第四十一話 怪物
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第四十一話を投稿させていただきました。
アヴァロン九姉妹との戦闘が始まったエーデル王国の北側ではダルヴィッシュ、アルケイン、ルベル、アランがティーティス、グリートーネア、モーロノエーとの戦いの火蓋が切られる。
是非お楽しみください。
ダルヴィッシュはティーティスと対峙していた。
「シャイニングブレイク!」
「幻影。」
ダルヴィッシュが斬り伏せたティーティスは霧が晴れるように消えていく。
「こっちよ。」
ティーティスはダルヴィッシュの背後に現れ
「光陰の矢。」
ダルヴィッシュの右肩を光の矢が貫く。
「ぐっ!」
ダルヴィッシュはすぐに振り返り剣を振るう。しかし、そこにティーティスの姿はなかった。
「どこへ…。」
「ここよ。」
ダルヴィッシュの足元、影の中から姿を現したティーティスはその場から先ほどの光陰の矢を放つ。ダルヴィッシュは躱そうと試みるも、影がティーティスに固定されているため動けなかった。光陰の矢は正確にダルヴィッシュの喉を貫いた。
「呆気なかったわね。」
しかし今までに負ったダルヴィッシュの傷は全て癒える。
「へぇ。そんな魔導具をどこで?」
ティーティスはダルヴィッシュの懐から浮かび上がり砕けた宝玉を見て興味深そうに尋ねる。
「これは大王より賜った物だ。」
「ふぅーん。その大王、ただ者ではなさそうね。あなたを倒したらその者を訪ねようかしら。」
ティーティスの言葉にダルヴィッシュは眉間に皺を寄せ
「それは騎士団団長であるこの私が認めない!今ここであなたを倒す。」
「さっきまでやられっぱなしだったのに、何か策でもあるの?」
「ええ。」
するとダルヴィッシュはティーティスから距離を取り離れていく。
「もしかして逃げるの?騎士団団長が。」
ティーティスはバカにするように笑い始める。突如今までに感じなかった魔力を感じる。ハッとしたティーティスは周囲を警戒する。しかし誰もいない。さっき感じた魔力は何なのか。ティーティスはダルヴィッシュが何かを仕掛けたのだと思っていた。しかし、それはダルヴィッシュが仕掛けたものではなかった。
「光陰の剣!」
突如として姿を現したアルケインがティーティスへ魔剣を振るう。ティーティスは反射的に躱したため右腕を切られるだけで済んだ。ティーティスは切断された断面を光熱で焼き傷を塞ぐ。
「どこに隠れていたの?」
「ずっとお前の側にいたが。」
「っ!その手に持ってるものは…。」
「ダルヴィッシュと同じく魔導具の一つ。姿と魔力を隠すローブだ。」
「へぇ。やっぱりあなたたちの王国に興味が出たわ。」
ティーティスは不敵な笑みを浮かべ光の如く一瞬にして姿を消す。
「アクア、頼む。」
『まったく、貴方は私がいないとダメなんだから。』
突如アルケインの髪色が黒から青がかった黒色に変わり瞳の色も黒から青色に変化していた。ティーティスは光速移動しながら急に変化したアルケインの姿と魔力に驚きを隠せなかった。
「まさかこんなところであなたと戦うとは思ってなかったわ。」
ティーティスの声はどこからか聞こえてくる。
「私もよ。」
アルケインの姿をした何者かはティーティスへ憎悪の眼差しを向けていた。ティーティスは光速移動しながらアルケインに攻撃を仕掛ける。しかし、アルケインは光速移動しながら攻撃してくるティーティスの攻撃を全て魔剣で撃ち払う。
「やるわね!ブルー!」
「当たり前よ。私はあなたたちへの復讐を誓って百年間、一日たりとも鍛錬を怠ることはなかった。光速移動をするあなたを目に捉えるなんて余裕なのよ。」
ブルーと呼ばれた彼女は光速移動するティーティスの攻撃を見切りきっており全ての攻撃を捌く。ティーティスはペースを上げても同じことであった。ティーティスはブルーの力には及ばないのだ。
「いつまでも攻撃を受けてるだけじゃなくて掛かってきなさいよ!それとも見えるだけで受けるのが精一杯なわけ?」
ティーティスの声にブルーは薄く笑みを浮かべ
「それはあなたでしょ?もっと寄ってきなさいよ。そんなんじゃ倒せないわよ。」
ティーティスはブルーの挑発に乗ってしまう。
「いいわよ!近寄ってお前の喉笛切り裂いてやる!」
ティーティスは一気にブルーへ光速移動で寄り光陰の矢を無数に放つ。
「近距離からのこの数!さすがのあなたでも捌けないでしょ!」
