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執務室の笑いがようやく落ち着いて、ネフライト国王が口を開いた。


「テラ、モラドが馬鹿なことをしたと聞いた。モラドにはよく言い聞かせてある。同じことを繰り返すほど愚かではないだろう。此度のことは、この王に免じて許してもらえるか。」


私的空間である執務室とはいえ、国王がはっきりと許しを求める言葉を口にしたのにテラは恐縮した。


「許すも許さないもありません、もったいないお言葉です。申し上げてもよろしいでしょうか?」


「もちろんだ。」


「ここに、ティルケル卿がおられるということは、ネフライト王におかれましては私に何かをさせるおつもりなのでしょうか?」

「そのことで呼んだのもある。」


(やっぱり、こっちがメインか......)


「明日より、半年間ティルケル領に行って直にそなたの力を使って欲しいのだ。」

「ティルケル領は今、道路建設事業を展開しておる。フラスコ一本分の魔力水が不足することで、影響が出ることがあってはいかんからな。」


(先に手を考えておいてよかった。確か、微生物は湖の底の泥とかにいるって聞いた。)



「あの、それでしたら王都の外れに湖がありますよね。その泥を使って魔力水より効果のあるものが作れると思いますので、それを使ってみてください。」


「本当か?」


「多分ですが......ですので、湖の底の泥の回収をよろしくお願いします。」


「よし、すぐに用意させよう。」


話がまとまり、テラとティルケル卿は陛下の御前を拝辞した。




テラは帰りも馬車で送ってもらった。


家の扉を開けると、フェムトが上がり框で伏せて待っている。


「フェムフェム〜、疲れたよぉ。」

テラはフェムトの首に抱きついて、顔を擦り寄せる。

フェムトも労りの目を向ける。

『意外に遅かったな。』


「そう...ディナーをご馳走してもらったから。王都のちょっと良いお店でね...ティルケル卿に。」

テラのまぶたが下がってくる。


『もう、寝るか?』


「もう眠い......明日一仕事終えたら、ゆっくりできると思うから......」

テラはそのまま眠ってしまった。



フェムトはテラを(くわ)えてベッドに引きずる。


ユニフォームのボタンと、前足の狼爪を交互に見てため息をついた。


『これは、このままじゃ無理なんだが......』


フェムトは人型(ひとがた)に戻る。


フェムトは、まだテラには言ってないが獣人だった。


銀色の髪の毛が長い部分と短い部分の2つのブロックに分かれており、上がマッシュヘアになっている。

瞳は薄いグレーで鼻筋が高くて肌の色は陶器のようだ。唇はわずかに赤い。


フェムトはテラの出仕中に街へ出て買い物したり、散髪に行ったりしていたので、身だしなみはきちんとしていた。




フェムトは身内の罠には嵌められて、死にそうになっていたところをテラに救われ、居心地が良いのでそのままテラの家に居座っている。


ユニフォームは獣人の姿に戻らないと、着替えさせられない。


真っ暗な中、フェムトの薄いグレーの瞳が伏せられて、手探りで着替えさせる。


フェムトは、脱がせたユニフォームを持ってカーテンで仕切ってあるだけのテラの寝室を出た。










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