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終末の七勇者(改)  作者: ヤミ
三章 《王の茶会》
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第五十五話 七勇者の意志

皆さんこんにちは。

ヤミです。

本日は五十五話を投稿させていただきました。

魔王たちが攻めてくる少し前、オベイロンからルベルたちへとあるものが渡される。

是非お楽しみください。

 時は少しばかり前に遡る。星影が《世界政府》に向かった頃、オベイロンはルベル、アラン、アリス、シエル、ダルヴィッシュ、ルシファーの六人を別荘の地下室へ呼んでいた。 


「なんだってこれから敵に備えるために地下なんかに行くんだ?なんなら国民を地下に移しておいたほうが安全だろ?」


 アランの言葉にオベイロンは


「確かにそれは安全策でしょう。しかし相手は魔王。ならば魔力による地殻変動は避けられないかもしれません。それを考慮した上で別荘よりも奥地にある集落、妖精の森へ避難して九尾一族とエルフ一族の防衛兵を付けておいた方が良いのではとのことです。」


「あぁ、確かにそうか。」


「フッ。」


「何笑ってんだよ!」


「心の器と同様に頭の中まで小さいのかと思っただけだ。」


「メテェよ!今ここで殺してやってもいいんだぞ!クソ吸血鬼!」


「ほらな。すぐキレる。」


「チッ!」


 アランは腕組みをしてルベルから離れる。


「相変わらず仲良いですね。」


「そう見えるか?」


 アリスの言葉に少し嫌な顔をしたルベルが聞く。


「はい。喧嘩するほど仲が良いって言いますし。」


「そう思われるならこれからは控えるか。」


「ふふ。」


 ルベルもアランと少し距離を置き歩く。アリスは二人を見て楽しそうに微笑む。


「本当に仲良しだよね。」


 アリスの後ろでシエルが言う。


「ですよね。あの二人すごく息も合いますし、きっとああ言いながらも信頼してるんでしょうね。」


「そうですね。」


 ダルヴィッシュもアランとルベルの背中を見ながら言う。


「私と修行をしていた時の彼らの動きはまさに意思疎通しているのかと思うくらいでしたから。」


 三人は楽しそうにコソコソ話していた。ルシファーはオベイロンの側に寄り


「オベイロン。ここに何があるんだ?」


「皆様に必要な武器です。星影様はもう持っていますが。」


「神器か…?」


「そうです。」


 その話に全員が興味を示す。


「私達は七勇者の皆様から神器を託されたのです。いつか来る意思を継ぐ者に渡すようにと。」


「なるほど。それでそれを地下に保管していたと。」


「はい。」


 しばらく歩くと古びた木製の扉が現れる。オベイロンは扉を開くと中には六つの神器が丁寧に手入れされた状態で保管されていた。


「百年前からあったものだとは思えねぇくらい綺麗だな。」


「私がちょこちょこ手入れをしていましたから。あと正確には千年前からこの神器は存在しています。」


「はぁ?!千年!!」


 アランが驚き声を上げるとルベルがアランの背後から低い声で


「うるさい、耳障りだ、黙れ。」


 と暴言を連発する。アランは後ろにいるクソ吸血鬼を睨むがルベルはまたもフッ、と鼻で笑う。


「では皆様、神器をお取りください。」


 アランは双剣を、ルベルは刀を、ルシファーはロングソードを、シエルはレイピアを、アリスは杖を、ダルヴィッシュはグレートソードを手に取る。


「これが神器…。」


 ダルヴィッシュが見惚れている隣アリスは


「私だけ杖…なんですね。」


 と少し周りとの違いに肩を竦める。


「そうですね。トリスタン様は魔術師マーリンに次ぐ大魔法使いでしたから。」


「トリスタン…?」


「はい。魔導の円卓騎士、トリスタンと呼ばれていました。」


「七勇者さん達にはそう言った二つ名があるのですか?」


 アリスの問いにオベイロンは頷く。


「はい。皆様それぞれにございます。神速の円卓騎士、ランスロット。常闇の円卓騎士、モードレッド。混沌の円卓騎士、アーサー。太陽の円卓騎士、ガウェイン。魔導の円卓騎士、トリスタン。孤高の円卓騎士、パーシヴァル。踏襲の円卓騎士、ガレス。これらは今皆様に受け継がれています。ですので皆様は神速の円卓騎士アラン。常闇の円卓騎士ルベル。混沌の円卓騎士ルシファー。太陽の円卓騎士ダルヴィッシュ。魔導の円卓騎士アリス。孤高の円卓星影。踏襲の円卓騎士シエルとなりますね。」


