに満ちており二階からお母さんと思える姿がありました。道の空は洗濯物で埋め尽くされてお祭りのようでした。

 暫く行くと彼は早足で歩く少女の姿を発見いたしました。プエラでした。

「また脱走かい」

 駆け寄ると彼は陽気に言いました。

「失礼ね。ちゃんとお仕事中」

 彼女の頬がふくれ上がりました。そうして彼女は肩に掛けていたパン籠を目の前に差し出したのでした。

「ご免。こんな所で逢ったものでね」

「分かれば結構よ」

 済ましたように彼女は言いました。

「まだ怒られていると思ってね」

 言い訳をしたつもりが、嫌なことを彼女に思い起こさせたようでした。途端にプエラはげんなりとした顔をしました。

「もうさっきは散々よ。これでもかみたいに怒られちゃって。お母さんの声キンキンするのよね」

 彼女は耳に人差し指を突っ込むと震える仕草をしました。

「とにかく許してもらって良かったじゃないか」

 苦笑いをしながら彼は言いました。

「ところで、あなたはこんな所になんの用?」

 彼女は家に帰ったばかりの彼が直ぐ外に出かけたので疑問に思ったのでした。

「今からビルトス先生の所にいくんだよ」

「先生の処へ」

 その時少女の瞳が輝きました。

 とっさに彼は彼女の次の言葉が脳裏に浮かんできました。慌ててさよならしようとしたのですが、それより早く彼女の言葉が飛んできたのでした。

「連れてって」

 釘を打たれてしまいました。

「君お仕事中でしょう」

 彼は切り返しました。

「もう一件で配達終わりなの。その後は自由の身よ」

 明るく微笑み返しをされてしまいました。

「だから」

 捕まってしまったと彼は観念いたしました。

「最後のお届け先は何処だい」

「そこを曲がった入り口の鹿の絵があるお家」

 彼女ははしゃぎながら上機嫌でした。

 ドアの呼び鈴を鳴らすと中から白髪交じりの老婦人が現れました。彼女がお届け物をお渡しし二言三言会話すると婦人は一旦中に消え何かを彼女に渡しました。彼女はお礼を言って彼のもとに駆け戻ってまいりました。

「終わったわ」

 彼女は開放感から大きく背伸びをしました。

「それはなに?」

 彼は籠中を覗き込みました。

「裁縫道具を頂いたの」

 彼女は嬉しそうです。

「君って縫い物できるんだ」

「失礼ね完璧よ」


 二人は町の外に向かって坂道を上っていきます。上に行くに従って路地が狭くなり家は迫ってまいりました。両側の白い壁からは緑のツタが降りてきており、その向こうには鼻歌を歌いながら庭の手入れをしている人の姿がありました。この辺りの庭は小さな庭が多いためかよく手入れされていました。道を歩んでいると家々から話し声を聞こえてまいります。

 二人は道の頂上近くまでやって参りました。ここま来るとスロープは終わり階段が上へと延びていました。これを登り切ると町の外です。二人は一気に階段を駆け上がりました。

すると目の前に開けた大地がありました。マーレの耕作地帯です。振り返ると今まで見上げていた家々の赤い屋根が眼下にありました。

 石畳の道はここで切れます。その代わりに土の道が岡の向こうまで延々と延びていました。道を左に行けば大通りにぶつかり右に行けば海岸沿いに岡を巡れました。二人は森のある北の方に向かう道を選びました。

 両側には畑が広がって、それを切り分けるかのように道ははしっていました。道には荷馬車の轍のあとがくっきり残っており、ずいぶんぬかるんでいたことが分かりました。今はそれも乾燥し固まって靴が汚れてしまうということはないのですが路面がでこぼこしてとても歩きにくいのでした。しかもそのへこみや出っ張りは元気良く生えた雑草によって隠され石畳のような調子で歩いていると足を躓きそうでした。


 広い畑の中に二人きりでした。近くに農作業をしている人の姿はなく歩く足音だけがしました。目の前を黄色い蝶が舞い空には雲がゆったりと流れていました。遠くにある畑と畑の境目のノッポの並木はそよ風に葉を揺らしていました。

「どうしてついてきたの?」

 彼は訊ねました。

 彼女は言葉を選ぶかのように少し考えた後に

「それは、私があなたの守り人だからよ」とウインクしました。

 ついていけないと彼は思いました。

「回りに誰もいないのに警護付ですか」

「最強、最良の守り人よ」

 力こぶを作るまねを彼女はしました。

(最弱、最悪だ)と彼は心の中で叫びました。

「それに子守役もね」

 彼女は付け加えました。

(今度は子供扱いですか)


