表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の七勇者(改)  作者: ヤミ
二章 第一次異世界大戦
47/47

第四十七話 囚われた男

皆さんこんにちは。

ヤミです。

本日は第四十七話を投稿させていただきました。

オリジンを倒すことに成功した星影。オリジンは体が崩壊する中、ある記憶がオリジンの中で甦り、星影の中に流れ込む。

是非お楽しみください。

「オリジン。我の可愛い息子よ。」


「はい。お父様。」


「お前は大きくなったら我のように強い男になれ。そして今後我が支配する地平を我が死んだあとも継いでいくんだ。いいな?」


「はい、お父様。」


 オリジンはとある男の一人息子だった。オリジンの父親は世界を支配する程の強大な力を持っていた。しかし、今現在それを成していないのは、この世界には伝説の七勇者が存在していたからだ。彼らはこれまでにも幾多に及ぶ世界の終末を救ってきた。彼らがいるからこそオリジンの父親はこの地平を支配するに至っていなかった。


「お父様はどうして地平を支配するのですか?」


「何故かって?それは我がこの世に生まれ、自由だからだ。」


「自由…。私もお父様みたいに自由に生きられますか?」


「あぁ。お前は我の息子なんだ。我と同じように生きられる。」


 オリジンは父親と同じように生きられることに幸せを感じていた。なぜならオリジンはずっと父親の背中を見て生きてきたからだ。だからこそ父親に憧れを抱いていた。それから月日が流れ、オリジンは青年と呼ばれるほどまでに成長した。今では鍛錬を重ね、父親と共に戦場で暴力の限りを尽くしていた。ある日、オリジンにとある任務が言い渡された。


「オリジン。お前も強くなった。お前を我が軍の団長に任命したいと考えている。」


「本当ですか?お父様!」


「あぁ。お前には団長に相応しいと言うことを証明してもらいたい。」


「はい!お父様の役に立つのであれば何だってします!」


 オリジンは純粋に父親を慕っていた。だからこそ服従を強いられているわけではなくオリジン自身の意思で父親に従っていた。


「では、お前には北東の孤島へ行ってもらう。」


「そこは吸血鬼達が住む島ですよね。」


「そうだ。我は今より強くなるために吸血鬼の力が欲しい。だから吸血鬼を生きたまま連れてこい。」


「そのくらいすぐに済ませてきます!」


「期待しているぞ。我が息子よ。」


「はい!」


 そしてオリジンは自らの兵を連れ北東の孤島へ侵攻を開始した。だが良くも悪くもこの孤島にはオリジン以外にも侵略者がいたのだ。


「何だ。僕のことを知らないのかい?」


「興味はない。とっとと失せろ。」


「へぇ。僕にそんな口を利くとはね。君、名前は?」


「私はオリジン。」


「ふぅーん。僕は《原初の悪魔》ヴィルヘルム・ルージュ。よろしくね。」


「貴様とよろしくやる訳がないだろう。とっととこの島から出ていけ。」


「連れないね。まあいいさ。僕も僕のなす事をなしたら帰るさ。」


 その時だった。


「遂に見つけたぞ!原初の赤!」


 孤島へ二人の男が現れた。


「何者だい?」


 ルージュの問いに


「七勇者が一人、モードレッド。」


「同じく七勇者のパーシヴァルだ。」


 二人は腰に下がった刀と剣を抜く。


「これはこれは世界を救う勇者様方ではありませんか。僕に何か用でも?」


「ああ。お前は世界各国で力を求める為だけにたくさんの命を踏み躙っているらしいな。」


「そんな悪党を野放しにはできない!」


 モードレッドとパーシヴァルはルージュを睨みながら近くにいたオリジンを見る。


「君は?」


 パーシヴァルの問いに


「私はオリジン。」


「どうしてここに?」


 オリジンは言葉に詰まりながら


「私は…お父様の命令でこの地へ…来ました…。」


「では君は下がっていたまえ。」


 パーシヴァルの言葉にオリジンは後ろに下がる。モードレッドとパーシヴァルは同時にルージュへ飛びかかる。


「ブラッドインパクト!」


魂心牙突こんしんがとつ!」


 二人の刺突はルージュへ放たれ、ルージュは吹き飛ぶ。


「噂に違わぬその強さ。やはり今の僕では君達には勝てなそうだ。」


「で?尻尾巻いて逃げるのか?」


 モードレッドはルージュへ鋭い目を向ける。


「負けたらそこで終わりだからね。」


 ルージュは跳躍し、場を離れようとする。


「ブラッドチェイン!」


 血で出来た鎖はルージュの足を縛り、地へ叩き落とす。


「っ!」


黒曜滅雷こくようめつらい!」


 パーシヴァルの剣は黒い稲妻を纏いルージュへ斬撃を飛ばす。


「うがっ!」


 ルージュは吐血し倒れる。彼の倒れた地面は血溜まりが出来る。


「倒したか。」


 モードレッドの安堵の声にパーシヴァルは


「オリジンくん。大丈夫だったかい?」


 と尋ねる。オリジンは


「はい。大丈夫です…。」


 と答えるがそれよりも彼らの強さに魅入っていた。


「あの!どうしたらお二人みたいに強くなれますか?」


 オリジンは二人へ憧れの眼差しを向けていた。オリジンは憧れの対象はいつだって父親だけだった。だが、この瞬間からオリジンの憧れは誰かを守るために力を使う強い者になっていった。