 皆は改めて自分達が七勇者の意志を継いでいるのだと実感した。


「皆様、神器は持ち主の元へ戻ると真の力を発揮します。現に皆様は神器を所有していた勇者達の記憶が脳内に流れてきているのではないでしょうか。」


「確かに。どんな性能で、俺の力をどう引き出してくれるのか。この神器を握ったときに何故か理解できた。」


 ルベルの言葉に他の五人も頷く。


「そしていざという時、その神器に宿った魂達が皆様を助けてくれることでしょう。これはパーシヴァル様が皆様に神器が渡った時に、少しでも力になりたいからと。そう言った想いで神器に亡くなった彼らの魂を宿したものになっています。」


「モノに魂を宿らせるなんてことが出来るのですか?」


 ダルヴィッシュは驚いたように問う。


「はい。パーシヴァル様の能力は魂に干渉する事ですから。その能力を応用したものだそうです。」


「じゃあそれはカゲにもできるの?」


 シエルが聞くと一瞬カゲ?と頭を傾げたオベイロンがすぐに理解し


「はい。星影様にも出来るかと思います。」


「魂に干渉とかチートだろ。」


 アランは笑ってしまう。それにルベルも


「ああ。だがあいつらしい。なんたって《特異点》の孫だしな。」


「《特異点》…。」


 その言葉にルシファーが少し反応したが、オベイロンが


「それでは地上へ戻りましょうか。彼らがいつ攻めてきても迎撃できるように。」


「そうですね。」


 オベイロンのあとにダルヴィッシュが続く。そして皆は別荘の外に出る。特に変化はなく、アルケインとノワールが別荘の前で見張りをしていた。


「ダルヴィッシュ。戻ったか。」


「特に変わりはなかったか?」


 アルケインはコクリと頭を縦に振る。その後アラン、ルベル、ノワールは別荘の前で星影の帰りを待つことにした。それ以外の皆は妖精の森へ向かった。妖精の森では悠都、茜、クラウス達は国民やエーデル大王、マーガレット達と皆の帰りを待っていた。


「お!シエル達だ!」


 悠都の声にリリィとスティカがシエルの元へ小走りで向かう。


「シエル。それが神器?」


「うん。いいでしょ?」


 シエルはレイピアを抜いてリリィとスティカに見せつける。二人はいつもの明るいシエルを見て思わず頬が緩んだ。


「何だか昔に戻ったみたい。」


 スティカの言葉にシエルが


「そうだね。ごめんね。私が連れて行かれちゃったばかりにみんなに色々任せちゃって。」


「気にしないで。ワタシ達は仲間なんだから。」


 そこへトーマスとクラウスも寄り


「久し振りに五人揃ったな。暁彦さんも見てるかな。今の俺たちを。」


 トーマスの言葉にクラウスが


「見てるだろうな。あの人はいつだって俺達を見守ってくれてた。きっと俺達の事が心配で成仏できずに身近な人に生まれ変わってたりしてな。」


「まさかね。」


 クラウスの冗談にリリィが笑って背中を叩く。


「っ。ちょっと強くないか?」


「気のせいよ。」


 そのやり取りに五人が笑う。それを見ながら悠都が隣に立つ茜に


「俺達もああやって笑ってたかったよな。」


「…そうだね。」


「あいつも元気にやってるかな?」


「きっと元気だよ。」


「また四人で集まってどうでもいい話しして笑いたいな…。」


「…うん…。」


 悠都と茜は昔を懐かしんでいた。しかしどこか悲しそうに語っていた。その頃、キツネは妖精の森にある治療室にてアルベルトと流星による治療を受けていた。これはキツネが自分も戦いたいと言う意思を尊重して行われている治療だ。キツネは生まれつき魔力を使う器官が弱かった。だが以前リリィ達と話す中でそれを治せる人達がいるかもという話を聞いていた。それが今キツネの治療を行なっている二人だ。治療はそこまで長くは掛からなかった。


「キツネ。これで君は以前よりも魔力を使用できるだろう。しかし、周りのように魔力尽きるまで使うというのは現状では不可能だ。今後ともこの薬を飲み続ければ今以上に改善はしていくだろう。」


 アルベルトの話にキツネは少し嬉しそうに微笑む。


「それだけでも嬉しいです。」


 流星は喜んでいるキツネに悪いと思いながら控えめに言う。


「キツネさん。魔法が使えるからといって酷使し過ぎると改善されつつある器官に負荷がかかり最悪二度と魔法が使えない体になるかもしれません。それだけは承知しておいてください。」