「ところで今日は先生になんのご用? また凄い魔法でも教わりに行くの」

 彼女が今度は訊ねました。

「魔法が見たくてついてきたのかい」

「面白いじゃないの」

「曲芸ぢゃないんだから」

 彼は不満そうな顔をしました。

「けち」

「今日はねえ、この本を返すことと進路についてご相談しようとしていたんだよ」

 諭すように彼は言いました。

「進路ですって」

 彼女の中で好奇心の拍動がしましたが押さえ込みました。

「今日お父さんにどんな職業に就きたいのかと質問されて答えられなかったんだ。学ぶのが楽しいだけで先のことなんにも考えていなかったんだ」

「そう」

二人は沈黙しました。

「そうだ、だったら私が決めてあげる」

 彼女は陽気に元気つけようとしました。

「君がかい。面白いね。それで僕にはなにがぴったりの職業かな」

 興味津々で彼は彼女の言葉を待ちました。

 彼女は占いでもするかのように一心に思いを巡らし

「王子様」と言いました。

先ほどと今度といい流石にこの娘にはついていけないと彼は思いました。

「乙女ぽくないものでお願いできないかな」

 彼は要求しました。

すると彼女は男の子らしいものが宜しいと暫く考えた後に低い声で

「世界の支配者」と答えました。

 真面目に聞こうとした自分が愚かであったと彼は悟りました。

 彼女は思い浮かんだことを正直に言葉にしたつもりだったのですが彼が表情を曇らせたのでご機嫌を損ねたことに気がつき慌てて付け加えたのでした。

「というのは冗談。読み書き上手だから交易なんてどうかしら。魔法の出来る商人なんて何処にもいないわよ」

 うって代わって具体的な仕事を提示されて逆に彼は戸惑いました。自分の修得したものから一気に商人に結びつけるものがなかったからでした。

「そうだね、それもいいかも」

 彼の反応が鈍かったので彼女は様子を窺い

「それとも、靴職人になる? お兄さんみたいに修行に行って独立するの。もちろん私を連れてね。」と余計なものを付け加えました。

「靴職人かそれもいいか」

 彼は呟きました。

「だめだめ靴職人なんて!」

 彼女はうち消しました。

「もし靴職人に成る気持ちがあったら迷ったりしないもの。そうしたら学んだことが全くの無駄になっちゃう。目指すはもっと大きなものでしょう」

 お父さんの言っていたことと同じでした。彼は返す言葉ばが見つかりません。しかし大きなものといってもそれが何なのかが問題なのでした。漠然と霧の中に像を画いているようで明瞭に捉えられるものではなかったのです。無駄ともいえる知識を得なければこの様な迷いも生じることもなく、この町で職人の道を選んだはずなのですが。禁断の実に手を出した後ではそのような世界では満足出来なくなってしまっていたのでした。

「大きなものか。その大きなものが分からないんだよ。田舎の靴屋の息子が成し得る大きなものとはなんなんだろう。どういうものがあり、どんな研鑽を積まなくてはならないのか」

 彼は頭を掻きむしりました。

「そうね、漁師には漁師の農夫には農夫の修行というものがあるし。職人だったら弟子入りが最初なんでしょうね。仮に魔法使いだったとしたらそれはどんな風な職業なのかしら。私たち凄い人達という位しか分からないわ。ましてやどんな所に行かなくてはならないのか想像出来ない。これは先生に教えて頂くしかなさそうだわね」

 二人の出した結論はこのまま先生の所に向かうのは正しいということでした。


 二人は畑中の道をどんどん北東に向かって歩きました。町はずいぶん遠くになり目の前には森が迫ってまいりました。道はそのまま森に吸い込まれその先を伺い知ることは出来ませんでした。森の木々が海からのそよ風にさらさらと音を立てています。森は海のような眩しさはなく緑の色が光を優しくします。海鳥の騒がしい鳴き声とは違って森の鳥たちは小さい可愛い声でさえずり、恥ずかしそうに森の木々に隠れその姿を見せません。

 彼等は森の中を歩みました。木漏れ日が地面に落ちて模様を画いています。二人の顔も彩れました。道は畑中よりさらにでこぼこしていて、あちらこちらに大きな石が転がっていました。道はその度に体をくねらせどんどん奥に進んでいました。森の中ということもあり道は次第に狭くなってはいましたが荷馬車が通る程度の幅を維持していました。


