第八話 奪還作戦in三重
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第八話を投稿させていただきました。
ヤミ、茜、スティカはシエル奪還の為、協力者とコンタクトを取るべく三重県伊勢神宮へ向かうことに。
是非お楽しみください。
「それじゃーあ、これから三重県に向かいたいと思いまーす!旅の始まりと言うことでみんなで写真撮りましょー!」
「あ、はい。」
「ほらほら笑って笑って!はい!チーズ!」
茜たちはヤミと旅へ出る前の記録として写真を撮った。その後仙台から東京へ、そして東京から三重へ新幹線で移動していた。
「地下都市にも電車や新幹線って通ってるんですね。」
「そうだよ。茜ちゃんもスティカちゃんも初めて?」
「私は地下都市になってからは初めてです。」
「私は何度か移動手段として使っていました。」
「そうなんだね。シエルちゃんと?」
「…そうです。仕事が山積みなので。」
「絶対に連れ戻そうね。」
暗い表情のスティカにヤミはそっと顔を覗き込むようにして笑いかける。スティカもそれを見て微笑んだ。
「さ、そろそろ三重だよ!忘れ物してかないでね!」
茜達は新幹線を降りると、伊勢神宮を目指した。電車とバスを使いようやく辿り着いた。
「いやぁー、長い旅路でしたねぇー!」
「あの、何でこんなところに階段なんてあるんです?それに伊勢神宮なんてどこにもありませんよ。」
「フッフッフー!茜ちゃん、あんなに大きな神宮を五年で地下に作るのは難しい事だよ!」
「まさかそれって、地上に伊勢神宮はあるの?そしてそこに人が住んでるってこと?」
スティカが驚いたように聞いてくる。
「勿論そうだよ!で、今からその人に会いに行くからね!心の準備はいい?」
茜とスティカは互いにこくりと頷き、ヤミの後に続く。階段を上り終えるとそこには懐かしい伊勢神宮が立っていた。そして、懐かしい青空も広がっている茜はその懐かしさに涙を流す。やっと戻ってくることが出来た。茜達の世界に。ふと後ろから柔らかい暖かさに包まれる。そして頭を撫でられ
「今まで辛かったね。よく頑張ったね。」
ヤミはそう言いながら優しく包み込んでくれる。スティカもそれを温かい眼差しで見守ってくれる。少しして
「茜ちゃん、もう大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
「それじゃあ行こうか!」
茜達は伊勢神宮の中へと踏み出していく。
「おや、珍しいね。お客さんが来るなんて。どうやら予知は当たったようだね。」
神宮の中から優しい年老いた声が聞こえてくる。奥から二人の女性が出てくる。
「いらっしゃい。随分長旅だったろう?そこへお座り。」
茜達はお婆さんの言葉に甘え座布団に座る。
「おやぁ、大きくなったね!あんた、ヤミちゃんだろ?」
「はい!お久しぶりです!アリューシアさん!」
そのお婆さんはアリューシアと言うらしい。
「そっちの二人は初めましてだね。私はアリューシア・テイラー。元《整合騎士団》の者だよ。よろしくね。こっちはアリス。」
「初めまして、アリス・テイラーと申します。私は現《整合騎士団》の者です。お二人にお会いできるのを楽しみにしてました。スティカさん、茜さん。」
名前を呼ばれた時にドキッとした。名乗っていないのにアリスは茜達を見て、茜達の名前を言ったのだ。
「あの、どうして私達の名前を?」
スティカが尋ねると
「私は未来予知が出来るのです。お二方の事は二週間ほど前に予知の中で知りました。」
「未来予知出来る人って本当にいるんだ。」
茜は驚きのあまり内心で思ったことが声に出る。
「で、ヤミちゃんがここへ来たんだ。何か用があるんだね。」
「はい、こちらからお願いがあります。私達と一緒に《プレデター》と戦ってはくれませんか?」
「なるほど。《プレデター》を討つのですね。」
「はい、ゴリラ達は他の協力者を集いに旅に出ています。《整合騎士団》《暁》のリーダーシエルちゃんが《プレデター》に拐われてしまい、助け出すために力をお借りしたいです。」
ヤミはそう言うと二人に向かって頭を下げる。
「顔を上げなさい。私はもう年であまり体が動かないの。だから残念だけど、私は参加できないわ。」
