第四十六話 神器
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第四十六話を投稿させていただきました。
ついに目覚めた星影が、オリジンと対峙する中、オリジンが悠都とシエルを星影の前に立たせる。
星影は悠都とシエルを救い、オリジンを倒すことができるのか。
是非お楽しみください。
龍馬と風靡はブランとアスモデウスを睨む。そして二人は同時に動き出す。
「人間如きが悪魔に勝てると思うな!」
ドラゴンと化したブランは龍馬へ炎を吹く。
「居合 焔裂き!」
龍馬は炎へ飛び込み真っ二つに斬る。
「っ!人間が火を斬った!バカな!」
ブランは龍馬へ大きな口を開け一口に口の中へ呑み込んだ。
「ぉ゙っぇ゙ー。くせぇな。」
龍馬は飲み込まれながらも刀を構え
「居合 飛刀一閃!」
龍馬の斬撃は飛びドラゴンの首を内側から真っ二つに斬り裂く。
「あがぁっ!」
ブランは元の姿に戻る。龍馬はブランに隙を与える暇も無く斬り掛かる。
「乱れ裂き!」
龍馬の高速で連続の斬撃がブランの体を細々に斬り刻む。
「ぁ…。」
ブランは灰と化し消えていく。一方風靡はアスモデウスへ一瞬の内に間合いに入り目にも留まらぬ速さでの蹴りを放つ。
「がぁっ!」
アスモデウスは背後へ吹き飛び倒れる。
「おいおい、悪魔の眷属ってこんなもんかよ?」
風靡は倒れているアスモデウスは何度も踏み付け、最後に蹴り飛ばす。
「殺り甲斐ねぇな。」
風靡が不満の声を漏らすと
「お嬢さん、私はこちらですよ。」
風靡が振り返るとそこにはアスモデウスが立っていた。
「お前も偽物だな。召喚されたときと気配が違う。隠れるのが上手いみたいだな。」
「分かっちゃうんですね。」
アスモデウスの後ろからアスモデウスが現れ、その後ろからもアスモデウスが現れる。次々に現れたアスモデウスは総勢二十体ほどになる。
「紛れたとしても気配で分かるっつたろ。」
風靡はアスモデウス達の中へ駆け出す。その時アスモデウス達は皆風靡に変化する。
「チッ。」
アスモデウスは先ほどの風靡の動きを模倣し高速の蹴りをバラバラに放ってくる。風靡は一旦アスモデウスの群れの中から抜け様子を覗う。
「どうしました?掛かってきなさいよ。お嬢さん。」
本体であるアスモデウスはニヤリと気色の悪い笑みを浮かべている。
「あの顔ボコボコにしてやりてぇな。」
風靡は独り言を零すと上着の内ポケットから銃を取り出し風靡に変化したアスモデウス達の頭部を正確に撃ち抜いていく。九発撃つごとに弾を装填し次々と撃ち抜いていく。アスモデウス本体はまた姿を眩ます。
「クソ野郎。」
すると風靡の耳元から
「お口が悪いですね。」
と声がする。風靡は一瞬ゾクッと背筋に粟が立つ。すぐに回し蹴りするがそこにはアスモデウスは居なかったようだ。
「本当にクソ野郎だ。」
風靡はその場に座り込み空を仰ぐ。
「面倒臭くなってきたな。」
そこへアスモデウスが姿を現し握り拳を放つ。
「本体か。」
風靡はニヤリと殺意たっぷりの笑みを浮かべ姿を消す。
「っ!消えた!」
「こっちだウスノロ!」
風靡は上空から踵落としをアスモデウスの頭上に放ち、地に足を着くとうつ伏せに倒れかけているアスモデウスの顎を蹴り上げる。風靡はまた姿を消し、アスモデウスの背後から腰辺りへ強烈な蹴りを入れる。うつ伏せに倒れたアスモデウスの頭部へ風靡は三発鉛玉を放つ。アスモデウスの体は灰と化して消える。
「そっちは終わったか?」
「もちろんだ。」
龍馬の声に機嫌が悪そうな風靡が鋭い目を向けた。
「怖いねぇ。」
そう言って二人は次の標的へ向かっていく。
───
星影はオリジンを目の前にして動けていなかった。なぜなら、目の前にいたのは悠都とシエルだったからだ。
「悠都…、シエル…。」
「主、彼らは?」
ノワールの問いに震えた声で
「俺の仲間…だ…。…でも…悠都はオリジンの部下に殺されたんだ…。なのに…。」
「主。彼は生きていますよ。ただ少し複雑ですが、オリジンの能力で体を再生させたのだと思います。」
「それって?」
そこへオリジンが口を挟む。
「ノワール。お前の言っていることは合っている。彼には私の新たな力を取り込ませた。」
「やはり…。主、これを。」
ノワールは亜空間から一振りの剣を取り出した。
「これは…?」
「パーシヴァル様から伺っていると思いますが、神器と呼ばれる物になります。」
「これが…。」
「主の力なら彼らを救えるはずです。」
「本当か…?」
「はい。彼らの中にあるオリジンの分魂だけを破壊してください。そうすれば必ず救えます。」