「それにしても先生のご自宅て遠いわよね。なんで町に住まないのかしら」

 彼女は不満そうに言いました。

「こちらから勝手に押し掛けているんだそれはないだろう。先生は森で薬草を採取しているんだよ。町なんかに住んでいたらそれこそ大変だよ」

 それでも彼女はご機嫌斜めになっている様子でした。手に提げた大きな籠を抱えているのがしんどくなってきたようでした。

「それ持ってあげるよ」

 彼は手を差し出しました。

「ありがとう」

 小さな声で申し訳なさそうに彼女は言いました。

 プエラも元気を取り戻したようです。

「辺鄙な所に住むお仕事にしないでね。あんた先生みたいに薬剤師になりたいと言い出して山の中に住んじゃったら私大変だから。薬剤師なら売る方にしちゃいなさい」

「おいおい君の都合で決められちゃ適わないよ」

「これは大きな問題です」

 口が動くようになったら大丈夫だと彼は思いました。


「そういえば何の本読んでいたの?」

 彼女は袋に入っている本を覗き込みました。

「これは魔法の本だよ」

 袋から出された本を見て彼女は興奮しました。

「魔法の本ですって! その本を持つと魔法が出せるの」

 彼は苦笑しました。

「違うよ。これはただの本。魔法について書かれているだけさ」

「なーんだ。つまらない」

 彼女は興味を失った様でした。

「これは魔法の入門書なんだ。魔法の基礎理論が載っている。タイトルは言葉の変容と数の生成に関する形式の統一可能性についての考察というもの」

「意味不明だわ。タイトルも長すぎてもっと分かり安くつけられないのかしら」

 彼女は無惨にも価値無しと決めつけたようでした。

「この著者はなかなか魔法に精通しているんだ。初心者に分かりやすく説明出来るて本当に熟知していないと出来ないものなんだ」

「それでどこのどなた」

「著者はホスティス。今はヘテロ王国の魔法宰相の」

「ヘテロのあの極悪人の宰相なの?」

 何故というような顔を彼女はしました。

「敵国だから、この国ではそんな風に評価されているんだろうね。でも、この本を見る限りかなりの理論家だと思うね」

「そうなの」

「多分ね」

「あなたが信じるなら、私も信じるわ」

 彼女にはどうでもいいことでした。ヘテロの宰相が極悪人だろうがなんだろうが、マーレの町は遙か西の僻地で関係はないように思えたのでした。

 試しに彼女は本を開いてみました。そこには見たこともない文字が敷き詰められていました。ところどころ読める文字もありましたが、それだけでは何が書かれているのか全く理解できませんでした。

「良く読めるわねこんなの」

 彼女は感嘆しました。町の子では絶対に不可能なことでした。プエラは彼が悩むのもなんとなく分かるような気がしました。

「しかし、こんな本持っている先生も先生よね。あの方本当はなんなのかしら。単なる薬剤師には思えないわ」


 森の中には心地よいさわやかな風が流れてました。少し湿気があるのか大きなミミズがうねうねと道を横切ってきます。悲鳴を上げて度々プエラは彼にしがみつきました。両側には崩れたところがあり地面が顔を覗かせていました。ほかはシダが生え茂っており、そこから木々が立ち上がっていました。

 暫く行くと右のほうから細い山道が合流してきました。その道は少し上り坂になっており、森はさらに深く緑に覆われていました。ここで二人は右に折れどんどん森の奥へと進んでまいりました。

 踏みしめる砂の音。道はやや砂地になってまいりました。上り坂だったので、てき面彼女の不満の桶が一杯になってしまいました。


「先生なんでも知っているんだから町にどんな仕事でもあるでしょうに。なんで山の中なんでしょう」

 話を彼女は蒸し返しました。

「森が好きなのさ」

 彼は素っ気なく返事しました。

「その森好きの男があなたを特別扱いするのは何故かしら」

「さあ」

 これは彼も不思議に思っていたことでした。

「亡くなる前に弟子でもと思ったんだわきっと。そして白羽の矢が当たった」

 プエラは彼の胸に指を突き立てました。

「まさかたまたまだよ。それに先生には他にお弟子さんがいるんだ」

「あら、あなた一人でなかったの」

 彼女は興味津々でした。

「昔、グノーというお弟子さんがいらっしゃったらしい。僕の兄弟子ということになるね。この方は大変優秀な弟子で瞬く間に先生の知識や技を習得されたらしい。十五年前に先生の命で東の果ての地目指して旅に出られたらしんだ。その後どうなったかは分からないけど」

「そうかあなたは二番手だったんだ。だったら酔狂ということ?」

 真実らしくて辛いところがあると彼は心中思いました。

「一番弟子はもしかしたら旅の途中で亡くなっているかもしれないから、あなたはやはり貴重なお弟子よ自信持って頂戴」

 持ち上げたり下げたり彼女は忙しいのでした。


 道は小高い丘の上に出ました。丘の上は広く木々がはげ落ちており白い砂地があらわに表に出ていました。木々が剥がされないようにしっかり根を出して踏ん張っているようでしたが虚しい努力に見えました。ここまで来ると彼女の不満も解消いたします。目的地はもうすぐそこです。

