第五十六話 開幕第二次異世界大戦
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第五十六話を投稿させていただきました。
遂に始まった第二次異世界大戦。
王たちと終末の七勇者が大きくぶつかり、星影たちにとって大きな傷を残す戦いとなる。
是非お楽しみください。
星影はタルタロスとアンデッド達の目の前に怯むことなく立ち構えていた。
「相変わらず気に食わぬ目だ。妖精王と同じくな。しかし、茶会で会った時よりも覚悟が決まっているようだな。」
「そうだな。俺はあの時よりも明確に俺の使命を理解した。…だからお前をここで殺す。」
「フフ、フハハハ!面白いことを言うじゃあないか!影塚星影!それでこそ王だ!お前ら!影塚星影を殺せ!」
タルタロスは楽しそうに大笑いしアンデッド達に命じる。アンデッド達は一斉に星影へ向かって動き出す。しかし、次の瞬間タルタロスが倒れた。
「ぬっ!」
タルタロスは何が起きたのか理解が出来ずに周りを見渡す。
「立てよ。」
タルタロスの目の前には星影が立っており、アンデッド達は皆消滅していた。
「バカな…。」
「お前が一対一でやらないなら、こっちだってそうする。」
「なるほど…。捕食王の力をそのまま受け継いだのか。やはり面白い!」
そこへアンデッドパーシヴァルが飛び掛かってくる。星影はタルタロスから離れ、距離を取る。パーシヴァルの他にも先代の七勇者が星影へ迫ってくる。
「禍の肆 格子斬糸!」
格子状の糸がパーシヴァル達を斬り裂く。しかし、アンデッドはすぐに体を再生させる。
「やっぱり核を直接壊さないとか…。」
星影はパーシヴァル達へ駆け出し
「禍の伍 爆炎乱舞!」
アンデッド達の弱点である業火の炎でパーシヴァル達を包み込み、星影もその炎の中へ入っていく。そして、神器を構え
「常闇 暁 虚空の明星 無斬!」
パーシヴァルへ奥義を放つ。しかし、パーシヴァルは自身の持つ剣で星影の剣を振り払い炎すらも掻き消す。
「…。」
「どうした?影塚星影。我を殺すのだろ?」
星影が再び駆け出すとワールドが背後に現れ、星影とワールド以外の時を止める。この場に彗星はいない。ならば、前回のように止まった時の中に介入してくる者は存在しない。
「常闇 暁 虚空の明星 無斬!」
次はガレスのレイピアに星影の奥義は受け止められる。
「っ!」
「なぜ動けるんだ!」
星影もワールドもその事実に目を疑う。
『星影。踏襲の円卓騎士ガレスの能力は模倣だ。一度見た能力ならそれを自在に発動できる。しかしガレスの恐ろしいところはそれだけではない。彼は模倣した技を自身で強化し応用できる。』
「そんな能力なのか…。」
オリジンの声に星影は眉を顰めガレスから距離を取る。
「ワールド、あとどれくらい保つ?」
「十分程です。」
「その間耐えてくれ。」
「主が仰るならお任せください。」
「オリジン、十分でガレスを倒す。協力してくれ。」
『十分で何とかなる相手じゃない。それをやるんだぞ。』
「わかってる。」
『お前に合わせる。好きに動け。』
「わかった。」
星影はガレスへ駆け出し
「黒曜滅雷!」
黒い稲妻を纏った剣を振り払う。ガレスは身軽にその攻撃を躱し星影へ連続の突き技を放つ。
『禍の捌 風刃滅破。』
「禍の壱 暁光の庭!」
オリジンと星影により同時に放たれた嵐の斬撃と灼熱の光線がガレスへ放たれる。ガレスはパーシヴァルの奥義無斬を連続で放ち嵐の斬撃と光線を破壊していく。
「パーシヴァルさんの言ってた、ものに宿る魂の破壊か…。」
『そうだ。この世のものにはすべて魂が存在する。生物であれ無機物であれ。そしてそれは魔力にも宿っている。』
「禍の弐 宵闇棺。」
『禍の伍 爆炎乱舞。』
星影の展開した宵闇棺の中には星影とガレスのみが招かれる。ガレスは棺の中で魂を闇に蝕まれていく。その苦しみに呻き声を上げる。
「ぐっ…あぁ…。」
そこへオリジンが放った業火の炎がガレスを包み込む。ガレスは先程のように奥義を放つ余力は宵闇棺に奪われていく。そして蝕まれた力はすべて星影へと還元される。
『もっと厳しい消耗戦になると思ったがやはり本物には程遠いな。』
「でも今の俺一人じゃ一対一でやって勝てるかどうかだ。アンデッドだからこそ昔と同様に力を発揮できないのはありがたい。」
『喰らえ。』
「ああ。」
星影はガレスへ歩み寄る。ガレスは残った僅かな力でレイピアを握り、星影へ向けようとする。しかし星影はガレスへ掌を向け