「…わかった。」
星影は神器を握りパーシヴァルに教わったことを振り返る。
───
「星影。あなたにはこれから先代のパーシヴァルが編み出した秘技を伝授します。」
「秘技?」
「はい。今までに教えた技はすべて魂に直接打撃を当てると言ったものでしたが、今回のこの秘技は相手の魂を一撃で破壊する技。一撃必殺です。」
「一撃…必殺。」
「ただその一撃必殺はとても魔力を消費します。私でも使えるのは精々二回ほどでしょう。」
「強大な力の代わりにペナルティもあるんですね。」
「はい。しかし、私は魔王との戦いで五回は使用しました。今はありませんが私の神器はノワールに預けてあります。その神器にはその一撃必殺を使用するために必要な魔力を周囲から掻き集めてくれる力があります。」
「っ!じゃあその神器があれば実質使い放題って事ですか?」
「ただ、周囲に魔力が漂っているか、敵を倒し神器が敵の魔力を吸い尽くしていればの話です。」
「なるほど…。つまりゲームで言うところの必殺技を使うためにゲージを満タンにする的な感じか…。」
「…?その例えはよく分かりませんがきっとそういうことです。そして使う為には詠唱が必要になります。」
「…ついに…詠唱して技が使える日が来たのか…。」
星影は昔に夢に見た憧れを思い返し感動していた。
「嬉しそうですね。」
「もちろんです!」
「あなたもそんな無邪気な反応をする時もあるのですね。少し意外でした。」
「そ、そうですか…。」
星影は少しその言葉に恥ずかしくなってしまう。
「ではお教えします。」
───
「常闇 暁 虚空の明星。」
星影はノワールから受け取った神器を手に悠都へ駆け出す。
「無斬!」
神器の剣先を悠都の胸に突き刺す。悠都はその場に倒れ込む。星影はシエルを見つめ
「常闇 暁 虚空の明星 無斬!」
シエルの胸にも剣先を突き付ける。シエルも悠都と同様に気を失って倒れる。星影は神器を鞘に収め、二人を抱えオリジンから離れたところへ移動する。
「っ!二回続けて…。やはりお前は早めに始末しなくては。」
オリジンは星影へ向けて駆け出す。
「邪魔はさせませんよ。」
ノワールはオリジンの前に現れ魔剣を抜く。すると他の《原初の悪魔》達を凌駕するほどの魔力が空気を震わす。
「貴様!」
魔剣は黒い稲妻を纏い一閃する。
「黒曜滅雷!」
斬撃はオリジンに直撃する。オリジンは吹き飛ばされ倒れる。
「ク…クソ…。体が…痺れる…。」
オリジンは体を起こそうとするが起き上がることが出来ずにいる。そこへ星影が歩み寄る。
「ノワール、ありがとう。二人を見ててくれ。決着は俺が着ける。」
「御意。」
ノワールはすぐさま悠都とシエルの元へ移動し、星影を見守る。
「影塚…星影…。」
オリジンは星影を見上げ睨みつける。
「オリジン。もういいんだ。」
「まだだ…。あの方に誓ったんだ…!私が!私があの方の理想を叶えると!」
オリジンは雄叫びを上げながら震える足で立ち上がる。
「俺は!あの方を!」
オリジンは光の無い瞳で星影を見つめる。
「俺はお前に囚われてる間にお前の記憶を見た。多分、お前の血が…意思が俺にも流れてるから。」
「だから何だ!鬱陶しいぞ!」
オリジンはフラフラと星影へ一歩、また一歩と近寄っていく。
「お前は世界を救いたかった。先代の七勇者に憧れていた。でも親には逆らえずお前はいつしか自分の意思を塗り潰し親の夢を叶えようとしている。」
「知った口を利くな!」
オリジンは星影の胸へ拳を突き付ける。しかし、その拳は麻痺していてなのか震えていた。
「辛かったよな。」
「黙れ!」
「じいちゃんが言ってたんだ…。自由に、そして人のために生きろって。だから、生きることを辛いと思うなら、自分の意思を押し潰して生きてるなら!俺がお前を救ってやる!」
「止めろ…!」
「俺はお前の憧れた七勇者じゃないかもしれない。でも俺はあの人達の意志を継いだ七勇者だ。自由に生きろ!オリジン!」
星影は神器を剣先をオリジンへ向ける。
「常闇 暁 虚空の明星 無斬!」
オリジンは胸を貫かれ体が崩れていく。星影は崩れていく体をそっと抱きしめる。
「もう何にも囚われなくていい。」
「…。」
そしてオリジンの体は消滅していった。この瞬間に戦況は大きく覆された。
皆さん、いかがだったでしょうか。
神器の力と、パーシヴァルの秘技により、オリジンを倒すことに成功した星影。
これにより魔王たちは最大の味方を失ったことになる。
この戦局はどうなっていくのか。
そして悠都とシエルは目覚めることができるのか。
次回第四十七話 囚われた男