 岡の先は緩やかに下って谷になっていました。頂が禿げていたので谷全体が見渡せます。

谷全体が木々で覆われ谷の底の小川や先生のお住まいはまったく見えませんでしたが、細く下って行く山道の先には人の住むところがあるような気配を感じさせました。お昼時や夕方であれば森の中に立ち上る煙を眺めることができたでしょうが今は谷は緑一色でハッキリと確認はできません。この坂を下りうっそうと茂る木々の間を幾重にも蛇行を重ねやがてそれは小石が沢山転がる小川とでます。小川には簡素な丸太ん棒の橋が架けられ、この橋を恐る恐る渡り少し駆け上がり林を抜けると開けた土地に至ります。ここがビルトス先生のご自宅です。二人は丘の上からこれからたどっていく道の様子を思い浮かべながらはしゃぐように岡の道を下ってまいりました。


 ところが二人が喜び勇んで掛けだして頂上を少し下ったところ、谷間全体に轟音が鳴り響きました。二人に笑みは雷鳴にも似た音に吹き飛ばされ何事が起こったのか辺りを見渡しました。すると谷間の底、先生のご自宅近くの森から勢いよく砂煙が舞い上がってくるのが分かりました。重い砂は直ぐさま落ち茶色い煙は次第に色を失ってきましたが、微細な土煙は形を保ったまま流されて行きます。

 只ならぬことが起こったことを彼は悟りました。

「僕は様子を見てくる。君はここで待っててくれ」

 そう言うと彼は持っていた籠を彼女に手渡し全速力で岡を下っていきました。取り残された彼女は突然の事態におろおろし森の中に一人取り残されたので慌てて彼の後を追いかけたのですが、二人の距離はどんどん開きやがて森の中に姿を見失ったのでした。



「俺の攻撃を受けて無傷とはな。技は衰えていないというわけか」

 鼻の尖った男は低い声で言いました。

 男の後ろには法衣らしい黒い服をまとった七人の男が並んで立っていました。

 相対しているのは白い鬚をたくわえた丸顔にふとっちょの老人でした。

「セラペンスおぬしの技も衰えてはおらんな。むしろ強くなったというべきか」

 静かな眼差しを老人は男に向けました。

 先ほどの攻撃で舞い上がった砂が辺りに落ちてきて、男達の肩を汚します。舞い上がって土埃は風に静かに流され辺りの木々を薄く茶色に染めました。地面には円を描くように大きな穴が空きその中に老人は立っていました。魔法の攻撃が老人を襲って地面を切り裂いたようでしたが、老人は微動だにせず無傷のままでした。

「我々は十五年かかってやっとお前を捜し当てることができたぞ。もう国外に逃亡したのかと思っていたが国内に隠れ潜んでいたとはな。跡を完璧に消したので時間がかかったぞ」

「そのまま放っておいてもらって良かったのだがのう。久しぶりの挨拶が魔法の一撃とは。普通に訪問してくれるならお茶でも出したものを」

 ビルトスは多人数の男達に恐れを抱くことなく語りかけます。ここに訪れた男達は全員魔法使いであることが気配でわかりました。とくにリーダーのセラペンスは少々骨の折れる相手であることは承知のことでした。通常魔法使いは集団に一人なのですが全員魔法使となると如何にこの捕り物に執念を燃やしたのかがわかるのでした。特殊な編成のこの部隊にいかにお引き取り頂くかなかなか難しい問題であると彼は思いました。

「我々が遊びでここまでやって来たと本気で思ってはいまい。さあ、教えてもらおうか。災いの種の在処を」

「そんなもの知らん。儂はここで隠居しているだけだ」

「あくまでもシラを切る気か。ならばここにいる全部を相手して魔法で勝てるというのか」

「お前が望むのであればな」

 二人の男に沈黙が訪れました。


 セラペンスが首を振って合図をすると、背後に控えていた黒服の男達は一斉に動き出しビルトスを囲むように位置取りをしました。八方から唱えられる魔法の呪文。先ほどのセラペンスの攻撃に七人の魔法使いの攻撃が加えられ集団魔法の一撃がビルトスを襲おうとしてました。しかしビルトスは攻撃を避けるどころかなされるがまま平然とし円の中から動こうとしませんでした。

