今、1冊目「神主へ」 夏祭り編
物語の世界に入ってみたい。
子供の頃は絵本の世界に入ってみたい、アニメの世界に入ってみたい、物語は今も生まれ続けている。
そんな無限とも言える物語の世界に入れることのできる女の子がいた。
大自然の中、川の水の音、鳥の鳴き声、河原の側で釣りをしながらうたた寝をしてた。
竿がピクっと動き、目が覚めると竿が流されていた。彼女は慌てて川の流れに走った、よく見ると何がに引っ張られている。じーっと見るとでかい魚が餌に喰らい付いたようだ。魚はどんどん先へ泳ぎついには滝へと飛び込んだ。
私も滝の中へ強い風の抵抗を受けながらドボンッと入った。滝は大きな川に続いていた。大きな魚はどんどん早くなっていった、私も負けるものかと泳いだ、魚の口についた釣り針を取り竿を取り返した。
すると大きな魚は何かに向かって突進した。私は急いで川から上がり森の中に隠れた。
次の瞬間、あの大きな魚を橋の上にいた少年が釣り上げた。魚は宙を舞い、村の人々が少年に拍手をした。
私はその光景を見ると森の奥へと入っていった。
私はいろんな物語、世界に行くことができる。
森を出ると図書館にいた。図書館にはたくさんの本とレコーダーがあって本は壁一面に敷き詰められていた。中心にはレコーダーがポツンと置いてあった。
私は本棚から一冊の小説を手に取り読み始めた。
喫茶店の中にいた、窓側のカウンターに座っている男子高校生、彼がこの小説の主人公だ。
私は彼が注文したものと同じものを注文した。
「いただきます。」
食べてみるとやっぱり味がしない、みんな美味しそうに食べているのに・・・
彼は喫茶店を出ると神社へと歩いていった。
この物語は神主の父に認められたい男子高校生が神主の大学に入り父の跡を継ぐ物語。
ここは主人公の実家の神社、私は彼が神社のそばにある家に入るまで草むらの中へずっと隠れていた。家に入ると私は静かに目を閉じた。
するとつま先がだんだん冷たくなってきた、徐々に手、足、腕と冷たくなった、私は薄っすらとした体へと変わった。幽霊に近い存在へと変われる。
草むらから出ると堂々と玄関を通り抜けた。
・・・
家から出ると夕方になっていた。
文書に書かれていない時間帯は私は自由に行動ができる。
この物語はこの場面から明日の夕方までは文字で書かれていない、私が自由に移動できるのはこんな時間だけなのだ。
神社の階段を降りると後ろから「にゃー」と鳴き声がした。この猫は神社にご飯をねだる野良猫みたいだ。
しゃがみ込んで頭を撫でると喉をゴロゴロと鳴らした。
駅へと向かい電車に乗った、猫を撫でていたところにあった掲示板に貼ってあったポスター、それには花火大会が今日あると書いてあった。
駅を何個か通り会場に着いた。屋台がたくさん出ている、この景色が好きだ。焼きそばとお面を買った。楽しいと感じたい、人がたくさんいるところに移動した。ベンチに座り焼きそばをずずっと音を立てて食べた。
しばらくすると光ながら花火が上へ登っていった、花火が弾けて綺麗な花火が見れた。
次の日になると主人公の学校へ向かった、部活仲間と帰宅する場面だ。
「お前、今日の花火大会行かない?」
主人公の友達が昨日の花火大会に誘っている、2日目の花火大会が小説では書かれている。
主人公と友達が電車に乗った、私も電車に乗った。昨日と違うのは主人公とその友達がいるそれだけだ。
会場に着いた。
屋台で楽しそうに買って楽しそうに笑う。
主人公たちを見ていると呼び止められた。
「あんた昨日の!」
横を見ると昨日焼きそばを買った屋台だった。頭にタオルを巻いて汗をかきながら一生懸命に焼きそばを作っていたおじさんだ。
屋台を見るとすでに売り切れと書かれていた。
おじさんは申し訳そうに言った。
「ごめんな」
主人公たちを追いかけていたから気が付かなかった昨日よりかなり時間が経っていたことに。
この屋台は人気ですぐに売り切れてしまうと言っても人気なのは焼きそばよりもおじさんの娘さんが作るりんご飴やいちご飴などでおじさんが作る焼きそばはついでにと言う人ばかりなのだ。
昨日はすぐに飴たちが売れて数時間で売れきれになってしまったのだ。焼きそばが何個も売れ残ってしまうそんな時、娘さんが私を呼び止めたのだ。
私の買ったお面は今流行っているもので、なかなか手に入らないものだった。屋台で偶然買っただけで娘さんから聞くまで知らなかった。
別にあげてもいいと思って私はお面をあげた。そのお礼に出来立ての焼きそばを作ってくれた。味を感じなくても食感や温かさは感じることができる。
作ってくれるならせめて最高の状態で食べさせてほしい。
私は屋台で焼きそばを作る手伝いをすることにしたのだ、うちわで扇いてお客を呼んで、売り切れ直前まで売り、そのお礼が出来立ての焼きそばだった。
おじさんは笑いながら言った。
「おいしかったか?」
私も笑いながら言ったおいしかったですと。
今日も食べさせてあげたかったが売り切れだ来年もやるから来てくれとおじさんは言った。
笑って頷き主人公たちを追いかけた、だが私はすぐに暗い顔になってしまった。
この物語は来年の春までしか書かれていない夏のことは書かれていない。
次の日、主人公は父の見舞いに病院へ行く、彼の足はスタスタと歩いている。
私は物語に入ったからには物語を必ず見る役割がある。文字で書かれていところは必ず、描かれているところは必ず、写っているところは必ず見る。