「俺達は守りたいものがたくさんあるから強くならなきゃいけないんだ。だから君も守りたいものができれば俺達よりも強くなれるさ。」


 パーシヴァルはそう言ってオリジンの頭に手を置き背を向けて立ち去る。モードレッドも背中を向け手を振って去っていく。オリジンはその日、吸血鬼達に危害を加えることなく父親の元へ戻った。


「お父様!今日七勇者に会ったんです!私も誰かを守るために強くなりたいです!」


 オリジンの希望に満ちた顔を見て父親は


「それで、吸血鬼はどうした?」


「私は世界を救いたいのです!なので吸血鬼達に危害は加えませんでした!」


 座っていた父親は立ち上がるなりオリジンの頬を殴った。


「何なんだ?お前は?」


 オリジンはその行動を理解することができなかった。


「お父…様…。」


「我は世界を統べる王になるのだ。この世界の地平に住まう者を滅ぼし世界丸ごとを手中に収める。それだのにすくうだと?お前には失望した。」


 そして父親は冷たく軽蔑する目を向け部屋を出ていった。


「私は…間違っていた…?でも…勇者の人達は輝いていた…。」


 そこまで思うも父親のあの冷たい目を思い出し恐怖が体を包み込んでくる。逃れようとしても纏わりつく恐怖がオリジンの心を蝕んでいった。


「お父様…。」


 オリジンは一人親、そして一人っ子だった。愛情を注いでくれたのはあの父親だけだった。オリジンはその父親に見放されるのがどんな事よりも辛く悲しい事だった。数日が過ぎたある日、オリジンは父親の元へ跪いた。


「私が間違えていました。世界をお父様の手中に世界を収めるには今ある全てを滅ぼすしか無いと理解できました。」


 その言動に父親は


「ようやく理解できたか。お前はまだ子供だ。過ちを知り、正しい道へ進むことが成長だ。」


 父親はオリジンの頭をそっと撫でた。オリジンはそれが何よりも嬉しかった。父親に認められ褒められることこそが生き甲斐と言っても良いほどにオリジンは父親を慕っていた。それから数年が経ちオリジンの父親は世界を手にする為に本格的に動き出した。


「世界は我の物になる。お前達、覚悟は出来てるな?」


 父親の声に軍の皆は雄叫びを上げた。父親と七勇者の両軍は正面からぶつかり、ギリギリの所で七勇者の軍に父親は勝利した。しかし、部下をすべて失いオリジンも敗れ退くこととなった。敗れた七勇者は先代の魔王、龍王、時空王、魔神王、冥界王、先代の天界王、深海王、先代の妖精王と共にオリジンの父親を封印した。この戦いは以降歴史に名を残すほどの惨劇となった。これが世界初で最後の《終末世界》と言われている。そしてそれを引き起こした張本人はこの戦争以降《堕天使》と呼ばれ忌み嫌われてきた。しかしそれも千年も昔の話であり、今を生きる者達はその歴史を知らぬ者も多い。それでもオリジンは父親と言う呪縛に囚われ生き続けていった。そして今から百年前。オリジンに新たな出会いがあった。それは先代魔王死後、転写の能力で自身の魂を魔術師マーリンへ写した者。


「孤独は寂しいだろう?私が側にいる。…。」


 そしてマーリンはそっとオリジンを抱きしめた。 


「…。」


水の催眠(イドロス・ヒュプノス)。」


「私は、寂しい…。側にいてくれ。」


「あぁ、良いだろう。」


 そしてマーリンの皮を被った魔王はオリジンを支配した。


───


「ここは…?」


「久し振りだな。オリジンくん。」


 その声にオリジンは振り向き、すぐに目を逸らした。


「どうしたんだい?」


「私は、あなた達に憧れてきました…。でも結局自分の弱さに向き合うことなく世界を…たくさんの命に手を掛けてきました…。そんな私はあなた達に憧れを抱く資格はありません。」


 そしてオリジンは背を向け歩き出す。


「オリジンくん。」


 背後から聞こえる声に強く目を瞑り、足速に歩き出す。


「君がしてきた事は許されることじゃない。だからと言って逃げては昔と何ら変わり無い君だ。」


 その言葉に足が止まる。


「許されないことをしたがまだ君にはやるべきことがあるだろう?」


 手のひらに爪が食い込むほどオリジンは強く拳を握った。


「これまでたくさんの命を滅ぼしてきた君は償わなくてはならない。君はこれからの世界を救う為に戦うんだ。それが君の贖罪だ。けれどもそんなことをしても君に踏み躙られた命達は君を許してはくれないだろう。それでも戦うんだ。明日生きることが出来る者たちの為に。人の為に自由に生きろ。」


 その言葉にはっとさせられるオリジンはそっと振顔を上げる。そこには先代のパーシヴァルとその次代のパーシヴァルがいた。


「私は…、世界を救いたいのです…。あなた達に憧れたあの日からずっと…。」


 先代のパーシヴァルはそっとオリジンに寄り添い


「共に世界を救おう。…今度こそ《堕天使》を討つ。」


───


「…。」


「主…?」


 オリジンを倒した星影はしばらく身動きをせずに固まっていたがノワールの声に振り向き


「行こう。魔王を倒しに。」


 星影は歩き出す。たくさんの想いを背負って。

皆さん、いかがだったでしょうか。

オリジンの過去さえその背に背負い星影は歩み出す。多くの者を救うために。

そして、星影と魔王が遂に対峙する。


次回第四十八話 形勢逆転

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