ふしぎ
別視点です。相変わらず短いです。すいません。
ステータスとお考えください。
なんて不思議な人だろう。
私の彼に対しての第一印象はそれだった。
顔立ちは整っていたが別にかっこいいというわけではなく(主観的意見だけど)、むしろ彼の印象はもっと別。
優しそうな、でも暗そうな。
表面上は暖かいけれど、ずっと奥のほうは氷河期みたいな。
そんな感じがした。
それに、彼の格好も変だった。
この辺りでは見かけない奇妙な服を着ていた。
黒い、艶のある金色のボタンがついたピシッとした感じの服。
そんな服も、素材も見たことがなかった。
もしかしたら、他の大陸に行けばあるのかもしれないが、恐らくこの大陸にはないだろう。
この大陸のものなら何でもあるとまで言われている、首都に行ってもそんな服は、見たことがなかった。
彼はダルそうに、それを着こなしていた。
まったく正反対なのだが、何故か合っていた。理由は私にも分からない。
私が最初に見つけたとき、彼は倒れていた。あの森には、お料理に使う材料の木の実を取りに来ていたのだが、
さぁ、帰ろうと思い帰路へつくと、いつのまにか彼はそこに居た。
でも、行く時は居なかったのに。
それが不思議で仕方ない。彼本人には、直接聞いてみたいことがたくさんあるのだが、それは初対面の方には失礼な事。
と、母に習ったのでしなかったけど。
エルフィン村は首都と離れているせいで、数週間に一度は食料や生活に必要なものを買いに首都へと足を運ばなければならない。
いつもは、父と行くのだが、不運にも別の場所に行かなければならなくなってしまったので、どうしようかと悩んでいた。
そんなときに、やってきたのが彼で家族会議の結果、彼と私で行く事になった。
もちろん、彼が承諾してくれればの話なのだが。
そして、彼に伝えた。一応、家族との相談でお礼を何かすることになっていたのだが、彼のほうから希望を言ってくれたのでいう必要は無くなった。
父に伝えたところ、
「そんなのでいいならずっと泊めてやるから住み込みで雑用をしてくれ」
とのこと。
もちろん、私と母に却下されて落ち込みながら夕飯の支度をしに厨房へと行ったけど。
でも確かに、そういう雑用は必要なんですけど。
まぁ、うちお客さん少ないしね。こんな小さな村にくるのなんて魔物か盗賊か迷子の3択しかないしね。
そして、今は彼に承諾の返事をしにいくところなのだが、さっきから部屋をノックしても何の反応もなし。
もしかして、寝てるのかな?
そう思い、
「…………失礼します?」
一応、疑問系で合鍵を使ってそっと扉を開ける。
視界に入ってきたのはいつもの部屋の風景。
唯一違うのは、純白の洗い立てのシーツがちょっと乱れてて。
その上には案の定彼がスヤスヤと寝息をたてて眠っていた。
「……はぁ」
と小さくため息をつく。
そっと扉を閉めて私は階段を降りていった――――