第五十話 招待状
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第五十話を投稿させていただきました。
オベイロンが星影たちへ告げる言葉は一体何なのか。
是非お楽しみください。
息を荒らげているオベイロンへアランは
「どうしたよ?そんな急いで…。」
皆は覚悟を決めた顔でオベイロンを見ていた。オベイロンは呼吸が落ち着くと
「星影様、管理者からあなたを捕食王の座に任命すると通知が来ました…。」
その言葉に星影は理解できていないようできょとんとしていた。
「そのアドミニストレータってのは何なんだ?」
ルベルが聞くとオベイロンは
「この世界を管理するものであり、一説には全知全能の力を有していると言われています。」
「そんな話聞いたことがないぞ。」
ルシファーはオベイロンにそう言うと続けて
「オリジンからもマーリンからも。」
「でしょうね。彼らは管理者から一つ力を譲り受ける代わりに、管理者について管理者を知らぬ者たちに口外することを禁じられていますから。」
「その話だとお前は力を貰ってないのか?」
アランの的確な質問に
「その通りです。ですが、ここで《終末の七勇者》である皆様にお話できましたので、これから開催される《王の茶会》にて力を譲り受けようと思います。そして、新たに捕食王に就任した星影様にも《王の茶会》への招待状が届いています。」
「…捕食王って…何?」
星影が申し訳なさそうに聞くと、アランは
「お前知らないのか?捕食王ってのはオリジンの事だ。お前が倒したからお前にその座が譲られたんだろうな。」
「そうなのか?オリジン。」
『そうだ。かつての私に授けられた王権だ。』
「そうなんだ。」
この場にいた皆は言葉を失い星影を見ていた。
「星影、一人で何言ってんだ?誰もいないのに。」
ルベルが心配そうな顔をして星影を見ている。
「ああ。オリジンと話してた。」
「フッ。」
アランは吹き出し
「まさに昨日の敵は今日の友だな。」
と笑いながら言った。それにルベルやダルヴィッシュも笑った。そこでオベイロンが
「星影様、《王の茶会》は十日後の夜、北西の孤島、アヴァロンにて行われる予定です。」
「アヴァロン…。ついにファンタジー感出てきたな。」
星影がウキウキしてるとオベイロンは
「とても危険な場ですよ。特に星影様にとっては。」
「どういうことですか?」
「今回《王の茶会》に集まるのは魔王、魔神王、龍王、妖精王、捕食王、冥界王、天界王の七人です。そのうち魔王、冥界王、魔神王、天界王は星影様を敵視しています。龍王は中立と言うのが今までの茶会から見て言える立場的なものでしょう。」
「そんなに王様がいるんですね。」
「はい。ですから一時も気を抜かないでください。それから、茶会に参加する王は一人だけ配下を連れて行くことが許可されます。星影様にはノワール様が適任かと思います。」
「おぉ、妖精王様からそのようなことを言っていただけるとはこの上なきありがたき言葉でございます。」
ノワールはオベイロンに頭を下げる。
「君は相変わらず凄い忠誠心ですね。素敵ですよ。」
「そうでしょう!私は主とお似合いですから。」
「…誰もそこまで言っていませんが…。まあ星影様の付き添いの方はノワール様ということなのですが、今回の茶会は荒れそうな気がしていまして、私の付き添いの方を七勇者のどなたかにお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」
「なら俺が行こう。」
ルベルが挙手する。
「まあ確かにこの場でならお前が一番適任だな。」
珍しくルベルの意見にアランが賛成する。
「私では力不足ですか?」
ダルヴィッシュは少し気落ちしたように言う。
「そうじゃない。茶会の開催は夜だ。それも屋内となるとお前の本領が発揮できない。それだけだ。単純な力だけならお前に行ってもらいたいが環境が今回は良くない。」
「なるほど!ルベル殿は吸血鬼ですから夜になればいつもより力を発揮出来ると言うことですね。」