「捕食王。」
と詠唱する。すると黒い魔力の靄が現れガレスを呑み込んでいく。
『もう少し時間がかかると思ったが、やはり吸血鬼の力を取り入れた影響か。以前よりも強力になったな。』
「そうなのかな?あまり実感ないや。」
『まあいい。』
星影は宵闇棺を解除し
「ワールド、戻していいよ。」
「御意。」
時が動き出す。タルタロスは一体下僕のアンデッドがいないことに気付き、それがガレスだと言うことにも気付く。
「っ!ガレスはどこだ?」
タルタロスが星影に問う。星影はタルタロスを睨みながら
「喰った。」
「何だと…。」
星影はパーシヴァル達へ向かって動き出す。
「お前ら今すぐに影塚星影を殺せ!」
「オリジン、頼む。」
『分かった。』
オリジンが星影の人格と代わり六人のアンデッド勇者へ目を向ける。
「私の憧れを汚したこと、思い知らせてやる。冥界王。」
「っ!まさか!オリジン!」
「王権 絶対捕食者。」
星影の体から溢れる漆黒の闇が六人の勇者を呑み込む。
「貴様!」
「ありがとう。オリジン。」
『気にするな。お前にはまだ使わせるわけにはいかないからな。』
星影は神器を握り直しタルタロスへ跳躍する。
「獄炎弾!」
タルタロスは青く燃える炎の塊を星影へ乱発する。星影は空中で神器を振るう。
「黒曜千刃!」
タルタロスの放った炎は切り裂かれ、星影が空中から一気に降下する。
「黒曜崩天斬!」
「鬼火纏。」
タルタロスは黒紫色に燃える炎を拳に纏わせ、星影へ向けて突き付ける。両者の攻撃がぶつかり合うと周りへ巨大な衝撃波を放つ。両者は互いの威力に後方へ飛ばされる。
「まさかここまで強くなっているとは…。あの茶会では本気ではなかったのか?」
「あの時も今も本気だ。」
「なるほど。これでは魔王はすぐにやられていたやもしれぬな。だが我には到底勝てぬ!」
星影は相手の攻撃に備え構える。しかし、足元から現れた無数のアンデッドに体を掴まれ身動きを封じられる。
「主!」
ワールドがすぐに駆け出す。だが
「ワールド!来るな!」
星影の声に動きを止めるワールド。タルタロスはニヤリと笑みを浮かべ
「冥府の劫炎!」
と先ほどの獄炎弾よりも強力な攻撃が放たれる。ワールドは時を止め星影に張り付くアンデッド達を蹴散らしていく。
「主!」
「助かった。」
時が戻ると星影は冥府の劫炎を躱し
「ワールド。もう大丈夫だ。ヘル達とみんなの助けに入ってくれ。」
星影の瞳を見たワールドは一瞬躊躇うも
「分かりました。」
ヘルやエデン達を連れワールドは皆の元へ向かう。
「奴の助けなく我に勝つつもりか?」
「ああ。」
星影は剣を地面に突き刺し
「創世結界 夜幻虚無帳。」
すると星影を中心に帳がおり、帳の中には星影とタルタロスのみとなる。
「まさか創世結界まで扱えるとは…。これはまさに力に目覚めつつあるといったところだな。だが、それでどうにかなる我ではないわ!煉獄の業火!」
一気に結界内を炎が包む。しかし星影はすでにタルタロスの目の前にはいなかった。
「どこだ?」
「黒曜打魂衝!」
タルタロスの背後に移動していた星影の拳が振り返りかけたタルタロスの頬へ放たれる。
「ぐっ!」
タルタロスは少しふらつくがすぐに体勢を整え星影を睨む。しかし、睨んだはずのタルタロスの表情は驚きに変わった。
「何だ…?それは…?」
星影の髪が白髪に染まり毛先だけが赤色に染まっていた。それだけでなく、今までの魔力量が少なくとも二倍程増加している。
「帳に白髪、そしてあの素早さ…。お前が蘇ったきっかけは吸血鬼か…?」
星影は高速でタルタロスへ迫り
「ブラッディインパクト!」
「っ!」
タルタロスの鳩尾へ強烈な一撃が決まる。星影はすぐにタルタロスの頭上へ移動し
「黒曜打魂衝!エンチャント・ブラッディポイズン!」
「ぐっ!」
タルタロスはよろめき、星影を睨みつける。だがそれには不敵な笑みも含まれていた。
「面白い…。面白いぞ!影塚星影!仲間をこの場から立ち去らせたのは帳内から追い出し、他の王達を倒すまで我をここに留めておくためだな?そうすれば他の七勇者とその一派でもどうにかなると。」
「何を言っている?最初にも言ったろ。お前を殺すと。」
「フフハハハ!我を殺せるわけないだろう!我は千年の間、魔王、捕食王と違い倒されたことがないのだから!王の中でも最も古株なのだ!貴様も知っているだろう?この世に初めて生まれた王は八人。そのうち魔王、妖精王、天界王は何度も代わる代わると変化する。しかし残りの、我、魔神王、時空王、深海王、龍王は千年前の《堕天使》封印の時から存在していたことを。」
