第四十話 迎撃
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第四十話を投稿させていただきました。
遂に始まる魔王軍VS《暁》たちによる巨大な戦い。
是非お楽しみください。
茜、神木、ルベル、アラン、アリス、キツネ、ヤミ、ダルヴィッシュ、アルケインは馬車で北へ向かっていた。
「遂に魔王軍と戦うんだな…。」
アランの言葉にルベルは
「怖気づいたか?」
とニヤけて聞く。
「いや…。ようやく故郷の敵が打てることにウズウズしてんだよ。」
「そうか。まあ死ぬなよ。」
「誰に口利いてんだ?」
「ふっ。」
アランのいつも通りの返しにルベルは笑みを浮かべる。そこでダルヴィッシュが
「総員!戦闘準備!」
その声に全員は武器などを構え戦闘態勢に入る。直後馬車が宙へ舞い地面に叩きつけられる。
「皆さん!大丈夫ですか!」
ダルヴィッシュの緊迫した声に
「大丈夫だ。」
と神木が答える。他の皆も無事なようだった。
「久し振りね。と言っても三日、四日振りだけど。」
そこにはモーロノエーがいた。
「テメェか!」
アランはモーロノエーを捉えると双剣を引き抜き睨みつける。だがルベル達を囲うように周囲に次々と魔物や魔神が現れる。
「チッ。」
ルベルは周囲へ視線を向ける。その中に見覚えのある姿が見えた。
「グリートーネア。」
「覚えててくれたのね。ルベル。」
グリートーネアは笑みを浮かべるとルベルへ迫る。
「血迅斬!」
ルベルは毒が付与された血液の斬撃をグリートーネアへ放つ。だがグリートーネアの傷は塞がり
「アハッ!積極的ね!」
グリートーネアは頬を赤らめ剣を抜く。ダルヴィッシュは周りを警戒する。魔物や魔神が動いてこないことに違和感を覚えていた。そこへ四体の魔女が現れる。
「はじめまして。《終末の七勇者》とそのお仲間の皆さん。」
一人が話し始める。
「お姉ちゃん達が先走ってしまったことを謝らせてもらうわね。」
「謝罪なら聞き受ける気はない。それよりも気になることがある。もう一人どうした?私とアリス殿が二人倒し、この場には六人しかいない。あなたたちは九人のはず。」
ダルヴィッシュの言葉に魔女が一人ダルヴィッシュに近寄る。
「それは私達のこと?」
「何を言っているのか分からないな。」
ダルヴィッシュはその魔女を睨む。
「私達はティーティス。ティートン、ティーテンが合わさりし姿。」
ティーティスは笑みを浮かべると姿を消し、ダルヴィッシュの背後に現れる。
「さぁ、遊びましょう?ガウェイン。」
「ティーティス、あなたも先走ってるじゃない。」
三人の魔女は揃って前に出てくる。
「私はテューロノエー。」
「マゾエーよ。」
「モルゲン。よろしくね。」
この場に六人の魔女が集まり、ルベルはグリートーネア、アランはモーロノエー、ダルヴィッシュはティーティスと対峙する。テューロノエー、マゾエー、モルゲンはそれぞれアリス、ヤミ、神木へと向かい合う。茜とキツネは神木の後ろに付く。
「援護は頼んだぞ。」
神木の声に茜とキツネは
「任せて。」
「任せてください。」
と答える。互いが互いを睨み合う中、ティーティスが一番に動いた。瞬く間に姿を消し、ダルヴィッシュを吹き飛ばす。
「グッ!」
それに合わせ他の姉妹達も動き始める。
「おいで!死神!ケルベロス!ブラックナイト!」
ヤミは三体の式神を召喚するとマゾエーへ向かって攻撃を仕掛ける。
「あら、いい式神。」
マゾエーは薄く笑みを浮かべると
「死神、ケルベロス、ブラックナイト。その子を殺しなさい。」
と言い出す。何を言い出すかと思っていたら、三体の式神はヤミ目掛けて進路を変えてくる。
「なっ!なんでこっち来るのよ!」
ヤミは必死になって三体の式神から逃げ出す。
「あらあら。逃げちゃった。」
マゾエーはそう言いながら三体の式神と共にヤミの後を追う。
「鬼!足止めして!」
ヤミは走りながら鬼を召喚する。鬼はマゾエー達へ向かって金棒を振り下ろす。だが
「鬼。止めなさい。あなたの敵はそこの女の子よ。」
マゾエーの言葉に振り下ろした金棒を止めヤミの方へ振り返る。
「そんな…。これじゃやられちゃう!どうにかしなきゃ!」
そう逃げながら策を練るヤミ。しかし、死神が影移動を始め、ヤミの影から姿を現し大鎌を振りかぶる。
「っ!」
ヤミは躓き、転ぶ。それと同時に大鎌が振り下ろされた。その時必死のあまりヤミは残りの力を振り絞りヤマタノオロチを召喚する。オロチは死神が振り下ろした大鎌を巨大な牙で噛み砕き、残りの七つの頭で死神をとことん頭突く。死神は強烈な攻撃を何度も受け消滅する。それに対しマゾエーは顔を顰める。
「まだ手の内があったなんてね。その式神、名前は何ていうの?」