「まあそういう事だ。あと脳と心臓潰されなければ死にはしないしな。」
ダルヴィッシュにルベルは自分が挙手した理由を伝え納得させる。
「それではルベル様でよろしいですか?」
オベイロンの問いにダルヴィッシュ、ルシファー、アランは頷く。
「ではお願いしますね。」
「ああ。」
「あとはこの場に残る皆様にお願いがあります。私達はいつ魔王達から攻撃されてもおかしくありません。星影様と私がいない間に襲撃してくる可能性もないとは断言できません。ですからいつでも迎え撃てるようにしておいてもらいたいです。」
「それなら任せろ!」
アランは腕を組んで自信満々に応える。ダルヴィッシュとルシファーも同じように任せろと言ってくれた。
「やはり七勇者の皆様の言葉は安心できます。」
オベイロンは何か懐かしむように微笑む。それから、オベイロンの別荘で十日を過ごし治癒班のお陰でシエル、セン、マサ、ゴリラ、アリス、ヤミ、悠都は完全復活を果たし、アラン、ルシファー、ダルヴィッシュ、アルケイン、ノーザ、アッシュ、神木、茜、龍馬、風靡、照井、アルベルト、クラールハイト、キツネ、クラウス、リリィ、トーマス、スティカ、ナグリトバシと共にいつでも敵を迎え撃てる状態になっていた。
「それでは少し早いかもしれませんが私達は出ますね。頼みました。」
「おう!安心して行って来い!」
アランは堂々と言葉を返す。
「星影頑張れよ!」
「気をつけてね星影。」
悠都と茜は星影に励ましと心配の声を掛ける。
「うん。行ってくる。」
星影は二人から離れるとオベイロンのそばに寄り
「アランさん。俺からもみんなの事をよろしくお願いします。」
「ああわかったよ。星影、俺達は同じ七勇者なんだ、気ぃ遣うなよ。分かったか?」
星影は少し嬉しくなり笑顔で
「ありがとうございます!」
というとオベイロンが
「それでは行きますよ。転移、アヴァロン。」
と言い、突如星影、オベイロン、ノワール、ルベルの姿が消える。目を開くとそこは十三の席が用意された円卓がある大広間にいた。円卓はドーナツ型で中心は床があるだけだった。
「ここがアヴァロン…。」
周囲を見渡すがまだ誰もいない。
「まだ誰も来ていませんね。星影様はこちらにお座りください。私は隣に座りますので。」
「あ、ありがとうございます。」
「緊張してますか?」
「…そうですね。敵の王達が集まるわけですから…。」
「そんなに緊張するな。俺とノワールがいるから安心しろ。」
ルベルが声を掛けるとノワールも必死に頷いている。しばらく静寂が訪れる。この静寂が余計に星影の緊張を煽ってくる。すると、大広間の扉が開く音がする。星影はそちらへ振り向くと、そこにはフロンティアで一度戦ったマーリンと配下にグリートーネアが姿を現した。
「まさか貴様が捕食王の座に就くとはな。やはり早めに殺しておく必要があるな。」
その言葉にルベルとノワールは殺意をマーリンへ向ける。
「随分と躾のなってない番犬を連れてるな。」
マーリンは二人を嘲笑うようにして星影の正面の席に座る。それから少ししてまた扉が開くとそれぞれの王たちが全員入ってくる。
「こいつらが王…。」
星影はその威圧的な魔力に気圧されるも表には出さないようにする。星影の隣には龍王が座り、龍王の隣には冥界王が着席するが、二人とも配下は付けていなかった。その隣は既に来ていた魔王、マーリンとグリートーネアが。その隣は天界王である男が一人。配下は龍王、冥界王と同じく付いてはいない。そして天界王は前回、フロンティアで魔王を追い詰めた星影の元に現れた釈迦と呼ばれていた男だった。そして釈迦の隣、魔神王が座る。彼も配下を付けていなかった。そして魔神王の隣が妖精王、オベイロン。これで七人の王が揃い《王の茶会》が幕を開ける。
皆さん、いかがだったでしょうか。
ついに幕を開ける《王の茶会》。星影は捕食王として他の王たちと対等になれるのか。
敵対されている最悪の状況で星影はどう行動に出るのか。
次回第五十一話 《十三の王》