 魔法使い達最大の魔法がビルトスを襲いました。

 辺りを衝撃波が襲い大きな木立が幹ごとなぎ倒されました。男達を中心として外に向かって木々が伏し、遠くにあってもその圧力を全身に感じる事が出来るほどでした。その音は先ほどの何倍もあったのですが、こんどは目もくらむ閃光を伴っていました。大地にはさらに大きな穴が空き大きく地面を引き裂いており、ビルトスの自宅は積み木細工のように森に吹き飛ばされてしまいました。技をかけた魔法使い達も服が爆風ではためき砂で目を開けることが出来ませんでした。やがて空中に高く舞った砂がパラパラと肩を叩き辺りを確認出来ないほど茶色に染めるました。魔法使い達はビルトスが立っていたところを息を凝らして見つめました。するともやもやした中に人影らしきものが見え始め、一陣の風が辺りをよぎると砂煙はぬぐい去られて以前と変わらぬビルトスの姿を発見したのでした。

「八人の一斉攻撃を受けて微動だにしないとは。やはりこの国一、二位を争う魔法使いよな。噂に聞く魔法防御陣か。そこから出さないと何も出来ないと言うわけだな」

 セラペンスは魔法使いとしては上級クラスとしての自負があったものの、あっさり退けられたに少なからず衝撃を受けていました。この攻撃でビルトスに深手を負わせ在処を聞き出すはずが計算違いになってしまいました。そうなるとビルトス本人ではなく周囲から探って行くしかないと考え初めていたのでした。

「分かればよい。目的のものは他を探すことだ。ここでは見つけられんよ」

 ビルトスは優しく、しかも堂々と言い放しました。

 しかしセラペンスの闘志は無くなったわけではありませんでした。かれは不敵な笑いを浮かべると包囲陣を戻し今度は一人ずつ魔法の攻撃をさせたのでした。魔法の攻撃は当然の事ながら容易くはじき返されました。しかし執拗に攻撃は繰り返されます。

「なるほど考えたものじゃのう。おぬしはこの強力な防御魔法陣が長時間維持できないと読んで持久戦に持ち込んだというけか。」

「その通りお前が疲れてそいつを解いたとき、全員でお前を倒す。」

「それは結構だがその時はお前達も疲れ切っているだろうに、まあ我慢比べというわけか。宜しいつき合うとしよう」

 ビルトスの自信にセラペンスは歯ぎしりをし配下に絶え間なく攻撃を仕掛け続けました。しかし暫くすると彼は攻撃を受けている防御陣に変化が起こり始めたのに気がつきました。それまで加えられた攻撃は全て弾かれていたのですが次第に吸収をし始めたのでした。これでは持久戦で敗退してしまう。奴の方が一枚上手だったとセラペンスは舌打ちしました。


 ちょうどその時、予想外の難題に苦しんでいたセラペンスに突然背後から雷撃が飛んできました。突然の異変にセラペンスは反応し身を翻すと難なく技を弾いたのでした。

「先生!」という声がしてきました。

 薙ぎ倒された木々をぬって走り抜ける若い男の姿がありました。

(こんな所に若僧の魔法使いが何故?)

 セラペンスは新たな相手について思索しました。

(この小僧は未熟な技しか持ち合わせていないようだ。しかし攻めあぐねているところに邪魔をされては我らの敗退に繋がってしまう。早いところこの小僧を始末しなくてはならん。)

 セラペンスが合図すると3名の配下が若者めがけて駆け出しました。

ところがその時、今まで何をされても魔法陣がら動こうとしなかったビルトスが慌ててと飛び出してきました。いつもは何事にも動じないビルトスの、ひどく狼狽している珍しい姿でした。

(あの陣内にいれば安全なはずが、弟子が危なくなって飛び出したか。ならば小僧は放っておいて強敵を始末するとしよう)

 しかし一方でビルトスの慌てぶりに疑念が起こりました。

(まてよ、小僧なんで魔法が使える? ビルトスのお気に入りとはいっても、持って生まれた資質がなければそれは不可能だ。まして正規に訓練された魔法ではないのに)

(ビルトスにそこまで執着を起こす対象がこの小僧なのか。)

セラペンスは灰色の瞳で若者を凝視し、その向こう隠れたものを見いだそうと思念いたしました。

 そして彼は悟りました。

(そうか、年の頃は十五、六。お前だったか!)