「…分かりました。」


 キツネは安心してるが少し不安にもなっていた。流星は


「でも酷使しなければ問題ありませんから安心してくださいね。」


「はい。気を付けます。」


「おっ、アルベルト、流星、終わったのか?」


 龍馬が治療室に入ってくる。


「どうした?お前もどこか不調なのか?」


 アルベルトの問いに龍馬はいつもの薄ら笑いをなくし


「ああ。あの時《色欲》のレオンと戦った以来、ここの痣が広がっていくばかりでな。」


 龍馬は上着を脱ぎインナーを捲ると黒ずんだ模様が浮かんだ体を見せる。


「これは痣ではありませんよ!何故もっと早くに見せなかったのですか?!」


 流星が珍しく声を上げる。


「いや、特に痛みもねぇしいいかと思ってたからな。」


「これは毒、いや呪いですよ!それもかなり歪な術式が組み込まれています!」


「ヤバいのか?」


「はい。…死にます。」


「わぁ、マジか。」


「龍馬…。」


「どうしたよ、アルベルト。そんな顔すんな。らしくもない。」


「だが…。流星、祓ったり出来ないのか?」


 アルベルトが流星に問う。しかし流星は頭を横に振り


「これは祓えないタイプの呪いです。敵を倒した際に倒した相手に自動的に付与される術式で、解呪方法は呪いを発動させた本人にしか出来ない。いわば時間をかけて行われる道づれです。」


「そうか。死ぬのか…。まあ別にいつか死ぬんだ。それが早まるだけだしな。」


「お前はそれでいいのか?何かしらの方法があるかもしれない。」


「アルベルト。そんなことより今は《終末世界》を阻止することが優先だ。あの人のお願いだしな。」


「…。」


「ほら顔上げろよ。俺は大丈夫だ。」


 そう言って龍馬は上着を着ると


「ありがとな。」


 と言って治療室を出ていく。


「…。」


「…。」


「…。」


 流星もアルベルトもキツネも誰一人龍馬が出て行ったあと口を開かなかった。その時、妖精の森内にいる全員の脳内に言葉が流れてくる。それはオベイロンのテレパシーだった。


「星影様が帰ってきたそうです。至急、別荘まで来てください。」


 それから全員は星影の元に向かった。その後、マーリン達がユートピアに現れた。


───


「みんな!いくぞ!」


 星影の声に皆はマーリン達へ向かって駆け出す。


「影塚星影。お前の相手は私だ。」


 マーリンが星影の前に現れるとルベルとアランがマーリンの前に立ちはだかる。


「星影。こいつは俺達がやる。お前はタルタロスをやれ。あいつはこの中で一番強い。」


「間違いねぇ。マーリンの何十倍ってくらいに匹敵するくらいだぜ。お前じゃねぇとやれねぇ。」


 ルベルとアランに言われ星影はタルタロスの元へ向かう。


「分かった!二人ともここを任せる!」


「ああ。」


「任せとけ!」


「雑魚が。私の邪魔をするな。」


「雑魚だと思うならとっとと俺達を殺して星影のところ行けよ。」


 アランがマーリンを挑発するとマーリンは殺意に溢れた笑みを浮かべ


「良いだろう。まずはお前らから殺してやる。グリートーネア。来い。」


「はい。マーリン様。」


「今回こそその吸血鬼を殺せ。」


「分かりました。…ルベル、今回で終わりよ。」


「グリートーネア…。」


 そして星影はタルタロスの前に辿り着く。


「まさかお前の方から我の元へ来るとは。」


「冥界王、タルタロス…。」


「フン。気に食わぬ目だ。しかし、今のお前では到底我には勝てん。蘇ったときに随分と魔力を消費したと見える。」


「…。」


 星影は腰から神器を抜く。


「主!」


 そこへノワールが駆け寄る。


「ノワール。ルージュを頼む。」


「…。御意。どうかご無事で。」


「大丈夫だ。俺はもう負けない。」


「フン。随分と威勢の良いことを言うな。まあお前如き我が出るまでもない。やれ。」


 その言葉にアンデッドが無数に出現し、その中から他のアンデッドとは次元が違う七体のアンデッドたちが現れる。


「っ!パーシヴァルさん!」


「知っていたか。彼らの死体は我が丁重にアンデッドにしてやった。自我はないが百年前と同様の力を発揮できる。さあ踊り明かせ!屍達よ!」


 星影は無数のアンデッド達の前でもなおも変わらず未来を見据え神器を構える。


第参章 《王の茶会》 完

皆さん、いかがだったでしょうか。

七勇者たちの意志が宿った神器を受け継いだ終末の七勇者たち。

そして時は現在に戻りここから第二次異世界大戦と呼ぶれる星影たちにとって過酷な戦いが幕を上げる。


次回第五十六話 開幕第二次異世界大戦

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