マゾエーはそうヤミに問う。ヤミはその謎の問い掛けに
「答えるわけないじゃん!バーカ!」
とマゾエーを罵り
「オロチ!マゾエーにぶちかましてやれー!」
と式神から逃げながら叫ぶ。それを聞いたマゾエーはニヤリと笑みを浮かべた。ただヤミもその時ふっと笑みを浮かべていた。ヤミの仮説が合っているのであればマゾエーはこのあとオロチとヤマタノオロチの本当の名でない名を呼びヤミへ攻撃させるように声をかけるはずだからだ。
「オロチ!その子を殺しなさい!」
だが、オロチもといヤマタノオロチはマゾエーの言葉に耳を貸さずマゾエーに頭突きの攻撃を何度も繰り出す。ヤミの仮説は正しかった。式神から逃げならがでも勝ちを確信した笑みを浮かべ
「マゾエー!あなたの能力!それは名を呼んだ相手を指示通りに操れる!それも本当の名を呼ばなければ発動できない。そうでしょ?」
「ちょ!そんな!あがぁ!」
マゾエーは強烈な頭突きを数十回受け続ける。答えてる暇など無いほどに。マゾエーの声に操られていた式神達は指示通りヤミを追い続ける。なので、マゾエーを助けてくれる者はこの場にはいない。ヤマタノオロチは回りから邪魔が入らないからこそ、ただ目の前の獲物を仕留める。それだけを考えひたすら頭突きしまくる。遂にはマゾエーは吐血しながら仰向けに倒れる。それと同時に操られていた式神も自我を取り戻したように動きを止める。
「やったぁ!アヴァロンの魔女撃破也ぃ!」
と喜ぶが緊張が解けると同時に腰が抜ける。
「うへぇ。」
式神も姿を消し、ヤミはその場に座り込んだ。
───
アリスはテューロノエーと対峙していた。
「あなたがグリートンをやったトリスタンね。」
「私はトリスタンじゃない。アリスよ。」
アリスは札を手に取りテューロノエーを見据える。
「さぁ。来なさい。」
「符術 雷!」
札から出現した雷がテューロノエーへ放たれる。テューロノエーは
「符術 雷。」
とアリスと同じことを口にした。するとテューロノエーの指先から雷が放たれアリスの放ったものと互いに打ち消し合う。
「っ!」
「あら、驚いてくれたみたいね。」
アリスは札を数枚取り出しそれを放つ。すると札は宙を舞いテューロノエーを囲む。
「符術 鎌鼬!」
と複数の札から風の斬撃を放つ。だがテューロノエーから余裕の笑みは消えない。テューロノエーは自身の周囲へ鎌鼬を放ちまたも互いの攻撃を打ち消し合う。
「模倣…。」
「そうよ。私は見たものを模倣できる。だからこんな事もできるのよ。」
テューロノエーはアリスへ瞬く間に迫り掌をアリスへ向ける。突如強烈な衝撃波を生みアリスは後方へと吹き飛ばされた。
「よく飛んだわね。」
テューロノエーは次から次へとアリスへ迫っては衝撃波によりアリスへダメージを与えていく。
「ぁっ!」
アリスは何度目か分からないが衝撃波を受けると今までは立っていたもののもう立つことが出来ないのか倒れ込んでしまう。
「あらら。こんなのにグリートンは負けたの。あの子もだらしないわね。」
テューロノエーはアリスを一瞥するとすぐに背を向け姉妹の元へ動き始める。だがテューロノエーはとてつもなく強大な魔力を感じすぐ後ろへ振り向く。
「っ!何…この魔力…。そんな…訳ない…。おかしい…。」
テューロノエーは目の前に立つアリスへ目を向けて冷や汗を流す。アリスは目を見開き目の前のテューロノエーを見る。
「お久し振りですね。テューロノエー。」
「そんな…。あり得ない…。」
「あなたが生き返ったのであれば別におかしな話ではないでしょう?」
「…トリスタン…。」
アリスへ恐怖を抱いたテューロノエーはただその名を口にした。
「神器がないから最大出力は出せないけど、それでも今のあなたを倒すなら余裕ですね。」
アリスの身に宿ったトリスタンはテューロノエーに一歩、また一歩と歩み寄りながら掌をテューロノエーへ向ける。するとテューロノエーは身動きが取れなくなりしばらくして痙攣し始める。
「ぁ…ぅ……。かぁ………。」
テューロノエーは目が充血し体も赤く染まり始める。
「母なる海に帰れ。」
次の瞬間、テューロノエーは体が燃え上がり灰になり消えていく。
「この魔力を使ってもこの体は耐えられるのね。やはりあなたを選んで正解だった。」
アリスはふらつき膝を付く。
「何だったの…?今の…?」
アリスはさっきまで起きていたことが理解できずに周囲を見渡す。
「トリスタン…。」
アリスは急な目眩と吐き気に倒れる。
皆さん、いかがだったでしょうか。
マゾエーとテューロノエーを撃破したヤミとアリス。これにより残りのアヴァロン九姉妹は四人となる。
《暁》が優勢の魔王軍戦は一体どうなっていくのか。
次回第四十一話 怪物