 してやったりとセラペンスはほくそ笑みました。

(目的のものを発見した以上ビルトスには用はない。全員一斉にあの小僧を始末する。)


 グレーティアを襲った三人の魔法使いうちの先頭の一人が彼の間近にせまり魔法を繰り出うとしたところ背後から強力な攻撃を受けてバラバラになって砕け散りました。

 ビルトスが放った技でした。

しかし残り二人は直ぐ迫っていました。セラペンスはこの手練に襲われては未熟な小僧では防ぎようもなしと勝利を感じました。しかしこの瞬間二人の魔法使いがなんの前触れのなく頭から真二つに断ち切られ地面に転がり落ちたのでした。

 我が目を疑うセラペンス。

 何が起こったのかセラペンスには理解できませんでした。配下とはいえあの二人は自分と遜色のない技をもつ魔法使い。それが全くの無防備状態で一瞬のうちに二人も葬り去られたのでしたから。普通に考えてもビルトス以上の手練れでした。

(小僧が殺ったのか? いやそれはない。この小僧の放った雷撃は未熟だった。となるとビルトスか。)

ビルトスの方を見ると彼は辺りを警戒するように目を動かしていました。

(俺達の他に敵がいないか警戒してやがる。抜け目ない奴だ。先ほどの一撃の後、間髪を置かずに技を繰り出しすとはおそれいったぜ)

(やはりこいつだ。この強敵を倒してからでないと若僧に手出しは出来ない。若僧に圧力をかけビルトスをもう少し防御陣から引き離さなくては。)

 若者に魔法攻撃が加えられます。彼は何とか防いではいたものの次第に耐えられなくなってまいりました。するとビルトスが陣内を大きく離れ救援に向かったのでした。

(ついに陣から引き離した。強者揃いの五人に一人で勝てるかビルトスよ)

「そこを動くでない」

 そう弟子に言うとビルトスは五人の真ん中に立ちました。

 待ちかまえたかの様に魔法使い達の攻撃が襲いました。

 セラペンスの攻撃がビルトスを襲います。強力な技はビルトスの手に絡みとられ地面に叩きつけられ大地に穴を作りました。振り向くと魔法の技。はじき出すと離れた所の巨石が粉砕しました。しかしその息つく暇もなく上空から空気の切れる音。横に振り払うと遠く木立が断ち切られます。右から火炎が襲いかかり、左からは雷撃が、そして背後から冷気が襲い、それらの攻撃はビルトスを中心として目まぐるしく移動しながら繰り出されました。しかしその全てをビルトスは交わし続けたのでした。

 すると今度はビルトスの方が攻撃に移りました。放った技はセラペンスに襲いかかり彼はパワーで押されながらも持ち堪え、技を弾くと付近の地面に大きな砂柱が立ちました。振り向きざまにビルトスが掌を出すと空気が悲鳴をあげ魔法使いを襲います。魔法使いは両掌をもってなんとか弾くと、地面が真っ直ぐ遠くまで切り裂かれました。左手に入り込んだ敵に対して雷撃が放されました。魔法使いは空気を引き裂く閃光に全身をもってはじき、それは倒れた木々をへし折り焦げ臭い匂いを辺りに漂わせました。

 ビルトスと魔法使いの死闘は周囲を粉砕しながら繰り広げられたのでした。

 セラペンスの技と魔法使いの技が混合された魔法がビルトスを襲います。単体の攻撃より威力をましたそれはじわじわとビルトスを追いつめてまいります。技は弾かれ谷間の斜面に噴煙が立ち登りました。ビルトスは二人の組み合わせから一人残った魔法使いに技を繰り出すと、魔法使いは火炎に飲み込まれ粉々に燃え散りました。地面は黒く変色しその後にには燻った炎が草木を焼いていました。

 一人減ったものの状況は四対一でした。

 グレーティアは魔法使い達の熾烈な死闘を傍観するだけでした。あまりにも強力な魔法が息つく暇のなく繰り出されとても素人が分け入る隙など少しもなかったのです。師匠の身を案じてはいましたが自分の力ではどうしようもなく、下手に動けば足手まといになってしまうのは目に見えてました。

 ビルトスは右からセラペンスと魔法使いの協力された攻撃がくると右手でこれを封じ、左から二人の魔法使いが二倍に強化された技を繰り出すと左手で封じなんとか交わしていたのですが次第に押されつつあることを実感いたしました。

(このまま四人を相手に戦い続ければ力尽きるであろう)

 ビルトスは目まぐるしく攻防が変化するなかで思いました。

(あとはグノーが引き継いでくれるであろう)

そして彼は決意しました。


 セラペンスは激しい攻防のなか次第にビルトスを追いつめているのが分かりました。この難敵はもう少しで倒せると確信したのでした。しかし彼がそう楽観視した時でした、ビルトスの動きに変化を感じたのでした。ビルトスから湧き上がる異様な呪文。

 セラペンスはとっさに禁断の魔法が使われたことを悟りました。

 慌てて全員にその場を離れる様に指令を送ろうとしたのですが、それより早く魔法は全員を捕らえていました。

(貴様、俺達を道連れに死ぬきだな)