「しかし、おばあ様から繋がれた想いは私が継ぎます。《巫女》としてのお役目をここで果たしてみせます。」
「そう言うことだから、アリスを連れていってちょうだい。」
「ご協力感謝します!」
ヤミがもう一度頭を下げる。茜達も一緒に頭を下げる。
「おや、今日は何だかお客が多い日だね。」
アリューシアがそう言うと、神宮の扉が開かれ、外からオークの群れが攻めてくる。
「みんな!戦闘準備!」
ヤミはそう言い、茜は銃を、スティカはスナイパーライフルを、アリスは札を取り出す。
「粋のいい女どもだ!これは楽しみがいがあるぜ!お前ら!掛かれ!」
オーク達はそれぞれ武器を構え突撃してくる。茜とスティカはオークの眉間を狙って発砲する。アリスは札を相手へ投げると、札が五体のオークを取り囲む。
「符術、雷!」
札に囲まれた五体のオークは雷に撃ち抜かれ倒れる。私とスティカは射撃し何体か倒す。ヤミは手を掲げ
「死神ちゃん、出ておいで!」
ヤミの声に反応するように黒いローブを被った骸骨が突如虚空から現れ、手には大鎌を持っている。死神はオーク達を次々に薙ぎ倒していく。しばらくして戦闘は終わり、たくさんのオークが瀕死の状態で倒れている。茜達はオーク達を土に埋葬する。埋葬が終わったときにはもう日が暮れていた。なので今日はここに泊まっていくことになった。
「さあ、みんな召し上がれ。」
アリューシアさんがすいとんを作ってくれた。
「いただきます!」
「とても美味しいです!」
「アリューシアさんって本当に料理上手だよね!」
「ありがとね。」
そんなこんなで今日一日を乗り越えることが出来た。協力者も得られ明日は空港へ向かい、みんなとの合流地であるメキシコへ向かう。星影達も上手くいってるかな?そんなことを考えながら、茜は床に就いた。
「茜ちゃん!朝だよ!」
ヤミの明るい声で目が覚める。茜は体を起こし
「おはよ、ヤミちゃん。」
と挨拶をする。ヤミも元気よく
「おはよ!よく寝れた?」
と聞いてくる。
「うん。ところでスティカ達は?」
「みんななら朝ご飯の準備してるよ。」
茜はヤミと共にスティカ達の元へ移動する。朝食はご飯にお味噌汁、そして鮭だった。
「おいしそう…。」
茜は朝食を見てそう自然と言葉が漏れる。
「起きてきたね。さあお食べ。」
そして朝食を済ませた茜達は伊勢神宮を出る前にアリューシアさんからお弁当をもらった。
「みんな、無事でまたここへ帰ってきてね。いつでも待っているから。それから…。」
アリューシアさんはそこまで言うと一呼吸置き
「これからの預言を伝えようと思うの。これは本当にその通りになるとは限らないものだから、鵜呑みにはしないでほしいの。影塚星影が、オリジンが利用される前に彼らを救って。魔王によって彼らは世界を滅ぼす者になってしまうから。」
星影とオリジンが利用されると言うことも、魔王についても一切の情報がない預言だがそれを聞いた皆の瞳には決意の光が宿っていた。
「わかりました。もしその未来が訪れるようなことがあるのなら私達が必ず阻止してみせます。」
ヤミが堂々と宣言する。アリューシアは少し驚いたようだがすぐに安心した表情に変わり
「任せたわね。世界の平和を担った騎士達よ。」
茜達は伊勢神宮を後にし、東京へ向かった。
キャラクター紹介
・アリューシア・テイラー
《整合騎士団》に所属していた《巫女》。昔はゴリラや暁彦達と共に《プレデター》と戦っていた。今では年を取り戦える訳では無いが《巫女》の最大の力である預言はどんな預言者よりも優れている。
・アリス・テイラー
アリューシアの孫であるアリス。アリューシアとは違い預言の力はそこまで優れてはいない。しかし、アリューシアは使うことが出来ない魔法を使うことが出来る。
皆さん、いかがだったでしょうか。
伊勢神宮には《整合騎士団》に所属していたアリューシア・テイラーがいた。アリューシアは年の為戦うことは難しいと答えを出したものの、孫のアリス・テイラーがシエル奪還の為協力してくれることになった。
しかし、アリューシアの謎めいた預言にあった星影とオリジンが利用されるとはどういうことなのか。魔王とは何者なのか。
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