第四十八話 形勢逆転
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第四十八話を投稿させていただきました。
星影が目覚め、オリジンを打倒したことにより、一気に形勢が逆転する。
是非お楽しみください。
龍馬、風靡がルベル、アラン、ダルヴィッシュ、アクア、ノーザ、アッシュはマーリン、《暴食》のジョーヌ、《怠惰》のヴェールとその眷属であるベルフェゴール、《憤怒》のヴィオレと対峙していた。
「っ!」
ルベルはジョーヌへ距離を詰め血液で形成された矢を無数に放つ。
「あっははは!いっぱいだぁ!でも当たらないよぉ!」
ジョーヌはちょこちょこと矢と矢の間を抜けていきルベルへ迫る。
「波動砲!」
ジョーヌの攻撃をルベルはギリギリで躱す。アクアはヴェールとベルフェゴールから距離を取っていた。
「来ないの?」
ヴェールの挑発にムカッとしながらも目を合わせずにいた。
「おい!ブルー!そいつとやらねぇなら俺と戦え!」
ヴィオレは怒鳴り声を上げる。
「ぎゃあぎゃあうるせぇな。」
アランはヴィオレへ近付き
「俺が相手してやるよ!閃光双乱舞!」
と高速の斬撃を放つ。
「何だ?その鈍い攻撃は?ずいぶんと魔力消費してるじゃねぇかよ!」
事実、アランはモーロノエーとの戦いで大技を使ったことで相当魔力を消費していた。その状態で《原初の悪魔》の一体と戦うなんて無謀だ。しかし、アランに戦わないという選択肢は端からなかった。ヴィオレはアランのすべての攻撃を体で受け止めた。だがその体は無傷。一方でアランは複数の斬撃を受け血を噴き出して倒れる。
「クッソ弱いな。でも一方的に甚振るのはいつの時代も楽しぃなぁ!」
マーリンの元ではダルヴィッシュ、ノーザ、アッシュが戦っていた。
「シャイニングブレイク!」
マーリンは対魔法と物理のバリアを展開するもダルヴィッシュに呆気なく破られる。
「マジか…。」
「…。」
それをそばで見ていたノーザとアッシュは呆気にとられていた。
「流石だな。ダルヴィッシュ。」
「魔王に褒めてもらえるとは複雑だが嬉しいものだ!」
ダルヴィッシュ達は朝食を済ませた後に修行をしていた時、兵の一人から魔王軍達の進軍報告を受け、すぐに北の地へ向かった。そしてここに辿り着き今この時、ほとんど日は真上にあった。それがマーリンのバリアを破った理由である。ガウェインの二つ名、それは太陽の円卓騎士。太陽の出ている間、それも昼時の丁度真南に太陽が位置している時、ガウェインのステータスは自身の最大値にその何十倍ものステータスが加算される。
「シャイニングブラスト!」
ダルヴィッシュは目にも留まらぬ速さで燃える剣を振るう。だがマーリンもその速さと同等に四重のバリアを張り自身への攻撃を防ぐ。
「流石魔王と言ったところだな!」
「お前も中々だよ。立派に育ったな。」
「まるで私を知っているような口ぶりだな!」
マーリンの言葉にダルヴィッシュは困惑したが今は考えることを放棄してひたすら攻撃を繰り返す。太陽が出てる間魔力は尽きないダルヴィッシュといずれ魔力が尽きるであろうマーリン。ダルヴィッシュはマーリンの魔力切れを誘おうとするが、マーリンはいつになっても魔力が尽きる気配がなかった。その時、この場にいた全員が戦慄した。
「っ!」
マーリンは顔色を変えダルヴィッシュから離れた。それはダルヴィッシュも感じた事だった。
「まさか…。」
マーリンは上空へ浮き上がる。
「オリジン…。《原初の悪魔》達よ!ここは退くぞ!」
「あれ?まさかこんな結末になっているとは。」
そこにヴィルヘルム・ルージュが現れた。
「あいつは!」
ダルヴィッシュがその姿を見て嫌な想像をしてしまった。先ほどの男が負けたのかと。しかし
「負けそうだったので尻尾巻いてきたら撤退か。」
その言葉に安堵した。あの首切り包丁を持っていた男は生きているようだった。
「ルージュ。オリジンが敗れた。」
マーリンの言葉にルージュは余裕そうな顔が一気に曇る。
「まさか彼が負けるとは…。」
そこへ黒い影が跳躍してくる。
「っ!」
マーリンはすぐさま最上防御魔法であるバリアを張る。
「禍の拾弐《わざわいのじゅうに》 破壊!」
バリアは一瞬で砕け散る。
「この魔力…オリジン…。」