 黒い闇が全員を覆いゆらゆらと動き、その闇のなかで魔法使い達は上下のない空間に放り出されたかのように手足をばたつかました。そして揺れが治まったとき空間はねじ曲がったのでした。

 魔法使い達の体が地面に落ちました。

 落ちた体はばらばらでした。ある者は足だけ、あるものは頭でけ、腕だけといった具合で残りは空間に食いちぎられどこかに消えていました。

技を掛けたビルトスも下半身を食いちぎられ、仰向けになって横たわり。セラペンスも彼に近い位置で戦っていたせいでしょうか同様に上半身をうつ伏せにして転がっていました。これらのものを吐き出すと黒い闇は消えてしまいました。


 眼前で空間に引きちぎられ転げ落ちる師の姿を観たグレーティアは駆け出しました。ビルトスの無惨な姿に彼は泣き崩れました。涙目で師の顔を見ていると、ビルトスの顔に表情が現れ、僅かに動くその手で彼の涙を拭きました。

「これでいい。これで」

「先生!」

涙がビルトスの顔に落ちました。

最後の力を振り絞って師は弟子に言いました。

「お前は命を狙われている、早く逃れよこの町から。メディカス。アデベニオのトゥーリスという寺院にメディカスがいる彼に守ってもらえ」

「メディカスですね」

「これから一人で生き抜くじゃぞ。そのうち仲間が守ってくれよう」

 そう言うとビルトスは静かに目を閉じ息を引き取りました。


 魔法使い達の谷間を揺さぶる戦いは終わり、辺りには静けさが戻りました。谷間の底にはビルトスの住まいだったところを中心にして荒れ地と化していましたが、早くも鳥たちは地面に舞い降りてまいりました。谷間を下る風がくすぶり続ける煙を吹き流します。

戦いの後には大地には沢山の亀裂や穴があき、辺りに焦げ臭い匂いが立ちあがっていました。その真ん中に魔法使い達の亡骸が転がっていました。

 若者は悔し涙で一杯でした、師の残た言葉によりこの魔法使達は自分を狙ってここにやって来たのであり、師は自分の為に死ぬこととなったことが分かったからでした。もう少し自分に力があったらと彼は悔やんでいるのでした。

 傍らにそっと少女は立ちました。

師の亡骸を前に膝をつき肩を落として動かない彼にプエラはかける言葉が見つからず静かに見守ることしか出来ませんでした。

 暫くすると彼は立ち上がり彼女のほうを向いて涙目で微笑み「先生は逝ってしまわれた」言いました。「しっかり」と彼女は抱きつきました。

「どうやらこの魔法使い達は僕の命を狙ってきたらしいんだ」

「あなたの?」

「何故だか分からない。でも先生は早く町から逃げよとおっしゃられた」

「逃げるって何処に」

「アデベニオ」

「北のずいぶん遠いところじゃないの」

 絶望的な顔を彼女はしました。

「そこに行けば謎が解けるかもしれない」

 彼は真剣でした。


 セラペンスは意識を取り戻しました。ビルトスの魔法を受けて体の自由がきかず自分の体が引き裂かれるまでは記憶がありましたがそこから先は闇のに消えていました。意識は取り戻したもののそれはぼんやりとしたもので、今にも消えて無くなりそうなものでした。草地に顔を埋めた状態から目を横に動かすと、ビルトスらしき体の上半身が横たわっているのが分かりました。(俺は勝ったのか?)しかし自分も体も同じようなものであることは分かりました。(奴に負けたまま死ぬのか俺は)と彼は思いました。ビルトスの近くに立つ人の足が見えたので彼は朦朧とする意識の中、首を少し横に動かしました。見えたのはあの若者の姿でした。(彼奴を目の前にしながら手も足も出せないとは)彼は悔しがりました。彼には若者に攻撃魔法を出せる力が残っていませんでした。(一撃でいい傷を負わせるだけでも)彼はあと一歩で届かない自分の運命を呪いました。そのとき彼は閃きました。(そうか殺せなくとも)


 グレーティアはこのまま先生のご遺体を放置は出来ないと、埋葬の手段について考えていました。丁度先ほどの戦いで大きな穴が沢山出来ていたので場所については問題なかったものの土をかける道具がありませんでした。先生のご自宅は粉々に吹き飛ばされその後を探せば道具を見つけはできるのでしょうが簡単に発見できるものか自信がありませんでした。それに敵とはいえ魔法使いの達の遺体を鳥についばまれるのも不憫。

そう思って魔法使い達の遺体に顔を向けた時でした、一番近くにある死体が突然動き出したのです。彼は意表をつかれ反応できませんでした。体を何かが貫き、時の刻みを止めました。「これで逃げ隠れするこもできまい」そう言うとセラペンスは最後の力を使い果たして息絶えました。