ティーティスの勝ち誇った笑みにブルーは余裕の笑みを見せ
「それで勝てると思ってるあなたの頭が羨ましいわ。」
一瞬にして勝負は決まった。ティーティスと光陰の矢は全てブルーの魔力だけで斬り裂かれていた。
「…そん…な…。」
ティーティスは何が起きたか分からないまま倒れる。倒れてから周囲を見渡すといつの間にか回りの魔物や魔神達は皆倒されていた。そしてその場にはダルヴィッシュが返り血を浴びて立っていた。
「化け…物…。」
そしてティーティスの体は灰と化し消えていった。
「アルケイン助かった。」
「気にするな。お前も流石だ。あの短時間で百体近くの魔物や魔神がいたにも関わらずそれを一人でやったんだから。」
アルケインはダルヴィッシュの強さに呆れたように笑う。
「さあ、次へ行こう。」
ダルヴィッシュの声にアルケインは
「ああ。」
と返す。
───
「閃光双乱舞!」
アランはモーロノエーへ高速かつ連続した斬撃を放つ。モーロノエーは不可視の何かでアランの攻撃を防ぐ。
「チッ!見えないってのが厄介だな。」
アランが不満そうに呟く。モーロノエーは笑いながら
「ただ正面から突っ込んでくるだけだものね。それなら厄介だと思うわ。私の不可視の能力は。」
「テメェ!バカにしやがって!」
アランは駆けながらモーロノエーへ斬撃を何度も放つ。だがやはりモーロノエーの見えざる武器により攻撃は防がれてしまう。
「どこに武器があるか分かればいいが、これじゃ埒が明かねぇな。」
アランは双剣を握り直し構える。突如として魔力が一気に跳ね上がる。
「あら、そんな魔力どこに隠していたの?」
「隠しちゃいねぇよ。消費が激しいから使わなかっただけだ。」
アランはそう言うと姿を消す。どこからか
「神速 閃光斬!」
目に見えないアラン。声だけが聞こえるものの居場所が分からない。その時、背中に鋭い痛みが走る。アランの攻撃が虚空から放たれたのだ。モーロノエーは危機感を覚え自身を不可視化する。この場には誰一人と姿が見えなくなる。だが、斬られた背中から血がポタポタと垂れている。モーロノエーは不可視の状態でこの場から少し離れようとするが血痕を辿りアランの次の攻撃が迫る。
「神速 閃光双乱舞!」
虚空から何度も素早いとでは表せない程のスピードの斬撃がモーロノエーを襲う。モーロノエーの姿は段々と顕になり倒れ灰になる。アランの姿も視界にとらえられるようになり、膝を付く。
「はぁ…疲れた…。」
アランは双剣を背中の鞘に納める。
───
「ブラッディレイン!」
ルベルは血迅斬を放っても傷が再生するグリートーネアに血液を凝縮して生み出した槍を無数に突き刺す。グリートーネアは串刺しになるが槍が消えると同時にグリートーネアの傷は塞がる。
「クソ…。」
「あなたじゃ私に勝てないのよ。パーシヴァルなら話は別だけどね。」
グリートーネアは薄く笑みを浮かべ剣を腰から抜くとルベルへ攻撃を仕掛け始める。ルベルは血液で剣を生成しグリートーネアの攻撃を捌いていく。
「何故パーシヴァルでないと倒せない?」
ルベルはグリートーネアと剣を打ち付け合いながら問う。
「素直に答えると思う?」
と言いながらも
「パーシヴァルは魂に干渉出来るのよ。だから私の身ではなく私の核心に直接攻撃が当たる。そうなれば私は体を再生させることができなくなる。」
「なるほど…。では今の俺たちではお前を倒せないと…。」
「そうよ。だからあなたは私の足留めしか今はできないのよ。」
「ブラッドチェイン。」
ルベルは血液で鎖を作り、グリートーネアを拘束する。
「あら?これで足留めをした気になってる?」
「いいや。」
ルベルは鎖を掴み宙へ羽撃く。
「どこへ行くつもり?」
「決まってるだろ。パーシヴァルの所へだ。」
ルベルは上空から戦闘を終えたアランを見つけると
「アラン!!ここを任せる!!」
と言い放ちフロンティアの方へ飛んでいく。
「あ?あいつ…何がしたいんだ?…クソ。」
そう不満を零しながらも立ち上がり
「まあ借り一つって事だな。」
と笑みを浮かべる。
皆さん、いかがだったでしょうか。
ティーティス、モーロノエーを撃破したダルヴィッシュ、アルケインとアラン。
ルベルは因縁の相手、グリートーネアから遂に彼女を撃破する術を聞き出す。
ルベルはパーシヴァルの意志を継ぐ勇者を目覚めさせ、グリートーネアを倒すべくグリートーネアを連れフロンティアへ飛び立つ。
次回第四十二話 動き出す者たち




