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凡ミス

更新遅れました。申し訳ありません。

「んがっうんむ、うまうま」

月が丁度満ちる頃、僕のお腹は目の前に並べてある豪勢な料理で満たされようとしていた。いや、正確にはもう満たされていたといってもよかった。しかし、それでも僕の手はとどまるところを知らない。次々に視界へと入る、料理をどんどん手につけ、それを一気に口の中へと押し込む。まるで、今日の戸惑いを全て飲み込んでしまうかのようだった。

そんな風に、次々と料理を平らげる宰をみて、ミヒの父、つまりはこの宿の主人は半分、呆れ顔で苦笑していた。

「それにしても、よく食うなぁ」

ほがらかに主人が言う。

「いいじゃないの、私たちの料理をこんなに美味しそうに食べてくれるんだから、作った本人にとっても大満足だよ。やっぱり儲からなくてもこの仕事を続けていきたいと思えるのは、この光景の為なのかねぇ……」

うんうんと、主人も納得の様子。僕は、そんな会話を左耳から受けつつも、右耳へと受け流す。どっかのギャグに似ていることは気にしないで欲しいのだ。

それよりも、今は栄養補給。これから、どんなことが待ち受けているのかもわからないしね。こういう判断力が僕の前世でも大活躍していれば、こんな場所へとくる必要は無かったのにな。

「じゃぁ、そろそろ本題に入りましょうよ」

ミヒが父へとチラリと目線を送り、次の言葉を促す。

「それもそうだな、じゃぁツカサ。そろそろ本題に入らせてもらうけど、いいか?」

何故、ミヒの父親が僕の名前を知っているのか気になったが、冷静に考えればミヒが教えているはずなので、特に疑問ではなくなったり。

ミヒが教えていなくて、僕の名前を知っているのであれば、ストーカー若しくはアチラの人物ということである。

閑話休題。

余りにも僕がボーッとしているから、ご両親の顔がちょっと曇ってきたじゃないか。

「どうぞ」

いきなり声を発したので、ミヒパパ(自分なりに愛着のもてる表現をしてみた)は、少し驚いたような顔をして続けた。

「そ、そうか。じゃぁ、早速だがツカサ。君には、ミヒと一緒に首都まで買い物に行ってきて欲しいんだ。まぁ、話は聞いていると思うので詳しいところは省略させてもらうが。もちろん、君が要求した報酬ものもう。どうだ、行ってくれるか?」

「行くも何も、僕はこれから首都に行く予定でしたし、生憎持ち合わせも無かったのでこんな好条件は無いですよ」

なんか、後ろめたいしね。

そういうことで、僕が考えに考え抜いた計画は満を持して撤回されましたとさ。とさとさ土佐藩。

すいません、言って見たかっただけです。別にファンじゃないよ?

「そうか! なら良かった、この料理は全て君の為に作ったものだ、思う存分食べて明日の出発に向けて精をつけてくれよなっ!!」

ミヒパパはワハハハと、大声で笑うと、僕に料理を勧めてきた。

そして、僕は元気に頭を下げてまた料理にがっつくのだった。

あれ? なんか、重大な事を忘れていたような……

まぁ、いいか――――




何故、昨日の僕はこんなに重大なところに気づかなかったのだろうか。

いつもの僕なら、あの言葉を見逃すはずがないのに。

そう、昨晩ミヒパパがいったあの言葉。

「そうか! なら良かった、この料理は全て君の為に作ったものだ、思う存分食べて明日の出発に向けて精をつけてくれよなっ!!」

明日の出発。

てっきり僕は準備期間で1週間ぐらいはニートタイムを頂けるかと思っていたのだが……

そして、今現在僕の前方には何故か張り切って鼻歌を歌いながらスキップをしているミヒがいた。

何でそんなに浮かれているんだろう……

宰は、ため息をつき、気だるそうにその後へと突いていった…………




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