目の前の星影を見たマーリンはそう呟いた。隣にはノワールが現れルージュの下へ魔剣を振るう。ルージュはメルダインが使っていた剣、花吹雪で受け止める。
「やぁ、ノワール。久しいね。」
「その剣はどうした?」
ノワールはルージュを睨みつける。近くにいたダルヴィッシュもその剣を見て驚愕する。
「ルージュと言ったな!その剣はどうしたのだ!」
ルージュはノワールの攻撃を打ち払い
「ガウェインの現身だね。なら伝えておこう。彼の最後の言葉を。ダルヴィッシュ、アルケイン、ありがとう。だってさ。」
「貴様ぁ!」
ダルヴィッシュは体が燃え上がり先ほどよりも魔力量が格段に上がる。
「殺す!」
「楽しめそうだ!」
ルージュはノワールを蹴り飛ばしダルヴィッシュへ向かう。
「花吹雪!」
「プロミネンスブレイク!」
ただの一振りだったはずが周囲を燃やし地面を抉る。ルージュの左肩から先が切断され燃えて灰になる。
「…これは…ヤバい。」
ルージュはすぐに後退するが、首は切断されていた。
「っ…。」
ルージュの頭と胴体は燃え上がる。
「あがぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ルージュ!」
マーリンがルージュへ目を向けるが星影はただマーリンをその瞳に捉えていた。
「禍の肆 格子斬糸!」
格子状の糸がマーリンを斬り付ける。
「くっ!」
マーリンはすぐに治癒魔法で傷を癒すが星影の猛攻は止まらない。
「波動 黒曜穿閃!」
星影の持つ剣の切っ先は黒い稲妻のような魔力を纏いマーリンへ突き放たれる。マーリンはバリアを張るがバリアを貫通して当たってないはずの刺突がマーリンの鳩尾を打つ。
「ぐぁ!」
「禍の伍 爆炎乱舞!」
そこへ爆発的に燃える炎がマーリンを包み込む。だが、対魔法のバリアで攻撃を凌いだ。
「なんて…威力だ…。」
「禍の弐 宵闇棺。」
突如、星影を中心に黒い影が出現し、マーリンを覆うように閉じる。マーリンは反射的に自身の周囲に五重のバリアを張る。しかし
「ぐぁ!」
マーリンは胸を押さえて膝を付く。
「がぁぁ…。」
掠れた声で苦しそうに倒れたマーリンは出ない声を振り絞ろうと体をジタバタさせている。まるで陸に打ち上げられたような魚のように。だが宵闇棺は何者かによって外から破られる。
「あれ?マーちゃんったらこんなところでやられてたの?」
白髪の男は星影の前を通りマーリンを担ぐ。
「誰だ?」
「俺を知らないんだ。いや、知らなくて当たり前か。お前はこっちにいなかったもんな。影塚星影。」
「何故俺の名前を!」
「じゃあねー。」
男はマーリンを担ぐと生き残った《原初の悪魔》と共に突如出現したゲートに入っていく。皆が入るとゲートは閉じて無くなる。
「何なんだ…?」
星影はノワールの下へ戻る。
「主、申し訳ございません。ルージュを逃がしました。」
「気にしなくていい。それよりみんなは無事?」
「大事には至っていませんが、ランスロットの現身の方が重傷を。」
「ノワール、治癒魔法とか使えるか?」
ノワールは首を横に振り
「すいません。」
「そうか…。」
回復の術が無いためルベルが応急処置として止血だけは行った。しばらくして南の方角からゴリラを担いだナグリトバシとセン、マサに肩を貸しているクラウス、トーマスと照井、そしてその後ろからアルベルト、スティカ、リリィが歩いてくる。
「龍馬、どういう状況だ?」
照井の問いに
「星影が目を覚ましてオリジンを倒した。魔王と《原初の悪魔》の残党は釈迦と共に消えてった。」
「っ!もう釈迦が動き出したのか!」
「ああ。こりゃいつ《オリンポス十二神》の奴らが動き出してもおかしくない。」
「まずいな…。」
二人の会話にルベルが割って入る。
「お前らは何で政府側ではなくこちら側に就いた?」
二人は顔を見合わせてから
「お前達には伝えておく。俺達は政府に属しているが俺達が仕えているのはツクヨミ様だ。そしてツクヨミ様は政府打倒のため政府に属している、いわばスパイだ。」
龍馬の答えにルベルは驚くも
「ツクヨミという名は聞いたことがある。だが俺の知ってるツクヨミは鈴木とかって言う研究者の妻だとかだろう?地位もあまり高くなかったはずだ。そんな奴が好き勝手に動いていて大丈夫なのか?」
「ああ、それは大丈夫だ。あの方はそれなりに地位は高い。それは他の高官とは違った意味でな。それにある男が付いているからな。心配はない。」