「そうだな。お前達が《堕天使》封印の時にいたのは知ってる。千年も生きてる。だから何だ?出来る出来ないじゃない。やるかやらないかだ。」
「フン。相変わらず生意気なガキだ。魔王が嫌うのも分かる。」
タルタロスは星影へ
「怨嗟の獄炎!」
広範囲に及ぶ獄炎を放つ。星影は上空へ跳躍するが
「極炎弾!」
と上空をいる星影へ極炎の塊を無数に放つ。極炎弾は星影に命中し体がロドッと溶ける。
「…。」
タルタロスの背後、頭上、両脇側からそれぞれ星影が現れる。
「やはり魔王の時と同じだな。」
タルタロスは星影の分身にそれぞれ目を向け攻撃に備える。
「禍の壱 暁光の庭!」
「禍の肆 格子斬糸!」
「禍の伍 爆炎乱舞!」
「禍の捌 風刃滅破!」
と四方向から同時に攻撃が迫る。タルタロスは跳躍し、頭上の星影を殴り飛ばし、四方向からの攻撃を躱す。そして
「滅亡の炎!」
と巨大な極炎の塊を四人の星影へ放つ。三人の星影は燃えて消えるが、一人だけはその極炎の中からタルタロスへ向かって飛び上がってくる。
「っ!」
「禍の零 波動 震天裂衝!」
滅亡の炎のダメージを波動エネルギーに変換した星影は自身の拳にその波動を纏わせ、タルタロスの腹部へ放つ。
「うがぁっ!」
タルタロスは空中で姿勢を崩しそのまま落下していく。そして仰向けで倒れる。
「くっ…。はぁ…はぁ…。パーシヴァルとオリジン。それに吸血鬼の力…。厄介過ぎる…。特にパーシヴァルの力。あれは我にも届く…。」
タルタロスは肩で息をしながら立ち上がる。
「だが…、貴様もそれだけ魔力を連発すれば…さすがにそろそろ限界であろう…?」
息を切らしたタルタロスは笑みを浮かべ星影を見下す。
「確かに俺一人ならキツかった。でも今まで使ってたのはオリジンの魔力だ。まだ俺の魔力はほぼ満タンに近い状態で温存してある。」
「…!バカな…。そんな事が可能なのか…!…やはり天界王のあの言葉は本当みたいだな。《特異点》。まさにイレギュラーだ。」
タルタロスはゆっくり、ゆっくりと星影に歩み寄り
「だがもう終わらせる。我のこれに耐えられた者は未だ誰もいない。例えあの龍王であろうと致命傷を負わせられるだろう。」
タルタロスは自身の最大魔力を溜め始め全てを解き放つ。
「王権 破滅の最終獄炎!」
「王権 絶対捕食者!」
燃え盛る王権と全てを呑み干す闇の王権がぶつかり合い、最終的にタルタロスの王権は暗闇に呑み込まれる。
「…何故…。」
タルタロスは目の前で起きたことに衝撃を受け呆然としていた。星影は初めて王権を放った事でほぼ魔力を使い果たし、膝を付き肩で呼吸する。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
タルタロスはそんな星影を睨み
「我の…我のぉ!千年のぉ!」
タルタロスはアンデッド達を呼び起こし星影を襲わせる。星影はアンデッド達に捕まりタルタロスは身動きの取れない星影へ獄炎を纏わせた拳を振るう。
「死ねぇ!影塚星影!」
その時星影の魔力切れと共に帳が開き、タルタロスの腕が切断される。しかし、腕はすぐさま再生する。
「主、遅くなりましたがただいま戻りました。」
そこには傷だらけになりながらも魔剣を握ったノワールが立っていた。
「ノワール…。」
「主。ご無事で良かったです。ゆっくり休んでください。」
「ありがと…う…。」
星影はうつ伏せに倒れる。
「さあ、冥界王タルタロス。ここからは私があなたの相手ですよ。」
「ほざけ!貴様なんぞこのタルタロスが叩き潰してくれるわ!」
魔力消費と星影に負わされたダメージにより弱ったタルタロス。そして戦いの後で負傷しながらも強者に挑むノワール。千年生き続けた王の威厳を、そして、自身の主を。互いの想いを守るために新たな戦いが幕を開ける。
皆さん、いかがだったでしょうか。
冥界王タルタロスと星影の戦いが幕を開ける。
タルタロスは七勇者たちをアンデッドに変えており、星影に亡き屍兵として向かわせる。
しかしオリジンとの連係によりアンデッドとかした劣化した七勇者たちは敗れることになった。
星影が意識を失ったその時、漆黒の悪魔が現れる。
そして次の舞台はまた新たな戦いが幕を開ける。
次回第五十七話 巨人王