 プエラは突然死体が動いたので思わず籠を落とすほど吃驚しました。再び動きそうな気配がないので少しは安心はしましたが、おそるおそる様子を窺いながらどうしたものかと彼の方を振り向きました。すると魔法使いの遺体の方を向いたまま驚いた表情で静止している彼の姿を見たのでした。彼女は怪訝な様子で、こちらに気づくどころか石像のように固まっている彼にいったいなにが起こったのか理解出来ませんでした。するとどうでしょう次第に彼の体から霧の様なものが湧きだし次第にその周囲を囲みました。それに従ってその姿は薄れていったのでした。霧は次第に濃さを増しやがてその中から人の背丈ほどのクリスタルを浮かび上がらせたのでした。日の光を浴びてキラキラと輝く透き通ったクリスタル(これはいったい何?)彼女が物体に触れようとした瞬間それは音を立てて小さく砕け散りました。

 激しく割れる音に彼女は首を引っ込め顔を手で覆ったのでした。クリスタルがあったところを指の間がら覗き込むと人らしき姿が浮かび上がってまいりました。覆った手を下ろしそれをよく確かめようと顔を前に突き出しました。


 そこにはプエラと背格好の似た知らない人が立っていました。

(この人は誰?)わけがわからず、彼女はその人を食い入るように見ました。

 着ている服は彼のもの。でも背丈はずいぶん低く自分ぐらい。服がだぶだぶしています。

彼と比べれば背格好が全然違い、がっちりした体格ではありませんでした。むしろ目の前にいる人は肩幅も狭く全体的に小さくなっており、その線は柔らかで女性的な感じがしました。しかも何故か髪が伸び放題で地面に着いていました。よく見ると胸に二つのふくらみ。(女の人?)顔を確かめるように近づいてみるとその顔は上品な顔立ちで金色に流れるような髪に澄んだ深緑の瞳。肌は色白できめ細やか。透き通る艶やかさはあるもののほんのり赤みを帯びている。唇はみずみずしく桜桃のよう。少女の顔でした。

 でも彼女はなにか見覚えがある顔でした。丸く柔和な少女らしい顔立ちになってはいたもののそれはグレーティアのものでした。全体的にたおやかで優美な姿になっていましたが彼だと彼女はわかりました。

「グレーティアなの?」

 プエラの問いに少女らしき人は今目覚めたかのようにぼんやりと彼女を見つめました。

「プエラ何が起こったの。倒した敵が起きあがってそれから・・・・」

 彼に間違いありませんでした。

「あなた、女の子に変えられちゃったのよ!」

 彼女の言っている意味が分かりませんでした。両手を上げてみると白くて細い小さな手が目の前にありました。大きくなった服。それに先ほどの声は自分の声でなく鈴の音のような声。

(これは・・・)

(あの男、最後に逃げ隠れ出来ないといっていたのはこのことであったか)

 彼女は自分に放された技がこれであったと知ったのでした。

 確かに女の身では逃亡の旅を続けるとしても何かと不利になるのは分かります。やっかいな術をかけられたものだと彼女は思いました。

「どうするの」

 心配そうにプエラは訊ねます。

「どうするも、逃げるんだよ。その前に先生を埋葬しなくちゃ」

「よくそんな状況でてきぱきできるわね。立ち直り早いのね」

「危険が迫っているんだ」

 そう彼女はきっぱり言いました。

「そうね、その前にその髪なんとかしなくちゃ。伸び伸びじゃない。まるで何処かに生まれたときから幽閉されてたみたい」

 彼女は言われて髪に目をやると確かにこれでは邪魔です。プエラはハサミを取り出すと背中の長さに揃えて切り落とし、前髪も同様に切りおとし髪を整えました。

 プエラは自分の理髪の腕前に満足していたのですが、ふとこの娘のほうがずっと美人だわと少し嫉妬心が湧きあがるのを感じました。

「ところで、あなた自分が息子てどう親に説明するの。信じてもらえるかしら。目の前で変身したのを見た私でも信じられないだから」

「それは」

「私に任せなさい。こういう時に私がいるんだから」


 すぐ第二回を発表したので怪しまれた事でしょう。

この翡翠記の第一回は前座みたいなもので、これではどんな話だか

さっぱり分からないのですぐ第2回を公開しました。

 少しは物語の雰囲気はお分かりになられたことでしょうか。

この物語は趣味の漫画の合間に書いているので

こんなに早く次回作は登場しないのが本当です。

 小説を書くにあたり参考にいたしましたのは

「お姫様とゴブリンの物語です」マクドナルド著 岩波少年文庫です。

これに派手なアクションを加えたのがこの小説と思っていただければ正解です。

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