「そうか。」
「それからそのツクヨミ様について星影、お前に伝えておくことがある。」
龍馬は星影へ視線を送る。
「俺にですか…?」
「ああ。ツクヨミ様はお前の母親だ。」
「っ!」
「お前の親はお前を捨てたとか、死んだわけじゃない。お前を政府に所属させることを危険に感じツクヨミ様の父親である暁彦さんにお前を預けた。まあ、お前の父親は鈴木義文っていう奴でお前を政府の兵器にしようとしてたクズだがな。」
「つまり、俺の両親は共に政府関係者ってことですか?」
「そうだ。」
そんな話をしていると突如空から二人の人影が現れる。そこにはエーデル大王とエルフの男がいた。
「大王!ご無事でしたか!」
ダルヴィッシュがすぐに駆け寄る。
「うむ。心配をかけた。オベイロン、この場にいる者たちの傷を癒やしてやってくれ。」
「分かりました。…癒しの雨。」
空から雨が降り注ぐ。すると皆の傷は癒えアランは目を覚ます。
「…ここは?」
「起きたか。」
「ルベルか…?」
「俺がお前の応急手当をしてやった。戦場を任せた時の借りは返したからな。」
「そうかよ。」
「皆、此度の戦いよく無事で居てくれた。」
「大王…。メルダインは…殉職しました。」
「…ああ。」
「そしてルーサー王も魔王の手により殺害されました。」
「…。」
「しかし、その犠牲あって我々は《プレデター》のオリジン、《原初の悪魔》、《色欲》のレオン・ブランを討つことができました。」
「…大義であった…。」
エーデル大王は俯いたまま言った。しばらくこの場に静寂が訪れた。勝利したのにも関わらず、皆は明るくなれなかった。なぜなら東の国王と、共に戦った師匠ともいえる男を失ったからだ。それから少しして大王は口を開いた。
「皆、今回我々はエーデルと古より契約を結んでいた男に救ってもらった。そのためエーデルを訪れた者は我々がいないことに疑問を抱き、いらぬ心配を掛けたことを詫びよう。彼がその男である。」
大王は隣に立つ金髪のエルフを指す。
「紹介に預かりました。妖精王、オベイロンと申します。この度は皆様の戦いに参戦できなかったことお詫び申し上げます。」
そしてオベイロンは深く頭を下げた。
「顔を上げてください。あなたのおかげで大王や国民は守られたのですから。感謝しています。」
ダルヴィッシュはオベイロンに礼を言った。
「そう言っていただけてありがたいです。私達エルフと九尾の一族は今後、皆様の戦いに尽力して参ります。それから、私達の国、ユートピアにてメルダイン様の埋葬の義を行おうと思います。これはエーデル大王様とお話決めたことです。」
「…そうですか…。」
ダルヴィッシュにはいつもの笑顔がなく、どこか後悔をしているようだった。そんなダルヴィッシュの肩にアルケインは手を置く。
「そんな顔するな。あいつが安心できないだろう。」
「…そうだな…。」
生き残ったフロンティアの兵と国民、星影達はオベイロンと共にユートピアへ向かった。
───
異界歴一一〇一年八月、《プレデター》は滅ぼされ、世界の危機は一つ消え去った。だが、まだ世界は救われたわけではない。魔王、冥界王、《原初の悪魔》、《世界政府》、《堕天使》はいつ本格的に動き出すか分からない。もしかしたら、今も《終末世界》へ向けて何者かが動いているのかもしれない。
「俺はこの世界の結末を見届ける。俺達と同じ未来を迎えないように。頼んだぞ、五年前の俺…。」
男は独り言を呟き振り返る。
「行こう、時雨。俺達も決着を着けに。」
男は悪魔の名を呼び歩き出す。これにて第一次異世界大戦は幕を下ろす───。
第ニ章 第一次異世界大戦 完
皆さん、いかがだったでしょうか。
まずは第二章完結まで共に歩んできた皆さん、ありがとうございます。
まだまだ星影たちの旅は続くので飽きてない、これからが楽しみという人たちには今後とも星影たちと共に歩んでほしいと思っています。
本当にありがとうございます。
さて、第一次異世界大戦は幕を閉じました。
しかし、星影の目覚めとオリジンの死がとある王たちを刺激することになります。
戦いは終わったわけではない。ここからが星影たち《終末の七勇者》が世界を救うために巨大な敵たちとぶつかり、そしてその世界を滅ぼずのです。
次回 第参章 《王の茶会》編
第四十九話 《終末の七勇者》集結




